このページの本文へ

アバヴネットジャパン、6月に東京でデータセンターを開設

2000年02月09日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アバヴネットジャパン(株)は、東京・日本橋にデータセンターを開設し、6月1日からサービスを開始すると発表した。同社の親会社にあたる米アバヴネットコミュニケーションズ社は欧米6ヵ所にデータセンターを展開しており、東京のデータセンターをアジア太平洋地区のハブとして位置付けていくとしている。

アバヴネットジャパンは都内において、日本における事業展開を発表
アバヴネットジャパンは都内において、日本における事業展開を発表



アバヴネットジャパンは、米アバヴネットと丸紅(株)、トランス・コスモス(株)の3社合弁で、'99年12月に設立。資本金は4億9900万円で、出資比率はそれぞれ40パーセント、50パーセント、10パーセントとなっている。

米アバヴネットは、大容量のネットワークと大規模データセンターを展開しており、両者のサービスを統合したISX(インターネット・サービス・エクスチェンジ)を提供している。データセンターはサンノゼやロンドンなど欧米6ヵ所に置かれており、東京にデータセンターを開設することで、日米欧を繋ぐネットワークを構築するとしている。

東京のデータセンターは、丸紅の子会社であるグローバルアクセス(株)の社内に構築され、面積は820平方m。グローバルアクセスが敷設する太平洋横断海底ケーブルのPC-1を経由して、米国のデータセンターに接続される。3月末には300Mbpsでの通信を開始し、6月1日のサービス開始時には750Mbpsに増強する予定。データセンターの利用料金については、具体的な価格をこれから決めていくとしている。

都内で行なわれた発表会の席上、米アバヴネットのCEOであるシャーマン・トゥアン(Sherman Tuan)氏は、現行のインターネットにおける問題点として「接続を太くしても、インターネット内で数多くのハブを経由するため、輻輳(ふくそう)を起こしてしまう」と指摘。それを解決する手段として、特定の接続ポイントだけに接続するのではなく、ネット上のあらゆる接続ポイントに繋がることで、最適な経路を選択できると説明した。

続けてトゥアン氏は、同社がネットワークとデータセンターの両方を提供していることを強調。同社では最適なデータ転送経路を選択するASAP(Asymmetric Allocation of Packets)という技術を開発・運用しているほか、世界各地に67ヵ所の接続ポイントを設置していることをアピールした。

米アバヴネットのCEOで創業者のシャーマン・トゥアン氏、「日本をアジア太平洋地区のハブとして位置付け、グローバルストラテジーを推進していく」
米アバヴネットのCEOで創業者のシャーマン・トゥアン氏、「日本をアジア太平洋地区のハブとして位置付け、グローバルストラテジーを推進していく」



丸紅出身で、アバヴネットジャパンの代表取締役社長を務める森脇完二氏は、「3年後には売上300億円、日本全国のトラフィックの10パーセントを目指す」と明言。9月末までに50社のプロバイダーと接続したいと目標を口にした。

また、近日中に第二データセンターを設立すると発表。規模は3000~1万平方mと、大規模になる模様だ。同社ではトラフィックの総量に対し2倍のネットワーク幅を確保しており、深夜にトラフィックが集中するISPに対しても十分なサービスを提供できるとしている。

アバヴネットジャパンの森脇完二代表取締役社長、「ネットワークの適正確保に悩んでいるプロバイダーが対象」
アバヴネットジャパンの森脇完二代表取締役社長、「ネットワークの適正確保に悩んでいるプロバイダーが対象」



丸紅の大脇一寛取締役は、米アバヴネットと合弁を行なった理由として、(1)今後、トラフィックを扱う事業が飛躍的に伸びる、(2)米アバヴネット自身が大容量の回線を必要としているため、グローバルアクセスにとって大きな顧客となる、(3)プラットフォームとしてのアバヴネットを持っていることで、サービス事業を展開する時に有利になる、という3点を挙げた。

丸紅の大脇一寛取締役は、情報・通信・電子本部の本部長も務める、「アバヴネットをピアリングをたくさんやっている特殊な会社として注目していたので、今回の合弁に至った」
丸紅の大脇一寛取締役は、情報・通信・電子本部の本部長も務める、「アバヴネットをピアリングをたくさんやっている特殊な会社として注目していたので、今回の合弁に至った」



トランス・コスモスの石岡英明常務取締役は、「我々でシステムを構築し、アバヴネットに持ってもらう」とし、IT関連アウトソーシング企業としての狙いについて語った。また、「ストリーミングなど、広い帯域幅を使うサービスに注目している」と述べ、「アバヴネットを株主として、全力を挙げて支援したい」と意気込みを口にした。

トランス・コスモスの技術本部長を務める石岡英明常務取締役、「テクノロジーを常に重要視し、積極的に米国で活動してきた。それが今回の合弁につながった」
トランス・コスモスの技術本部長を務める石岡英明常務取締役、「テクノロジーを常に重要視し、積極的に米国で活動してきた。それが今回の合弁につながった」

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン