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【INFOCOMM Japan 2000 Vol.2】INFOCOMMの主役は液晶プロジェクター

2000年02月09日 00時00分更新

文● 浅野純也

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東京ビッグサイトにおいてプレゼンテーション機器の総合展示会“INFOCOMM Japan 2000”が開催されている。PDP(プラズマディスプレーパネル)や液晶ディスプレーなど大画面表示デバイスが多数展示されているが、その中でも主役はプロジェクターだ。

プロジェクターというと、オフィスでのプレゼンテーションやイベント、ショー、店頭での大画面表示が主な用途として思いつく。記憶をたどって学校で使った透明シートを使うオーバーヘッドタイプ(OHP)も思い浮かぶ人もいるかもしれないが、現在の主流は液晶パネルを表示装置として使う、液晶プロジェクターである。

最大のマーケットはオフィス。パソコンを直接接続して、プレゼンテーションを行なうのが目的だ。解像度はSVGA(800×600ドット)からXGA(1024×768ドット)が主流で、SXGA(1280×1024ドット)に対応する製品もある。トレンドとしては小型で軽量、100万円以下という価格。PCカードスロットを備えて、パソコンレスでもデータ表示ができる製品もある。

ソニーの小型プロジェクター『VPL-CS1』。39万8000円という戦略価格。DVD-Videoの再生などホームAVを意識したデモが行なわれていた
ソニーの小型プロジェクター『VPL-CS1』。39万8000円という戦略価格。DVD-Videoの再生などホームAVを意識したデモが行なわれていた



日本ビクターのD-ILAプロジェクター製品群。手前はシアター用としても十分な性能を持つフラッグシップモデル『DLA-M4000L』(990万円)
日本ビクターのD-ILAプロジェクター製品群。手前はシアター用としても十分な性能を持つフラッグシップモデル『DLA-M4000L』(990万円)



松下電器もDLP採用の高画質製品を出展。豊富なデジタル入力端子を持つ“LIGHTIA(ライティア)”シリーズの『TH-D9600J』(オープン価格、受注生産)
松下電器もDLP採用の高画質製品を出展。豊富なデジタル入力端子を持つ“LIGHTIA(ライティア)”シリーズの『TH-D9600J』(オープン価格、受注生産)



また、小型化と同時に定価で100万~85万円だった小型軽量のプロジェクターに、40万円を切る戦略モデルが登場するなど、オフィスだけでなく家庭へも入り込む動きもある。家庭用と言えばAVファンがホームシアター用にプロジェクターを導入するケースがあるが、調整が不要でコンパクトな製品の低価格化が進めば、家庭も重要な市場になるはずだ。

また、テレビ型の筐体の内部にプロジェクターを内蔵したプロジェクションテレビは、50~70インチという大画面サイズが特徴。以前はコントラストや明るさに欠ける絵だったのが、液晶プロジェクターの性能アップにより鮮明な表示が可能になりつつある。

ソニーのシアター向けDLPプロジェクター『VPD-LE100』(オープン価格だが、およそ3000万円程度で販売されるという)
ソニーのシアター向けDLPプロジェクター『VPD-LE100』(オープン価格だが、およそ3000万円程度で販売されるという)



テキサス・インスツルメンツのDLPは多くのメーカーが採用している
テキサス・インスツルメンツのDLPは多くのメーカーが採用している



ビクターのD-ILAデバイスを採用しているのは、現時点ではビクターの1社のみ
ビクターのD-ILAデバイスを採用しているのは、現時点ではビクターの1社のみ



プロジェクターが注目されているのは大画面という特徴があるためだ。ブラウン管は36インチ、液晶テレビは28インチ、PDPは60インチというのが現時点での最大サイズ。ブラウン管以外は将来的にはさらに大きくなる可能性を秘めているが、コストが指数関数的に高くなってしまう。これに対してプロジェクターは小型のものでも距離さえあれば100インチは軽くOKで、それでいて価格はPDPよりはるかに安い。性能のいいレンズと距離があれば200インチだっていける。業務用には価格は数千万円クラスだが、600インチが表示できるものもある。

最近注目されているのはシアター用だ。現在、フィルムを使わないデジタル上映システムの開発が進められており、プロジェクターはそのキーデバイスとなっている。映像データをHDDに記録、デジタルのままプロジェクターに入力して投影する。フィルムの傷のようなノイズと無縁なことなどクオリティー面以外に、高価なフィルムのプリント代がいらないなど製作や上映にかかるコストが削減できるメリットがある。

大画面表示が可能なプロジェクターはオフィス以外にも工場などさまざまな場所で利用されている
大画面表示が可能なプロジェクターはオフィス以外にも工場などさまざまな場所で利用されている



ホームシアターなどプロジェクター市場で実績を持つバルコ
ホームシアターなどプロジェクター市場で実績を持つバルコ



現在、米テキサス・インスツルメンツ社が開発したDLPと日本ビクター(株)が開発したD-ILAの2方式がこのカテゴリーを二分している。DLPは半導体上に作り込んだ微小な鏡を制御して絵を作り出すもので、D-ILAは反射液晶パネルを使ったものだ。米国では映画関係者による両者の比較なども行なわれており、今後ブラッシュアップが続けられる予定だ。

ちなみに液晶/DLPプロジェクターは日本のお家芸で、日本メーカーが市場の8割を独占している(要素技術のDLPは外来だが)。というのも、エレクトロニクスメーカーが築いた液晶技術とデジタル処理技術、そしてカメラなど光学メーカーのレンズ技術が結びついた製品だからだ。INFOCOMの会場では、各社の製品を一堂に並べて、画質の比較を行なうProjection Shoot-Outも実施されている。貴重な機会なので、足を運んでみてはいかがだろうか。

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