このページの本文へ

【INFOCOMM Japan 2000 Vol.1】プロフェッショナル向け大型映像機器の見本市が開催

2000年02月08日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東京・有明の東京ビッグサイトにおいて、プロジェクターをはじめとしたプレゼンテーション機器専門の見本市、“INFOCOMM Japan 2000”が始まった。国際通信業協会(International Communications Industries Association:ICIA)と日本工業新聞が主催するもので、8日から10日までの3日間開催される。出展社数は日本企業を中心に約100社で、期間中3万人の来場者を見込むとしている。



INFOCOMMはこれまで、米国、ドイツ、シンガポールで開催されてきており、今回初めて日本で開催された。米国とドイツでは、毎年開催されることになっているが、今後、アジア地区では、シンガポールと日本とで、毎年交互に開催される。

INFOCOMMでは、一般的なブースによる展示のほかに、“Projection Shoot-Out”と呼ばれる比較展示会場が用意される。これは、INFOCOMMの売り物の1つで、画像解像度や対応する入力画像の違いによって、プロジェクターをいくつかのクラスに分け、クラスごとに同一の信号・画像を同時に入力して、来場者が画像の比較ができるようにするというもの。

Projection Shoot-Outの会場となった、ビッグサイトの西展示場は、照明が消された暗い中に、およそ50台のプロジェクターが並べられて映像を表示していた。音声はないので、暗くて静かな展示場にさまざまな映像が表示される中、来場者が映像のクォリティーを吟味していた。

Projection Shoot-Out会場の様子。手前に見える赤い画面に、プロジェクターの製品名や価格が表示されている
Projection Shoot-Out会場の様子。手前に見える赤い画面に、プロジェクターの製品名や価格が表示されている



一方、展示会場では、各社とも大型表示装置を競うようにデモンストレーションしていた。コンシューマー向けでない、大型システムが中心ということもあってか、表示デバイスとしてCRTを使ったものはほとんど見かけられなかった。

おおよそ各社の展示を使用するデバイス製品で分類すると、プラズマディスプレーを使った製品、液晶を使った製品、*DLPを使った製品、LEDを使った製品となる。

このうち、プラズマディスプレー製品は、およそ40~60インチのディスプレーが、松下電器産業(株)、(株)東芝、(株)日立製作所などのブースで展示されていた。

*DLP(Digital Light Processing):テキサス・インスツルメンツが開発した、デジタル制御可能な超小型の鏡の集合デバイス“DMD(Digital Mirror Device)”を使った、画像表示技術

三菱電機の50インチと46インチワイドのプラズマディスプレー 三菱電機の50インチと46インチワイドのプラズマディスプレー



松下電器産業の、ハイビジョン対応プラズマディスプレー(手前の2つ)
松下電器産業の、ハイビジョン対応プラズマディスプレー(手前の2つ)



もっとも多く見られたのは、液晶を使ったプロジェクター製品。スクリーンに投射するフロントプロジェクションタイプ、テレビのような筐体の内部のスクリーンに投射するリアプロジェクションタイプを含め、さまざまなサイズ、価格のものが展示されていた。これらの液晶プロジェクターのコアとなる液晶ライトバルブは、エプソン(株)とソニー(株)が大きなシェアを持っており、特にエプソンは最終製品であるプロジェクターにおいても、国内のトップシェアとなっている。

バルコ(株)のリアプロジェクションタイプの液晶プロジェクター。4つの液晶パネルで1つの大画面を構成している バルコ(株)のリアプロジェクションタイプの液晶プロジェクター。4つの液晶パネルで1つの大画面を構成している



エプソンのデジタルTV用1.2型液晶ライトバルブ。解像度は1280×720 エプソンのデジタルTV用1.2型液晶ライトバルブ。解像度は1280×720



また、注目株となるのはDLPを使った製品。通常の液晶プロジェクターと比べて、デバイスの反応速度が1桁以上速く、動画の再生に向くことや、コントラストを高くしやすいことなどから、液晶プロジェクターを手がけるメーカーにおいても、ラインアップとしてDLPプロジェクターをそろえているところが多数ある。特に200~300インチを超えるようなサイズで映像を再生するシステムでは、液晶よりもDLPを使う傾向にあるようだ。逆にプラス(株)のように、A4サイズの超小型・軽量製品に特化しているところもある。

ソニーのDLPを使った大型プロジェクター。高輝度の光源を使用することで、スクリーン上の明るさ1万ルーメンを実現したという ソニーのDLPを使った大型プロジェクター。高輝度の光源を使用することで、スクリーン上の明るさ1万ルーメンを実現したという



日本テキサス・インスツルメンツのブースに展示されていた、家庭向けDLPプロジェクターのプロトタイプ。全面にDVDのスロットを備える。家電各社から、今年後半以降に登場するという 日本テキサス・インスツルメンツのブースに展示されていた、家庭向けDLPプロジェクターのプロトタイプ。全面にDVDのスロットを備える。家電各社から、今年後半以降に登場するという



ただ1社独自のデバイスを使っているところが日本ビクター(株)。自社で開発した、反射型の液晶デバイス(通常の液晶プロジェクターは透過型)“D-ILA(Direct Image Light Amplifier)”を利用したプロジェクターを展示していた。通常の透過型液晶よりも高コントラストにでき、DLPよりも高解像度化が進んでいることがメリットとしている。

日本ビクターのD-ILAを使ったプロジェクター製品。リアプロジェクションタイプも用意されている
日本ビクターのD-ILAを使ったプロジェクター製品。リアプロジェクションタイプも用意されている



LEDを使った製品は、青色LEDの登場できれいなフルカラー画像が可能になったことで、屋外向けの大型製品が数社から展示されていた。

バルコの屋外向けLEDディスプレー。大きさがわかりづらいが、3メートル弱×横5メートル強ある
バルコの屋外向けLEDディスプレー。大きさがわかりづらいが、3メートル弱×横5メートル強ある



INFOCOMMで展示されているような製品は、米国と欧州が主な市場だが、近年日本でものびてきており、これからに期待しているという。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン