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'99年のパソコン国内出荷は過去最高の920万台--Y2K問題の影響なしとJEIDAが発表

2000年02月08日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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(社)日本電子工業振興協会(JEIDA)は、'99年(1月~12月)におけるパソコンの出荷実績、および'99年度第3四半期(10月~12月)の実績を発表した。'99年のパソコン国内出荷台数は921万5000台を記録し、前年の701万6000台から31パーセントという過去最高の数字を記録。また国内出荷金額は前年比21パーセント増の1兆8977億円で、パソコンの単価下落にも関わらず、二桁の伸びを確保した。

'99年のデスクトップは30%超の伸び、単価は下落

JEIDAの発表によると、'99年のパソコン総出荷台数は990万9000台。このうち国内出荷は921万5000台で、過去最高の数字を記録した。また、国内出荷金額は1兆8977億円で、こちらも過去最高となった。

今回発表された出荷実績のうち、主なものは以下の通り

・パソコン出荷実績(国内出荷+輸出)
    台数:990万9000台(前年比26%増)
    金額:2兆260億円(前年比17%増)
・パソコン国内出荷実績
    台数:921万5000台(前年比31%増)
    金額:1兆8977億円(前年比21%増)
・デスクトップ(サーバー含む)国内出荷実績
    台数:487万4000台(前年比32%増)
    金額:9270億円(前年比17%増)
・ノートパソコン国内出荷実績
    台数:434万1000台(前年比31%増)
    金額:9707億円(前年比26%増)


デスクトップ(サーバー含む、以下同)の出荷台数は487万4000台で、前年比32パーセント増。このうちオールインワンタイプは、ほぼ3分の2にあたる312万2000台(44パーセント増)を占め、デスクトップ機のセールスがオールインワンタイプを中心に伸びていることを表わしている。

また、デスクトップの国内出荷金額は9270億円で、前年比17パーセント増を記録。出荷台数が32パーセント増だったことから、1台あたりの平均単価は約11.3パーセント下落した計算となる。

単価の下落についてJEIDAでは、「10万円を切ったマシンはそれなりに増えてきている」としながらも、デスクトップ需要の4割を占める個人ユーザーのうち、10万円以下のパソコンはさらに4分の1でしかないと指摘。いわゆる10万円パソコンの登場が直接の原因ではなく、全体的に価格の下げ圧力が強かったことを示唆した。

ノート出荷金額はデスクトップを上回る

ノートパソコンの国内出荷台数は434万1000台となり、前年比31パーセント増という数字はデスクトップ機とほぼ同じ。このなかで、サブノートタイプは前年比5パーセント減の66万8000台となり、唯一売上が落ちる結果となった。

JEIDAではサブノートパソコンの出荷が伸び悩んだ要因として、初めてパソコンを購入する初心者が増えたこともあり、“2台目需要としてのサブノート”が減ったと分析している。また、今後については、インターネット端末としての需要が増えるため、サブノートの出荷も盛り返すとの予想を見せた。

また、ノートパソコンの国内出荷金額は26パーセント増の9707億円で、史上初めてデスクトップの出荷金額を上回った。この理由としては、日本市場に特有なノートパソコン人気に加え、ノートパソコンの単価が約4パーセントの下落に留まったことが挙げられる。

第3四半期の出荷は過去2番目の台数を記録

'99年度第3四半期(10月~12月)の総出荷台数は257万1000台。このうち国内出荷は240万8000台で、'98年第4四半期('99年1月~3月)の241万6000台に次ぐ、過去2番目の数字となった。

デスクトップ機の出荷は130万7000台(31パーセント増)で、'98年第4四半期の129万台を抜き、四半期単位では過去最高の数字を記録した。またノートパソコンは110万1000台で、前年比29パーセント増。ただし、前期比では3万6000台減(約3.2パーセント減)となり、伸び悩みを見せた。

同四半期における国内総出荷金額は4797億円で、前年比22パーセント増。このうちデスクトップは2309億円(16パーセント増)で、単価は約11.5パーセントの落ち込みを見せた。それに対しノートパソコンの出荷金額はデスクトップを上回る2488億円で、単価も0.8パーセント減とほぼ横ばいとなった。

プリンターは続伸、HDDは伸び悩み

JEIDAでは同時に、周辺機器(ディスプレー/プリンター/外部記憶装置)における実績も発表した。

'99年におけるディスプレーの総出荷は186万4000台。このうち国内出荷は115万2000台で、前年比11パーセント増となった。また、国内出荷金額も11パーセントの768億円を記録。CRTディスプレーの単価が下がった反面、単価の高い液晶ディスプレーが伸びたことにより、平均単価は前年から横ばいとなった。

プリンターの総出荷は1493万1000台。このうち国内出荷は385万9000台で前年比41パーセント増という大幅な伸びを見せた。国内出荷金額は1549億円(21パーセント増)に達し、サブノートの1476億円を上回っている。

ただし輸出に関しては、出荷台数が1107万2000台と前年比16パーセント増だったのに対し、輸出金額は1806億円と前年比11パーセント減に終わり、単価は23.3パーセントという大幅減となった。

HDDを中心とする外部記憶装置は、総出荷(=国内出荷)が69万2000台と、統計品目の中では唯一9パーセント減という落ち込みを記録。出荷金額も6パーセント減の260億円に終わった。この落ち込みについてJEIDAでは、パソコンの内蔵HDDが大容量になってきたことから、外付けHDDを買う必要がなくなったことを要因に挙げた。

Y2K問題はパソコン出荷にとってプラス要因

'99年は2000年(Y2K)問題が原因で、パソコンの買い控えが起こるのではという予想がされていた。それにも関わらず、実際の出荷は事前の予想を大幅に上回る結果となった。

JEIDAの説明によると、多くの企業においてY2K問題に対応するため、4月から6月にかけてWindows 95搭載パソコンのリプレースが進み、出荷を押し上げる要因となったという。

パソコン出荷実績について説明する、JEIDAパーソナル業務委員会委員長の松尾好洋氏
パソコン出荷実績について説明する、JEIDAパーソナル業務委員会委員長の松尾好洋氏



iモード携帯電話など、安価で手軽にインターネット接続できる機器の影響については、「パソコンと競合する次元ではない」と断言。「iモードでインターネットをやって、物足りなくなったら、ホストとしてパソコンを買ってくれればいい」とし、iモードからパソコンへのステップアップという考え方を示した。

今後の普及については、パーソナル業務委員会委員長の松尾氏が“個人的な意見”と前置きしたうえで、「日本における世帯普及率は28パーセントくらいで、個人はさらにその半分くらい」と、数字を挙げて説明。米国の世帯普及率50パーセントに対して「まだまだ少ない」とし、「2000年も二桁(10パーセント以上)は伸びるだろう」と楽観的な見通しを示した。

また、ソニーがパソコンや家電のネット直販に乗り出したことについては、「我々がここでどうこう言うことではない」とし、具体的な発言を避けた。

*
パーソナルコンピューター出荷実績の自主統計に参加している企業は、以下の18社(順不同)
アップルコンピュータ(株)、日本電気(株)、沖電気工業(株)、カシオ計算機(株)、三洋電機(株)、シャープ(株)、セイコーエプソン(株)、ソニー(株)、(株)東芝、東芝パソコンシステム(株)、日本アイ・ビー・エム(株)、日本ゲートウェイ(株)、日本ヒューレットパッカード(株)、(株)日立製作所、(株)PFU、富士通(株)、松下電器産業(株)、三菱電機(株)

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