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NEC、モバイル端末用の低消費電力型マイクロプロセッサーを新開発

2000年02月07日 00時00分更新

文● 編集部 山本誠志

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日本電気(株)(NEC)は7日、低消費電力が特徴のモバイル端末用マイクロプロセッサー『MP98』を発表した。

MP98は、同一チップ上に4個のプロセッサー(要素プロセッサー)を集積し、並列に動作させることができる、いわゆる“オンチップ並列型”のプロセッサー。それぞれの要素プロセッサーは125MHzで駆動される。0.15μm CMOSプロセスを採用し、ダイサイズは10.5×10.5mm。64KBのキャッシュを2つ装備する。最大命令処理能力は1000MIPS(125MHz×4並列×2並列スーパースカラ)。最大演算処理能力は2000MOPS(1000MIPS×2演算(16bit))。

供給電圧は1.3Vで、消費電力はメディア処理時で最大1W、アイドル時で25mW。電源遮断回路によるスリープ時で200μWとなる。命令待機時には、動作プロセッサー数を制御したり、低消費電力回路を利用することで、消費電力を抑える。また、動作周波数を下げた要素プロセッサーを複数搭載することで、従来型の高速マイクロプロセッサー(毎秒10億回以上の命令処理能力を持つもの)に比べ、100分の1以下の低消費電力を実現したという。MP98を採用したモバイル端末は、従来の平均的なノートパソコンと比べ、電池駆動時間が約10倍になる(数十時間)としている。

複数の要素プロセッサーを搭載したMP98は、“マルチスレッド並列化方法”と呼ばれる並列処理方式を採用。同時に実行可能なスレッド(連続する命令の列)を、複数プロセッサーで並行して実行するために、同社はMP98に特化した並列化コンパイラーを開発した。これによって、シングルプロセッサー動作時と比較して、最大で約3倍の性能向上を達成できたという。

MP98では、アプリケーションプログラムをコンパイル時点でスレッド分割する。また、1つのスレッドからは2つ以上のスレッド分岐を行なわないように制限する“フォーク一回モデル(FOPEモデル)”を採用。これによって、スレッド分岐を1サイクルで実行できる。

また、搭載する4個の要素プロセッサーは、レジスターファイルを物理的に共有する。プロセッサーとレジスターの論理的対応関係を“マップテーブル機構”によって管理しており、スレッド分岐の際には、レジスターコピーを行なわずに済む。このため、スレッド分岐時のデータ移動量を約1/6に削減。高速化を実現したという。

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