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【マルチメディアコンテンツOSAKA Vol.3】eビジネスという追い風が関西を活性化。ユニークなコンテンツ関連企業が多数出展

2000年02月04日 00時00分更新

文● 野々下裕子 younos@pb3.so-net.ne.jp

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2月1日より3日間、マイドームおおさかを会場に“マルチメディアコンテンツOSAKAフェスティバル2000”が開催された。今回で第3回目を迎える同イベントは、関西エリアでデジタル系コンテンツを手掛けた企業や団体からの展示会が中心となっているが、今年は“Catch the Wave”をテーマにeビジネスに関する出展も目立った。

会場には出展関係者のためのプレゼンテーションコーナーが設けられていて、毎回、大勢の参加者で盛り上っていた。本稿ではその中からいくつかを、プレゼンテーターのインタビューを交えながら紹介する。

スタイリッシュなオリジナルのストリーミングラジオ番組、“スパイク・インターネット・ラジオ”。5つ目の拠点を大阪にオープン

初日のトップバッターとして壇上に立ったのは、スパイク・インターネット・ラジオCEOのアシュリー・ファラー氏。“スパイク・ラジオ”はストリーミングラジオで新しいビジネスを展開している。同社のサイトはオリジナルのストリーミングラジオ番組で構成され、音楽以外にもサンダンス映画祭などのエンターテインメントともタイアップを図っている。

左からスパイク・インターネット・ラジオCEOのアシュリー・ファラー氏、広報担当のニコル・バグワナ氏、副社長のクレイグ・ホッジス氏。関西にはオーストラリアのビジネス紹介イベントの際に訪れているという
左からスパイク・インターネット・ラジオCEOのアシュリー・ファラー氏、広報担当のニコル・バグワナ氏、副社長のクレイグ・ホッジス氏。関西にはオーストラリアのビジネス紹介イベントの際に訪れているという



収益としては企業とのタイアップが中心で、そこにはトヨタなどの名前が並んでいる。ダウンロードされたラジオのコントロールウインドーでは、さまざまなビジュアルが展開され、それもコンテンツの魅力となっている。スタイリッシュな作りがいかにもウェストコーストらしい。

米国のロスアンジェルスのほかに、オーストラリアと日本に拠点を構えているが、このたび5つ目の拠点を大阪にオープンすることになった。今回はそれに合わせてのプロモーション。スパイク・ラジオのビジネスの可能性として、ファラー氏は「日本人に向けた新しいインターネットのコンテンツの提案をする上で、さまざまな技術を提供していくことができる」とコメント。今後も意欲的な展開を見せていくようだ。

指先だけで心拍数や血圧が検査できるシステムが注目の的

続いて、(株)メディカルサイバースペースグループの山内以前氏がプレゼンテーションを行なった。同社は医療や健康、介護などに関する情報システムを総合的に手掛けている会社。出展ブースでは、インターネットとFAXを使って、健康管理ができるシステムを紹介した。自社で開発した、指先だけで心拍数や血圧が検査できる機械が、来場者の目を引いていた。

プレゼンのほうでは、兵庫県の大屋村で採用されている“おおやまごころネット”について、ビデオを流しながら紹介。

メディカルサイバースペースグループのプレゼンテーションは手話の同時通訳で行なわれた。山村での訪問医療の支援システムを紹介したあと、インターネットにまつわる手話の表現を紹介
メディカルサイバースペースグループのプレゼンテーションは手話の同時通訳で行なわれた。山村での訪問医療の支援システムを紹介したあと、インターネットにまつわる手話の表現を紹介



長年、訪問看護をしてきた大屋村だが、従来の方法に加えて情報システムを導入することで、新しい訪問看護の可能性を探っていると紹介した。介護福祉に関わる会社らしく、手話の同時通訳も行なわれ、最後に電子メールやハッカーといったインターネットにまつわる言葉を、手話でどのように表現するのかを紹介していた。

人工知能技術を応用し、ユーザーにあったコンテンツを配信するユニークなシステム

最近、大阪では海外からの進出企業も増えており、同イベントでもカナダ、インド、フィリピンといった国からの出展があった。東京が飽和状態にある中で、関西の市場性が注目されているのだ。特に来年にユニバーサルスタジオのオープンを控えているせいか、先のスパイク・ラジオなどもそうだが、コンテンツ関連企業の進出が目立つ。

そうした中で、最初から大阪に本社を置いてビジネスを展開している会社もある。その1つ、シルバーエッグ・テクノロジー(株)からは、CEOのトーマス・A・フォーリー氏がプレゼンテーションを行なった。同社は人工知能技術を応用し、各々のユーザーについて学習し、そのユーザーにあったコンテンツを配信するというユニークなターゲティングシステムを提供する会社である。

その技術は“アドバボット技術”と呼ばれ、南港のiMedioにオフィスを持つ405社と昨年から技術提携するなどして、実績を上げている。そのほかにも、さまざまなプロジェクトを計画中で、近日中には発表されるようだ。フォーリー氏が関西で創業したのは昨年の6月だが、それ以前から関西に注目していたという。

シルバーエッグ・テクノロジーのプレゼンテーション
シルバーエッグ・テクノロジーのプレゼンテーション



「日本では誰もが同じ方向(東京)に向いているのが、私には不思議なんです。技術があればロケーションは気にならない。米国ではほとんどの会社がそうで、シリコンバレーよりもシアトルのような場所で成功している例がたくさんある。私自身は、大阪の人たちの感性や才能に注目し、これからコラボレーションができることを期待しています」

シルバーエッグ・テクノロジーのCEOのトーマス・A・フォーリー氏。「コンテンツを支える技術を提供できるという意味では大阪にとても期待していると」語る
シルバーエッグ・テクノロジーのCEOのトーマス・A・フォーリー氏。「コンテンツを支える技術を提供できるという意味では大阪にとても期待していると」語る



関西では、早くからコンテンツ市場の活性化を進めていたが、eビジネスという“追い風”によって、ようやく大きな波が立ち始めたようだ。そして、その波に乗ろうと、国内外から人が集まっている。今年の関西でどんなことが起きるのかが楽しみになりそうだ。

プレゼンテーションコーナーは連日満席状態だった
プレゼンテーションコーナーは連日満席状態だった

    マルチメディアコンテンツOSAKAフェスティバル2000www.image-lab.or.jp/MCOFスパイクラジオwww.spikeradio.comメディカルサイバースペースグループwww.kenkou.ne.jpシルバーエッグテクノロジーwww.silveregg.co.jp/

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