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ドイツの玩具市場でコンテンツビジネス増加の兆し

2000年02月03日 00時00分更新

文● ドイツ在住ジャーナリスト・高松平藏

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ドイツ南部のニュルンベルグ市で、3日から始まった世界最大級の玩具見本市、“International Toy Fair”。開催に先だって、先月27日にプレスコンファレンスが開かれた。その中で、最近の玩具市場に関する動向が発表された。Intelect Eurotoys Marktforschung GmbHのGabriele Eberl氏(顧客サービス担当ディレクター)によるもので、ドイツでも、コンテンツビジネスが玩具市場の成長分野になりつつあることが述べられた。

ドイツの玩具市場は縮小傾向だが、ビデオゲームなどは拡大

ドイツの玩具市場全体でいうと、少子化により、市場そのものが縮小していくという事実がある。将来的にはドイツ国内で、20歳以下の人口が全人口の16パーセントまで落ちると予想されている。1960年代におけるその比率の、約半分だという。

Gabriele Eberl氏
Gabriele Eberl氏



しかし一方で、伝統的な玩具からビデオゲームに推移する子供の年齢が早くなる傾向がある。これを勘案すると、ビデオゲームは玩具業界にあって有力な分野であることが浮かび上あがる。

保守的なドイツ

このように、マルチメディア時代の玩具市場において、ビデオゲームやキャラクター商品は有力な分野だ。国や地域によってその浸透具合は確かに異なる。しかし基本的には、アメリカから欧州へトレンドが移行するというパターンが続いている。

米国と欧州における市場傾向を比較すると、玩具市場そのものの拡大率において、米国の方が高い。アメリカの好景気と人口増加がその理由だ。しかも、ビデオゲームやキャラクター商品がよく浸透しており、「ポケモンなどの新しいモノやトレンドに対して抵抗感が少ない」(同氏)。一方、欧州内に目を向けると、フランスとイギリスが最もアメリカのトレンドに近い。英、仏、伊、独の4ヵ国の中で、ドイツでは伝統的なおもちゃにまだまだ人気があるという。

そもそもドイツでは、新技術に対して保守的な傾向が強い。最近こそ、プロバイダーへの加入率が急増するといった傾向がでてきた。それでも、玩具に関しては、欧州内でも保守的な傾向が強い方であるといえる。

独国内でビデオゲームが4年連続売り上げ増

他国との比較では保守性が目立つドイツだが、ひるがえって、ドイツ国内の過去との比較に目を向けると、動きはある。冒頭述べたように、ビデオゲームやキャラクター商品が玩具市場に占める割合が、じわじわと増えている。

例えば99年の玩具市場ではスターウオーズやテレタビーズ、セサミストリートといったキャラクタを使った商品が話題になっていた。玩具市場全体はやや売り上げ増となったが、伝統的な玩具は横ばい。ビデオゲームやキャラクター商品が売上増に貢献しているかたちだ。

ちなみに旧東西ドイツの比較も興味深い。'98年の玩具市場におけるビデオゲームの割合は、ほとんど変わらず、東で20パーセント、西で17パーセント。ところが、'94年の段階では、旧東ドイツの方が5パーセント程度高かった。Eberl氏は、「新技術を追い掛ける気持ちが、旧東ドイツの方が強い」と分析する。共産圏でマクドナルドがオープンした際、客が殺到した話は有名だが、相似形の傾向とみることができる。

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