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【NET&COM21レポートVol.3】キーワードは「音声から非音声へ」--NTTドコモの立川敬二代表取締役社長が講演

2000年02月02日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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“情報ネット・システムが時代を変える”をテーマに、情報システムとネットワークの総合展示会“NET&COM21”が2日、千葉県・幕張メッセで始まった。主催は日経BP社で、4日までの開催となっている。初日の2日は、NTT移動通信網(株)(以下NTTドコモ)代表取締役社長の立川敬二氏が基調講演“21世紀の情報ネットワーク・システムを変えるモバイルIP-iモードの展望-”を行なった。

NTTドコモの立川敬二社長NTTドコモの立川敬二社長



同講演で立川氏は、これからのモバイルのキーワードは「音声から非音声へ」だと語った。立川氏は講演の中で、これからのモバイルがどう進化していくのか、生活の中に取りこまれていくのかを説明し、NTTドコモがどういったサービスを提供していくのかこれからの10年のビジョンを語った。

2010年には薄型ディスプレーで新聞を

講演の冒頭で、NTTドコモが考える2010年の生活のイメージビデオが放映された。婦人が公園のベンチで新聞や雑誌を雑誌大の薄型ディスプレーで読んでいるシーンから始まった。そこへ電話が掛かってくると、画面上に相手の顔が大きく表示された動画が出現し、通話が開始された。

このほか、3Dグラスをかけ遠隔授業を受ける子どもや、道路を横断しようとする老人が持つステッキに仕込まれたモバイル端末を感知して、自動的にブレーキがかかるクルマが登場。ビジネスの現場では、自動翻訳機能を装備したモバイル端末で会議するビジネスマン、机に投影されたキーボードを叩き、遠方にいる顧客と会話するビジネスマン。2010年にはこのようにモバイルが、生活やビジネスに係わってくるというイメージを紹介した。会場からは“バック・トゥ・ザ・フューチャー”みたいだという声も聞かれた。

IMT-2000は2000年春からサービス開始

立川氏は、これからの“モバイルマルチメディア”の展開をどのようにしていくかというとき、ネットワークの整備という観点では、より高速に広帯域な通信に対応していく必要があると語り、2001年春から開始予定の“IMT-2000”サービスがそれを実現すると説明した。同サービスは、高速移動時で144kbps以上、低速移動時で384kbps以上、静止時で2Mbpsの転送速度を実現できるという。

続けて立川氏は「新しい技術は、大体10年周期で導入されてきた。2000年が第三世代のIMT-2000。2010年ごろには次の方式が必要ではないかと予想を立てている。それは第3世代より高速で広帯域の、画像を中心としたサービスだと考えている」と、イメージビデオにあったようなサービスが次の世代のサービスであるいう予測を述べた。

IMT-2000サービスについて立川氏は、「今年の春に(同サービスの)免許を申請して、夏ごろにその免許がおりるだろう。それから工事して、2001年春にサービス開始」という流れを説明し、2002年には人口カバー率60パーセント、2004年には97パーセントと目標を示した。

同サービスの端末については「カメラをつけているのが特徴。そのカメラは固定ではなく回転できるようになっている」、「テレビ電話的ではなくもっと多様な利用を考えたい」と述べた。端末のカテゴリーとして、(1)音声中心、(2)テレビ電話タイプ、(3)パソコン通信に特化したタイプ、(4)カーナビを挙げた。

IMT-2000サービスの端末イメージIMT-2000サービスの端末イメージ



「iモードの370万台はゲーム機に匹敵するすごい数字」

“iモード”に関しては、「(iモード契約者数は)1月末で370万人。これはゲーム機に匹敵するすごい数字であると思っている」と述べ、この数字を実現できたのはNTTドコモの力だけでなく、コンテンツを提供しているウェブサイトの数が充実した影響もあると、コンテンツの充実が契約者数を伸ばす要因の1つであるという認識を示した。

iモードで提供されているコンテンツについて触れ、(株)バンダイが提供する、日替わりの待ちうけ画面キャラクターを受信できるサービス“キャラっぱ!”を紹介した。同サービスが、iモードの契約数370万件のうち、65万件が契約しているという大変な加入率であると、エンターテインメント系のコンテンツに人気が集まっていることを説明した。

立川氏はアプリケーションの開発について、「今年の目玉はJava技術を取り入れ、それを活用していくことである。Java技術を利用して、セキュリティーを高めていく」と語った。セキュリティーを高めることにより、個人情報のやり取りや、決済端末としての機能を強化する狙いがあると思われる。

このほか、位置情報や道がわかるサービスなどを提供する“歩行者ナビゲーションサービス”、音楽配信サービスもまた今年の目玉の1つであると述べた。

最後に立川氏は、「サービスなどの開発はNTTドコモだけで考えるのではなく、パートナーシップを組んで展開していこうと考えている」、「よい案件はいつでも歓迎する」という同社の姿勢をアピールし、講演を締めくくった。

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