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三菱電機、次世代移動体通信システムの国際標準暗号に同社のMISTY技術採用と発表

2000年01月26日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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三菱電機(株)は26日、次世代移動体通信方式であるW-CDMAの標準暗号化アルゴリズムに、同社が開発した共通鍵暗号技術“MISTY”をベースとした技術が採用されたと発表した。“KASUMI”と呼ばれるこの標準技術は、標準化プロジェクト3GPP(3rd Generation Partnership Project)が本年上半期中に正式に認定し、ITU(国際電気通信連合)の標準方式として認められる見通し。同社では、「国産の暗号技術が国際標準となるのは初めて」としている。

三菱電機常務の野間口有氏、同社情報技術総合研究所情報セキュリティ技術部長の竹田栄作氏、同部に所属し暗号技術の開発に当たった松井充氏(右から)
三菱電機常務の野間口有氏、同社情報技術総合研究所情報セキュリティ技術部長の竹田栄作氏、同部に所属し暗号技術の開発に当たった松井充氏(右から)



MISTYは、128bitの鍵長を持ち、64bitのブロックごとに暗号化を行なう共通鍵暗号技術(秘密鍵、対称式とも呼ばれる)の一種。三菱電機が'95年に開発し、基本特許は公開されている。

国際標準となるのは、MISTYの技術をベースに、移動体通信機向けに低消費電力で済むよう改良した“KASUMI”。3GPPから暗号設計依頼を受けた、ETSI(European Telecommunications Standard Institute)の暗号専門家グループ“SAGE”がMISTYをベースとした暗号開発を決め、SAGEに三菱電機の技術者が加わって完成させた。名称はMISTYを和訳して付けたという。

同社はMISTYが採用された理由として、「強力な暗号解読法である線形解読法などに対して安全であることが証明されている」(同社)として、10年以上の使用に耐えうる安全性の高さが評価されたとしている。KASUMIの安全性は、第三者の専門家から、少なくとも現在の手法では解読できないとの評価を得ているという。またハードとして端末に埋め込むことができ、サイズが小さく高速な暗号化が可能な点、すでに実用化されて利用実績がある点も考慮されたとしている。

第3世代移動体通信システムでは、広帯域な特性を活かし、携帯端末を使用した電子商取引が活発になると予測されている。KASUMIの標準化に伴い、携帯端末にはKASUMIの暗号化アルゴリズムが搭載され、取引の際にやり取りするメッセージを第三者から保護し、改ざんを防止する。

同社常務の野間口有氏は、「国産暗号技術では初めて世界標準に選ばれた。次世代移動体通信システムは大きな成長が期待されており、KASUMIは世界でもっとも広く使用される暗号化技術になるだろう」と述べた。

KASUMIの仕様は公開されるため、KASUMIを使用する端末メーカーから同社が直接ロイヤリティーを徴収したりすることはないが、「KASUMIを使用したシステムの販売など、将来の収益にも当然インパクトがある」(野間口氏)としており、標準化技術の“本家”としての実績を背景に、暗号化アルゴリズムを埋め込んだチップや、課金/決済システムなどの販売増を期待している。

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