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KDDと日本シスコシステムズ、CATV網を利用した広域VoIPのフィールド実験を開始

2000年01月26日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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26日、東京港区の新高輪プリンスホテルにおいて、KDD(株)と日本シスコシステムズ(株)は、CATV網を利用した広域VoIP(Voice over IP)のフィールド実験“VIP21”を4月1日より開始すると発表した。

この実験は、CATV加入者の電話からKDDのインターネットサービス網“NEWEB”などを経由し、国内外の電話あてに通話できるもの。全国から200社のCATV事業者を募り、実験協議会を運営、最大2万人のモニターを募集する予定。実験期間は2000年4月1日から2001年の3月31日までの1年間で、通話品質などに関するアンケート調査をユーザー側に対して実施する。

実験のネットワークは、参加モニター側にRGW(Residential Gateway)*を置き、CATV事業者のセンターモデムを介して、インターネット網(NEWEBなど)に接続する。インターネット網とアナログ電話網の橋渡しは、日本シスコシステムズのTGW(Transit Gateway)*を使うことで、IPパケットを音声に変換する。

*RGW:IP電話用のアダプター。音声信号をIPパケットに変換する装置

*TGW:音声メディア変換装置。インターネット網とアナログ電話網を接続し、CATV加入者からのIPパケットを音声信号に変換する

米国シスコシステムズのポール・ボスコ氏(右)とKDDの池田佳和氏(左)米国シスコシステムズのポール・ボスコ氏(右)とKDDの池田佳和氏(左)



今回来日した米国シスコシステムズ、ケーブル&ワイヤレス事業部副社長兼GMのポール・ボスコ氏は「今、米国のCATV業界では、アナログからデジタルへと大変動が起きている。IPを使うことで、データ、音声、画像すべてのデータをブロードバンドで統合することができるようになるからだ。キープレイヤーとなる世界的な企業が動き始めている。それは、AOLと合併したタイムワーナーが世界的なCATV会社であったことからも分かるだろう。シスコではタイタス・コミュニケーションズなどと同様の実験をしているが、今回の実験でユニークな点は、参加できるケーブル業者の数が多いこと。最大200社の異なるシステム同士を接続するのは初めて」と語り、エンドユーザーが満足できるような品質にすることを目標とした。

KDDの執行役員マルチメディア事業本部マルチメディア推進部長、池田佳和氏は、「実験の動機にはラストワンマイル問題がある。通話側のメリットを考えた場合、コストが安くなるだろうが、実際の料金については実験が終わってからでないと分からない。また、現在の実験では一方向の着信のみで、両方向に対応していない。アナログ回線側から電話を掛ける場合、番号の付与をどうするのか、料金の精算をどうするかなど、制度的に解決しなければならない問題がある。今回の実験は、こうした問題を踏まえながら、商用化の実現に向けてノウハウを積み上げていくことに目的がある」と語った。

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