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'99ホリデーシーズンのECは再び成功、ネット企業の経営基盤に課題も――IDC Japanがプレス向け説明会を開催

2000年01月21日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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情報産業専門の調査会社であるインターナショナルデーターコーポレイションジャパン(株)(IDC Japan)は19日、プレス向け説明会を都内で開いた。講演した米本社のアナリストは、米国における昨年末のホリデーシーズン中、B to C(企業-消費者間)の電子商取引(EC)は、一昨年に続き大きな成功を収めたとする調査結果を報告した。ECの将来については、空前の株価高騰に依存しているネット企業各社が、事業の収益を基盤とした経営を確立していくことが重要だと指摘した。

都内で開かれたIDC Japanのプレス向け説明会
都内で開かれたIDC Japanのプレス向け説明会



講演したのは米IDC社eBusinessアドバイザリーリサーチグループ副社長のショーン・カルドー(Sean Kaldor)氏。カルドー氏は、'99年末のホリデーシーズンにおける、B to CのEC市場を調査した結果についてと、B to C分野でのECの将来について講演を行なった。

IDCの調査は昨年11月22日から12月15日までの3週間半について行なわれた。米国内のEC企業の役員1000人に、期間中の売上について質問したところ、85パーセントが期待以上の結果だったと答えているという。また一昨年と比べ、売上が増えたと答えた役員は65パーセントと過半数を占めた上、そう回答したうちの2割が、前年比100パーセント以上の売上アップを達成したという。代表的な例として、ホリデーシーズン中、アマゾン・ドット・コムは250万人の新規顧客を獲得し、Barnesandnoble.comは売上が普段の3倍にアップしたとしている。

その一方で、思わぬ事態に泣いた企業もある。例えばオフラインの玩具販売大手の米トイザらス社は、12月14日以降に注文を受け付けた商品を、クリスマスまでに配達することができず、注文客が同社を相手に損害賠償を求めて訴訟を起こした。およそ3割の役員が、注文が殺到して自社の対応能力を超えてしまったことを認めている。この点についてカルドー氏は、「重要なことは、注文に応じきれない企業に対し客が不満を抱いていることだけではない。企業は、既存のビジネスモデルを描き直さなければならないということだ」と述べ、拡大した市場に合わせ、事業の再構築を始める時期にあることを指摘した。

「投資家は、ネット企業の収益性について疑問を抱き始めている」と語るカルドー氏 「投資家は、ネット企業の収益性について疑問を抱き始めている」と語るカルドー氏



B to CのECの将来について、カルドー氏は4つのトピックについて予測を立てた。

まず第1に、米国がインターネットの中心である時代は終わりを告げるだろうと指摘した。2003年には、米国以外の地域、特にヨーロッパがECの売上の過半数を占めるようになるとの予測を示し、「米国はその支配的な地位を失なうだろう」と述べた。日本もEC売上は増加するが、世界規模で見るとそう大きな割合にはならないという。だが「ECは日本経済に大きな影響を及ぼすだろう」との見方を示した。

第2の予測として、B to CとB to B(企業間取引)といった区別はほとんど意味が無くなるとした。企業がオフラインで行なっていた資材調達などがオンライン化され、2003年には、B to B市場はB to Cに比べ7倍以上の市場規模になるとの見通しを示しながら、「例えばガラスのコップを買おうと思ったとき、企業の担当者も一般の消費者も、同じようなサイトから同じように購入するようになるだろう。もはや両者の区別は意味が無くなり、コンピューターと人間の間、あるいはコンピューターとコンピューターとの間で取引が現実になってくるだろう」とした。

3番目に挙げたのは、金融オンライン化の加速について。「オンライン証券取引を多くの人が利用するようになり、銀行もオンラインバンキング対応を進める。競争も激化するだろうが、この分野ではオフラインの大手がオンラインでも強いという特徴がある」と述べた。

最後に、B to CのECビジネスが通過する4つの段階について解説した。第1段階は'97年前後から始まり、新興ネット企業は資金調達やマインドシェアの獲得に傾注した。第2段階は'98年からで、企業は成長を急ぐため、ヒット数やインフラ整備といった面に意識を集中していたという。第3段階はトランザクション数や売上を気にする時期で、多くの企業は現在、この段階にあるという。「第4段階では、AOLがタイムワーナーを買収したように、オンラインとオフラインとの統合が起こってくるだろう。またトランザクションではなくロイヤリティー、売上ではなく利益やマーケットシェアの獲得に力を入れるようにしなければならないだろう」と述べた。

なぜなら、「株価の高騰に支えられ、ネット企業は事業を展開しているが、それにはリスクが伴っている」という。「米国株式市場では、過去5年間で株価がおよそ3倍にまで高騰しており、このような例は過去にないことだ。だが1つの例外はある」として、米国株価の上昇曲線が、バブル崩壊前の日経平均株価の曲線とそっくりなことを指摘。「いったんこの市場に何かがあったら、新興企業は資金調達の手段を断ち切られてしまう。売上だけでなく高い利益を上げ、独立して経営していけるような基盤の強化を図らなければならないだろう」と提言し、講演を締めくくった。

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