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【CESレポート番外編】CESで見つけた携帯メール端末とCATV用ターミナル

2000年01月20日 00時00分更新

文● エイガアル代表 伊藤淳子

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携帯電話は北欧が一番進んでいて、その次が日本といわれている。しかし、コンテンツサービスなどを含めて考えた場合、日本が世界で一番進んでいるのではないかと思う。

日本の携帯電話市場はなんだかんだといってNTTドコモの一人勝ちだ。かつてNTTがドコモ救済のために考えた仕組み(すべての課金がドコモの懐に入る)が効を奏して、というか思惑以上の発展をしてしまったために、いまや親であるNTT本体よりも強力な存在になってしまったという裏事情があるのだろう。

それはさておき、アメリカではどうかというと、携帯電話を持つこと自体に対し“カッコ悪い”“オタクみたい”というネガティブな印象が強い。また、電話機本体も、日本では考えられないくらい大きくて、ダサいデザインのものしかない。ビジネスで利用する人はずいぶん増えてきたとはいえ、アメリカ全土は広大なため、結局のところはインフラが整わないとビジネスユースもローカルなものに限られてしまっている。

携帯電話はダサイ!?--キーボードから脱却できないアメリカ

米ラスベガスで開催された2000 International CESの会場では、香港や台湾のメーカーがこぞってカラフルな携帯電話カバーや本体をプロモーションしていた。また、未だにページャー(ポケベル)も展示されており、市場開拓と起死回生を狙っている。

日本では携帯電話で電子メールを読んだり出したりできるが、アメリカ人は「あんな小さいキーで文章を打つなんて……」と眉をひそめる。「電話なんだから話したほうが速くていいじゃない。なんでわざわざメールなわけ ?」と。

「日本のティーンは携帯電話のキーでタッチタイプができる」とモトローラの女性に言ったら、「まるでMIT(マサチューセッツ工科大学)のオタク(ナード)みたいね」と笑われた。彼女が引き合いに出しているのは、MITでウェアラブルコンピューターを研究しているチームが使っている、“Twiddler”という片手入力キー端末のことだ。だが、携帯電話やPHSはTwiddlerよりも小さい。アメリカで携帯端末が発展しないのは、キーボードに依存しすぎるからではないだろうか。

今回のCESでは、“キーボードがなくちゃ入力できない !”という人たちのために、折りたたみ式のキーボードが展示されていて、「これさえあれば、どこでもPalmに入力できますよ!」とPRしていたが、そんなに大きいキーボードが必要だろうか。

米Think Outside社の『STOWAWAY』。重さは224gで、価格は99ドル(約1万400円)
米Think Outside社の『STOWAWAY』。重さは224gで、価格は99ドル(約1万400円)



アメリカ風味のポケボーはいかが?

CESではまた“電子メール専用端末”もいろいろ展示されており、どうやらアメリカでのトレンドと見受けられた。電話の延長でフランスのミニテルのような形のものもあれば、電卓系デザインのものもある。液晶画面で、ボタンひとつでインターネットに接続できて、メールの読み書きができるというシンプルな操作が“売り”となっている。

米Landel Telecom社の『MailBug』。重さ約800gで、価格は149ドル(約1万5600円)。ディスプレーは6行×半角79文字を表示。100通までメールを保存できる
米Landel Telecom社の『MailBug』。重さ約800gで、価格は149ドル(約1万5600円)。ディスプレーは6行×半角79文字を表示。100通までメールを保存できる



5年前にこれがあったら「すごい !」と思ったかもしれない。私は機能がたくさんついたガジェット系電卓が好きなので、こういったタコものでも“やさしい気持ち”で見ることができたのだ。だが、1日経って考えると「なんでいまさら」とシラフに戻ってしまった。

米CIDCO社の『MailStation』。重さ約1kgで、価格は99.95ドル(約1万500円)。別に99.95ドルを前払いすることで、1年間の電子メールサービスを利用できる。5IDまで登録できることが特徴。CESにおいて“Best of Show”を受賞した
米CIDCO社の『MailStation』。重さ約1kgで、価格は99.95ドル(約1万500円)。別に99.95ドルを前払いすることで、1年間の電子メールサービスを利用できる。5IDまで登録できることが特徴。CESにおいて“Best of Show”を受賞した



高齢者やパソコンに不慣れな人にはいいだろうと思ったけれど、それではキーボードが小さすぎるし、液晶画面も見にくい。キーボードのサイズは、ちょうどNECのモバイルギアくらいのものが多かった。ウェブに簡単にアクセスできるというコンセプトを残して、大きさやデザイン、インターフェースなどをもっと研究する必要はあるだろう。

ただ、NECの『MK-MC22』という昔のモバギを久々復活させてみたら、キーボードも慣れてしまえば非常に打ちやすい。私的には、机いっぱいにひろがるキーボードよりはこの程度の大きさでもいいな、と思える大きさだ。そう考えると、電子メール専用マシンも悪くないかもしれない。

子ども向けキーボードに掘り出し物が!

ところで、私は自宅でも会社でもノートパソコンを使っているので、通常のデスクトップパソコンも、それに付随する大きなキーボードもいらない。

パソコンはともかくとして、キーボードはとにかく場所をとるんだよなあ、と日ごろ思っていたのだが、CESで子ども向けキーボード『LittleFingers』を発見。

米Datadesk Technologies社の『LittleFingers』。サイズは横318×縦184mmで、キーピッチなどは子ども用に設計されている。eToys.comではオススメとして紹介されており、価格は実売価格で99.95ドル(約1万500円)
米Datadesk Technologies社の『LittleFingers』。サイズは横318×縦184mmで、キーピッチなどは子ども用に設計されている。eToys.comではオススメとして紹介されており、価格は実売価格で99.95ドル(約1万500円)



Macintoshにも使えるコンパチブルで、スケルトンカラーもあってかわいい! そのうえマウスではなくてトラックボールが付いているので便利そう。キーボードのサイズを見たら、ちょうどモバギくらいだった。CESで展示されているもののなかで「欲しい !」と思った数少ないもののひとつといえる。

アメリカならではのCATV用ターミナル

CESは、家電というよりはオーディオ寄りの電気製品展示会で、初めて行った私には少々あてがはずれた。

“Mobile”というエリアで携帯モノがあるかと行ってみると、“モービル”、つまりカーオーディオだったりして、思わず昔、サウンドレコパルというオーディオ誌の編集をやっていたことを思い出したりもした。

また、家電の展示会と思い込んでいたので、インターネットがついた電子レンジとか洗濯機とか、ロボット制御の掃除機とか、そんなへんてこな新製品を期待していたのだけれど、そんなものは残念ながらみじんもなかった。

そのような状況の中、お金をしこたま掛けて“これから一山当ててやるぞ !”という心意気を見せていたのが、TivoとReplayTV。展示スペースも大きく、ReplayTVなどはTシャツを配っていた。

Tivo社のブース
Tivo社のブース



これはCATV(DirecTV)のターミナルで、これを使うとTVを自分用にプログラムできる。どういうことかというと、たとえばテレビを観ているときに中座しても、操作ひとつで、テレビがその間の番組を録画してくれて、席に戻ると続きを観ることができるというわけだ。

また、自分の気に入っているタレントが出る番組を検索して登録しておけば、テレビ番組表がなくても“追っかけ”ができる。もちろん人物だけではなく、テーマやキーワード検索も可能。番組については、DisneyやDiscover Channnel、CNNなど、すでに10チャンネルほどが視聴できる。

Replay TV社のブース
Replay TV社のブース



テレビを録画するのはHDD、というかサーバーで、そこにアクセスするためにダイヤルアップ接続が必要になる。電話は5分間で自動的に回線が切れるようにセッティングが可能。

価格については、Tivoのターミナルはサーバーの容量によって499ドル(約5万2000円)と999ドル(約1万400円)の2タイプを用意。また、使用料は月額9.95ドル(約1040円)、または199ドル(約2万900円)で使い放題のどちらかを選択できる。

ReplayTVのほうは、使用料は無料。ターミナルの購入費用としてに999ドルかかるだけ。ちなみに同社は、Panasonicとシャープの共同戦線である。

日米の距離は、やはり言語の距離なのか

では、実際にこれらのターミナルを使いたいか、と言うと、ちょっとギモンもないわけではない。確かに好きなタレントや番組を検索できるのは便利だ。それもボタンひとつのリモコン操作でできるのだから。でも“そうまでして観たい番組”って、いったいいくつあるんだろう ?

そのうえ、英文検索はアルファベット26文字だけでできるが、日本語検索はもっと複雑で、そもそも検索すべきデータを誰が、どうやって入力するんだろう?

少なくとも、日本ではテレビ番組は増えたが、どこもかしこも同じような内容で、おもしろいものや独自性のあるものはほとんどないし、あったとしてもすぐにつぶれる。このように市場のサイズは日本のほうが小さいのに、言語のほうはずっと複雑なのだ。

現在、これらのサービスはアメリカ国内でしか利用できないが、日本に導入されるとしたら、数年後にまたまた失敗事例が増えるだろう。日本語と英語の言葉の壁はこれまで最低5年くらいのタイムラグを生んできた。もしこれらのサービスを日本に導入するなら、日本語のサービスを考えるよりも、日本人をアメリカ人化したほうが早いのではないだろうか。

現実に、理工系の大学院では今後すべての授業を英語にするという法案が検討されている(これは生徒よりも先生のほうが大変そうだ)。母国語と英語が話せるのが当たり前、というバイリンガル人間を増やせばいいだけのことだ。そして、日本語しか話せないという人は、インターネットを使えないという人と同じ“情報弱者”となっていく。なんて、かなり過激だけれど、そうでもしなければ日米の差は埋まらないように思えた。

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