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【バーチャルバンキングVol.3】自分たちが満足できるサービスを提供したい--日本オンライン証券の齋藤正勝取締役

2000年01月19日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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コンファレンス“バーチャル・バンキング--リーテイル金融進化論”が1月18から19日まで、都内のロイヤルパークホテルにおいて開催された。同コンファレンスは、世界41ヵ国でエグゼクティブを対象にしたイベントなど開催している英International Communications for Management Group社(ICM)が主催するもの。

国内外の金融機関などの講演者が、バーチャルバンキングの成功事例や、金融ネット取引、電子商取引の導入事例などを紹介、導入した効果の検証や金融機関の将来を探る内容になっている。

日本オンライン証券(株)の取締役でシステム管理部長の齋藤正勝氏が、“電子商取引市場を開拓し、ビジネスを展開する”と題して講演を行なった。

日本オンライン証券の齋藤正勝氏
日本オンライン証券の齋藤正勝氏



同社は、インターネットや携帯電話、携帯端末などを利用して証券取引業務などを行なうオンライン証券会社である。伊藤忠商事(株)、安田火災海上保険(株)、マイクロソフト(株)、富士通(株)などが株主となっている。本来であれば既に取引サービスを提供開始していたはずだが、Y2K問題などのテストに手間取り、2度のサービス開始時期延期を発表、いまだ取引サービスは開始されていない。現時点では、2月中旬から取引開始の予定としている。

まず講演の始めに齋藤氏は「自分たちの手作りのサービスをやりたかった」と語った。

「伊藤忠商事の会議室で半年ほど企画を具体化していきました。毎晩、会議室に閉じこもって仕事をしました。そうして、だんだんと企画に賛同してくれる企業が集まりまして、(会社を)設立できました」

「なぜ、オンライン証券をやるの? それは儲かるのか?とよく尋ねられます。...ある程度は儲かります。金融ビックバンの手数料自由化、これはいよいよ始まったなと。これはチャンスじゃないかと。お客さんにとっても、これはメリットのあることで、不満を解消するチャンスじゃないかと。マーケットの状況をみても、追い風ですし、チャンスなんじゃないかと」と、オンライン証券の起業に至った経緯を説明した。

「ブローカーの筋としては、注文執行能力にこだわっています。インターネットとの親和性が高い。ブラウザーのリロードボタンを押すたびに、株価が変わっていきますから。株はどこで買っても、同じ銘柄は同じ商品なのです。説明が楽だということです。情報収集能力が購買の決め手になります」

「同業他社の既存のシステムには問題が多い。共同証券システムで横並びになっています。そこで、新規参入のメリットを生かしたい。金融テクノロジーベンチャーとして、きちんと作ってやっていきたいと考えました」

「日本オンライン証券の役割は、損保の代理店、コンビニ、ウェブポータル、WebTVやザウルス、ドリームキャストなどの新チャネル、金融サービス、テクノロジーベンチャー、この輪の中で同社はわかりやすく言うとブティックだと。百貨店にはなれるはずがない。でも代理店やコンビニや新チャネルなど、あっちこっちに出店できたらいいなと。ショールームで、テクノロジーをバンバン見せびらかしましょうというところです」

「アクセスポイント、デリバリーポイントを整備して、既存の財閥グループを越えた面白いポジションを維持したいなと考えています」

「ライフスタイルのイメージなのですが、まず銘柄をスクリーニングします。例えば100万円で買える通信銘柄というのを入力すると画面に一覧が表示されます。それをじっくり分析して、“条件注文”します。この条件注文にはこだわっていまして、いついくらになったら売る、買うだけではなく、“指定成り行き”や、こうなったら値段を修正してねとか、こうなったら注文を取り消してねなど、さまざまな条件を設定できます」

「次に、注文約定結果をリアルタイムで携帯電話で受け取ります。これは自動音声で20秒以内の長さで送信します。20秒以内じゃないと10円に収まらないので苦労しました」

「最後に、顧客ごとのアセットレビュー(預かり資産や取引明細の一覧)を、自宅のFAXで受け取る。こういったライフスタイルをイメージしています」

齋藤氏の講演からは、妥協せずに自分たちが満足できるサービスを提供したい、それはすなわち顧客も満足できるサービスであるというこだわりを随所に感じることができた。

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