【年始特別対談 Linux編 Vol.3】旧来のビジネスモデルにはない方法を、Linuxでは展開できるのか?--そして時代はインターネット常時接続へ
2000年01月06日 00時00分更新
対談のVol.2では、'99年になった出現したLinuxビジネスについての総括が語られた。今回のVol.3では、現状のLinuxビジネスがはらむ問題点について、参加者の意見が交錯。Linuxに求められる新しい形のビジネスモデルについての話題で盛り上がり、そしてインターネット常時接続が切り拓くLinuxの明るい未来へと話は続く。Linux対談完結編、その結論はいかに?
<対談参加者>
風穴江氏(Linux Japan編集長)佐渡秀治氏(金沢経済大学、日本Linux協会理事)
鈴木大輔氏(日本SGI(株)、日本Linux協会理事、Project Vine代表)
宮原徹氏(日本オラクル(株))
やまだあきら氏(日本SGI(株)、日本Linux協会理事)
吉岡弘隆氏(日本オラクル(株))
フリーソフトのサポートビジネスは成立するのか?
吉岡「たとえばね、サポートはビジネスっていう観点からとらえてみると、linux-users(のメーリングリスト)とかに“私のLinuxのマシン、動かないんです”と聞いたら、“バージョンを言え”と怒られちゃうわけよ」「それをサポートビジネスという観点から取れば、“それはお客様だ”と。お客様なんだから、動かないと言われたら“任せてください”と最初に言うとかね。そういうところなんですよ。それ、技術でも何でもない、単にやり取りのアレだったりする」
編集部「今そこまでサービスが提供できている業者がないと?」
吉岡「それはもう完璧に真空地帯だから。それをちゃんとテクノロジーをしっかりして、ビジネスもしっかりしている企業があれば、それはでかいニッチ産業に変えられますよね」
やまだ「すごくでかいニッチですよね」
宮原「なんかLinuxcare*とかを待っているっていう日本人のこと、よくわかる。やれるはずなのに」
*Linuxのテクニカルサポートやコンサルティングに特化した、米国のSIベンダー。ウェブサイトはhttp://www.linuxcare.com/。
佐渡「誰かやってしまえばいいような。こっちとしてはビジネスのほうはあまり、そんなに明るくないので」
宮原「たとえば商用アプリケーション、フリーソフトっていうのは別にLinuxよりも前に、Apacheとかがあったし、sendmailもbindもあったから、フリーソフトを使う人は使うし、使わない人は使わないという感覚はあったと思うんです。商用ソフトをフリーOSの上で動かすという感覚は、今年ブレイクできたからやっぱり、次は“フリーソフトのサービスはこうだー!”っていうのが言えるところなのかなと」
鈴木「耳が痛いんですけど(笑)」
やまだ「サービスしてもお金もらえないですからねえ」
宮原「いいんですよ。ぼくはこのあいだのRubyカンファレンスのときに言ったんですけど、“Rubyのエンタープライズエディションって作ってください”と。で、作者のまつもとさんが“それ、どういうものですか?”って聞き返したので、“ダウンロードできるものと同じものでいいです、単にエンタープライズエディションって言ってください”と」
「それで、ポクが“サポートメニュー、どうすればいいんですか?”といったら、“オンラインでのサポート、受けられます”と。“それ、何ですか?”と聞いたら、“メーリング・リストへの案内です”。“いくらですか?”“30万です”。それでビジネスは実は成り立つんです。日本って」
鈴木「成り立たなかったんですよ、Sambaは」
宮原「そんなことはないですよ」
鈴木「日本SGIが、サポート付きSambaって売ってるんですよ。メールと電話でサポートする、壊れたら誰かが行って直す、バージョンアップになったらバージョンアップしに行く。これで30万。ほかのプロダクトと比べると、そんなに高いわけはない。うち(日本SGI)のプロダクトから比べるとゴミみたいな値段なんです。それでも、年間数本」
日本Linux協会理事の鈴木大輔氏。日本SGIでもLinuxを担当しているが、JLAにはProject Vineのメンバーとして関わっている |
風穴「たとえばオラクルっていう名前でサービスを用意すれば受けると思うんですけど、まあウィンドホール(風穴氏の個人事務所)でやっても(笑)」
佐渡「それはやり方じゃないの」
吉岡「それはね、やっぱり商品として見ればね、営業努力とか、マーケティングとか、当たり前のビジネス展開をしないと売れないんですよ、それはフリーだろうが有償だろうが。そういう当たり前のことをやって、企業の門を叩いてやれば、金払ってもいいからどうにかしてくれっていうユーザーは、少なからずいるんです。それを発見してないんですよ、まだ。Linuxのサポートビジネスというのを称している人たちは」
「現状のLinuxビジネスというのは、インストールサービスとか、インストールに対するQ&Aとか、60日間のインシデント3本で何万円ということだけ。お客さんが本当に望んでいるものを、かゆいところに手が届くようなものをメニューを提供しているかというと、まだ試行錯誤の段階で、それはほとんど提供されていないんです」
「だから、今年Linuxのサポートビジネスというのが課題になっているという指摘があったけど、それをビジネスとして利益を上げるかたちで展開しているところはね、全然ないと、総括として言えば。だけど、日本はサービスに対してお金を払わないという定説があるけど、そんなことはなくて、金払う人はいっぱいいるんです、本当に」
予算が厳しい地方のSIベンダーから、Linuxは歓迎されている
宮原「統計取れば間違いなく、日本のIT産業って、ほとんどが1人月(1人の労働×1ヵ月)いくらで成り立っているはずなんです。そうじゃないと、ますます成り立たないですよ。どう考えても、見積別に全部取れというわけではないと、“誰々がいくらでどれぐらい働いたからトータルでいくら”というのは絶対あるはずなんです」「逆に言うと、オラクルのスタンスからいくと、どう見てもオラクルのライセンスって、どの案件でも(全体の予算の)1割ぐらいです。それぐらいの剥き出しのパーツですから。あれはやっぱり10倍ぐらいの人月をかけないと、まともに使えるものにはならないです」
やまだ「大きい企業はできるかもしれない。ベンチャーでやって通用するかどうかというのは」
宮原「ベンチャーの場合にはますますそれに拍車がかかって、商用のソフトウェアパーツは購入できませんという世界に入るんです。入ってくるフィーのほとんどが、開発とサポートの代金だけで終わっちゃうんです。エンドユーザーが出す予算というのは」
「だからOracle買ってもらえないですね。“Oracleは高すぎて買えません”と、22万円のやつが買えなかったり、9万8000円のが買えないんです。OSも、Windows NTの5ユーザー20万円っていうのが買えないんですよ。ハードで50万掛かっちゃってるから、開発工数50万円ですっていうと、もうソフトは買えないんです」
「そういう会社さんを何10社と回って聞いてきて、“Oracleやりたいけど、ウェブでやるんでApache+PHP+PostgreSQLです”、というのをたくさん聞いてきて、“あ、Linuxやらなきゃ”と思ったんです。少なくともNTのところだけ削れば、Oracleが入り込む余地がちょっとでもできる。それは完全に値段の積み上げで、Oracleが入り込めないところをちょっとでも入りやすくしたかった」
やまだ「それね、こないだまで地方にいたからアレなんですけど、そういうところで“それできるの?”って言われると、ちょっと疑問に思いますね」
宮原「ビジネスとして?」
やまだ「ええ」
宮原「そこはね、逆に言うとビジネスにならなくて、そこからみんな脱却したいと思っているのね」
やまだ「そうそう、思っているんだけど、微妙なバランスのところで、こう」
平成不況とLinuxの微妙な関係
宮原「それはね、とりもなおさず日本の経済が停滞しているからという結論にならざるを得ないんです。本当に、地方に行けば行くほどお金回ってなくて、フリーソフトウェアって本当にありがたいって今思ってますよね。日本の経済が停滞しているのと、Linuxが盛り上がってるのは、因果関係はないと言い切れる人は誰もいないですよ、間違いなく」編集部「逆に言えば、バブルのときだったらLinuxはうまくいかなかったかもしれないと?」
宮原「バブルのときだったら、きっとLinuxはうまくいってないと思います。必要ないから。というのはバブルのときだったら、安定性が必要だったら商用UNIXに走ってます」
編集部「なんかあったらお金かけてサポートしろと」
宮原「とにかく低コストで、かつ手間がかからなくて手離れがよくて、たまに見に行ってあげるだけでいいとかというのは、作るほうから見るとベストなんですけどね。そんなのないですよね、Linux以外」
編集部「不景気がLinuxにプラスになったと」
鈴木「そうした原因にはなってますけど、すべてではない。ビジネスになるようになったかというと逆ですね」
宮原「だからね、離陸できないんですよ」
鈴木「安いからっていって買うから、サポートに金払えない。で、それで食おうと思って始めた会社は、小さいところでクククッてなっちゃって、全然出られない(笑)」
宮原「これが逆説的な面で、Linuxビジネスが今年、中間層の人たちが離陸できなかった理由でもあるだろうし」
佐渡「不景気はそんなにいいことじゃなかったような気がしますね。まあ、あまり不景気とか好景気はLinuxのコアなところの発展には、それほどの影響はないわけですから。ビジネスのところで考えると、いいこともあるけど、注目を浴びるということではいいこともあるけど、ビジネスとしてうま味があるかというと、そんなにはない」
Version 2.2がリリースされた'99年
編集部「時間も押してきました。宮原さんはLinux10大ニュースを挙げてきてくださったので、それをズラッと」佐渡「まだ、テクニカルなこと全然出てないよ(笑)」
鈴木「今年、2.2が出たことかな」
宮原「今年で、自分的にはOracleを出荷させたことと、プロジェクトブルーを作って、けっこうやれたなっていうのはあるんですけどね。カーネル 2.2って、けっこう自分としては面白かったな、特に SMPが」
佐渡「SMP……」
宮原「ボクは、SMPが一番楽しかった」
編集部「バージョン2.2が今年の10大ニュースの一つであるというのは皆さん異存はないですか?」
佐渡「まあ、いろいろな意味でね(笑)」
宮原「意外と8、9あたり(Ver.2.2.8~2.2.9)でけっこう足踏みしましたよね」
鈴木「もう大丈夫っていうのは11ぐらいですか」
宮原「2.2.11くらいね」
やまだ「11はヤバいっていう(笑)。ホスト2つぐらい落ちてる」
宮原「これだけたくさんの人たちがLinuxに注目している中で出てきたバージョンで、かつコミュニティーモデルというかバザールモデルでの開発にみんな注目している中でね」
鈴木「でももしかすると、今年中にまだ出ないかな」
宮原「2.4、どうなるのかなっていうのが来年についても」
いまLinuxに求められる、旧来型ビジネスモデルからの脱却
宮原「あと、やっぱり外せないのがレッドハット。(米国で)IPO(株式公開)して日本にレッドハットジャパンができましたと」やまだ「あと、VA(笑)」
宮原「VA(Linux Systems)はちょっと入ってないんですけど。やはりレッドハットですよね。これ見方はそれぞれですけど、ボク自身はネガティブに見てて。今までと違うやり方をLinuxではやってほしかったんだけれど、ただ完全に普通の、いままでの経済原則に則ったやり方だけでやってしまったんで、おもしろくも何ともないし。おもしろくないんだとすると、Linuxみたいに新しい動きの中では、たぶん淘汰されるんじゃないかと」
日本オラクル(株)でLinux事業推進を担当する宮原徹氏。『Oracle 8 for Linux』の伝道師とも呼ぶべき存在だ |
編集部「それはレッドハットの日本の法人という意味ですか?」
宮原「アメリカでもそうですね。面白くない。日本がちょっと危ないんであって(笑)」
佐渡「シグナスが(レッドハットに)買収されたのはどうなるんだろうな? っていう」
宮原「レッドハットの一連の動きの中で、Linuxというものをプラスに持っていこうという動きが、レッドハットにはほとんど見えない」
鈴木「逆に言うと、Linuxという特別なやり方をしなくても、今まで通りに会社をでかくすることはできてしまう素材である。あれによって、今まで通りのやり方、かつLinuxというのはどうしてもライセンスがなってますから、あれをうまく融合してくれるところが出てこないかなと」
宮原「ボク自身としては吉岡さんがいつも言ってるとおり、プログラマーがプログラマーとして生きていけると。あるいは地方の人たちがエンドのところでもがいているのを、何らかの形でLinuxというのが変革する契機になるのではないかというふうに、ことあるごとに言っているんです」
「でもレッドハットのやり方を見ていると、全然そうではなく、中心にいる人たちがお金を儲けるために何かやっている。お金を得て、何か変革するために使うという意図が見えないで、シグナス買収しましたっていうのは、全然発展的じゃないし、建設的じゃないと思うんですね」
編集部「あくまでビジネスというか」
宮原「ビジネス的に、M&Aするのっていうのは通常のビジネス手法。ファンド設立して、それこそ何かの催しをして、リテラシーをアップするとかというアナウンスする前に、“マーケットのキーになっているカンパニーを買収しました”って。それはただの拡大志向にあるSB社方式じゃないかっていう」
「要するに個人資産というか、全体としての評価額を上げるための手法と同じであって、リテラシーとかテクノロジーをアップするための使われ方は何もされていないわけです」
編集部「今おっしゃっているのを逆に言えば、どこかがファンドを作って、リテラシーをアップするような動きが求められていると?」
宮原「手法は何でもいいんですよ。たとえばボクが評価しているのは、オライリー(・アンド・アソシエイツ)が、誰だっけPerlの人? そうラリー・ウォール、ラリー・ウォールを社員として雇ってるけど、別に仕事をさせるわけじゃなくて、たまに本を書いてねっていうぐらいの、パトロンとしてやってますというふうなやり方とか」
「まあレッドハットもやってるんだろうけど、じゃあさらに儲けたお金でさらに増やしたかというと、増やしているわけじゃなさそうだし。逆に言うと売れるようになった時点でパトロンとしてやっている人たちみんな、売り抜けて独立するんじゃないかって言われるぐらいだと、ちょっと変だよねっていう感じがして」
佐渡「アラン・コックスって、レッドハットじゃないの?」
宮原「レッドハット。アラン・コックスなんかも持っている株を、半年たって売れるようになったら売って、辞めちゃうんじゃないかっていう」
「ボクとしては、もっともっとIT業界が変革されて、どういう変革かはともかく、“オレはこういうのをやったぜ”というのをみんな胸張って言えるような。仕事としてやったんだけど、オレはこれをやったぜと。いままでだったら会社としてやりましたというのがあって」
課題の多い国内ディストリビューション
やまだ「そういった意味では、言っていいかどうか知らないけど、国内のディストリビューション作っている人々は、声が大きいわりに内容が伴ってませんよというようなことがあったり」鈴木「厳しい発言」
宮原「Linuxで動きがあるのって似たりよったりで、何が差があるのっていうのを当人に、並べて聞いてみないとわかんないとかというのが」
佐渡「国内に関してはやっぱりいろいろ事情がありまして。というのは、テクニカルな事情が一番大きい」
吉岡「テクニカルな事情って何なんですか、ちなみに?」
鈴木「テクニカルな事情は、Lで始まる会社が(笑)」
佐渡「パッケージとしての整合性とか、品質の面で一番いいと言われているのがVineとかっていう状況じゃあダメだよね(笑)」
日本Linux協会理事の佐渡秀治氏。JLAにおける“イベント屋”的な存在で、Linux関連イベントの裏側には、必ず佐渡氏が関わっているといっても過言ではない |
宮原「ディストリビューションは、もうやめようよっていうのがボクの意見なんです。ディストリビューションは、競い合うのをもうやめたほうがいいんじゃないかな。日本国内としてはディストリビューション多すぎますよ、間違いなく。それが多様性だとは、ボクは全然思えない」
編集部「自然淘汰されていくもんじゃないんですか」
宮原「自然淘汰できないですよ」
やまだ「だって、声大きいんだもん(笑)」
ディストリビューション間で激しい品質差
宮原「ボランタリーになっているもんだから、ある意味では自己満足の世界なわけですよ。けど、いまのLinuxを取り巻く環境というのは、自己満足じゃなくて、何か供給してほしい人たちっていうのがたくさんいる状況で、自己満足で、それこそコストもベネフィットも、レベニューも何も関係ない人たちというのは、そもそもかみ合わないわけです」「じゃ、Linuxを使いたいというのは何かなというと、実はディストリビューションじゃなくて、Apacheとかsendmailとかbindとか、その上で動いているオープンソースのソフトウェア、フリーウェアになってます」
「それこそプレインストールモデルが当たり前になったら、ディストリビューションがどれかというのは基本的に関係なくて、ただそのディストリビューションによって、設定ファイルがどこどこに入っているとか、その程度の差でしかなくて」
佐渡「それ以前にも言いたいんですけど、いまの状況は、ディストリビューションって品質は非常に差がある」
やまだ「今の状態でプレインストールして、さあ、どうぞみたいなじゃ」
宮原「品質とディストリビューションが多様だというのは、が全然関係ない」
やまだ「まあ、あれは多様ではない」
宮原「多様じゃないよ。多様性とかいったら、たとえばApacheに対してボクが最近注目しているのはZEUS。Apacheはパッチで発展してきて安定性とかユーザー数の多さのモジュールがあったりとかいうのに対して、ZEUSは逆に言うとECとか、ハイパフォーマンス、ハイアベイラビリティーといった多様性がある。そういう多様性は目的志向なんですよ」
「目的志向で、このディストリビューションはこういう目的で使ってもらいたいために、何も言わなくても“CDブートで入れれば、この目的で使えます”とかというのが全然出てこなくて、昔のシェルも10個も20個も入っていたりとか、ゲームが入っていたりとか(笑)。で、マニュアル、ついてないんだよね」
やまだ「マニュアルは難しいんだよね」
宮原「だってコマンドわかんないんだもん。usr/binとか見ないと、何が入っているのかわからない」
やまだ「こないだ某社のマニュアルを見ていたら、どうも自分が書いたもんじゃないかと(笑)」
宮原「そういう世界に進んじゃってるから、もっともっと目的志向でいって、自分たちが手間かけなくてもその目的が達成できるようになれば、もっと簡単に手離れよく目的を達成できる。で、時間があまるわけですね。時間があまったところで、ユーザーさんに対して、何がやりたいんですかって、もっと発展的な話ができる」
「目的を突き詰めて集中してやることによって省力化されて、時間ができて、また次のことに使えるという。いい方法のスパイラルにいけるようになれば。NTってどちらかというと、“何でもできますよ”と、“モバイルからハイエンドサーバーまで、 Windows2000で何でもできますよ”と。何でもできますでみんな混乱している、カオスなんです」
鈴木「Vで始まるディストリビューションもそっちに向かってるから(笑)」
全員「(笑)」
対談を終えて、渋谷の街中でパチリ。熱を帯びた対談は予定の時間を大幅に過ぎてしまい、吉岡氏は終電のために早退したほど。おかげで、中身の濃い対談を収録できた |
低額のインターネット常時接続が、Linuxにとっての追い風に
編集部「ところで2000年というところではどうですか?」宮原「2000年というのは、間違いなく常時接続、低額専用線。これにフォーカスが当たって、ここでWindowsって、出てこないと思います。間違いなくLinuxが低額の常時専用。ボクもOCN引きましたから」
佐渡「いやー、リッチですよ」
鈴木「低額じゃないよ(笑)」
宮原「今だってKDDが2万4000円*ですから、OCNのアクセスライン使って。2万円切るのは、もう来年中です。 パワーインターネットユーザーは1万5000円ぐらいですね、感覚的に使っているのは今。2万円を切った時点でパワーユーザーが一気に低額専用線に流れると、マーケットはもっと膨らんで、今だとISDNダイヤルアップだったところが、低額専用線に変わると思うんですね。ここでLinuxをどうやってブレイクさせるかが来年のテーマです」
*実際には月額利用料金2万2000円。さらにOCNアクセスラインの月額使用料が約1万円必要
佐渡「まあ、専用線とか出てきたら、Debianになってしまうような気がしますけど。Debianというか、コーレルはもう」
宮原「コーレルというよりは、ボクはStorm。Storm Linuxが来年はブレイクする。ちょっと予言」
鈴木「予言というか、してほしいんだけど」
佐渡「してほしいんだけど、なかなか」
宮原「ディストリビューションたくさんあるけれど、これを使いたいっていうふうな売りがないんですよ。Debianっていっても、deb以上でもなくdeb以下でもない。逆に言うとボクはStorm Linuxに注目するのは、パッケージシステムとしての完成度のdebを評価しつつ、自社のテクノロジーを注ぎ込んで、独自のディストリビューションを作っているところです。要するに差別化要因がDebianって、ないんですよ。スーパーセットだから」
やまだ「いや、差別化はあるんですよ。rpmに対しては」
宮原「rpmとdebの勝負というのは、ボクはある程度ついていると思っています。Debian自身の差別化要因というのは、“rpmがだめ”ってなっちゃうとないんです。それはスーパーセットだから。スーパーセットのすごさはあるけれど、目的志向ではないと思うのね」
やまだ「だからDebianの人たちとしてはそれをベースにやってもらえばいいでしょう」
宮原「だから、そこの連携という目的志向でサブセットを作ってったところと、スーパーセットであるDebianという母体になるところの連携が、たぶん来年キーに。で、 rpmもどうなるかはわからないけれど」
佐渡「そのへんの連携がうまくいかなかったから、rpmっていうのがあるわけで。debっていうのは、かなり厳格にそのへんはうまく動かしてるし、いまのところ出てきているDebianのサブセット的なものというのはまだまだ」
鈴木「あのポリシーがすべてですよ。パッケージングの違いこそ、それは機能的にどっちがいいとか、どっちが悪いとか、どっちが多いとか、あるけど。rpmでは何がポリシーなのかよくわからない」
やまだ「こっちとこっちは同時に扱えませんってなっちゃったのが」
鈴木「ポリシーを決めて、誰が作ってもそのポリシーどおりに作れば、一緒に組み合わせて使える。それがDebianのいいところ」
やまだ「それをそのまま持ちつつ、簡単に言うと抜き取るかたちで、どう選ぶか」
宮原「そうそう。だからそういう意味ではコーレルとStormというふうな新しく出てきたディストリビューションが、debを使っているというのはすごい象徴的だと思いますね。ビジネスベースからいくと、Debianの目的がいまいち明確になっていない。スーパーセットだと、ビジネス用途って若干見えにくい部分があるんです」
佐渡「ビジネスで入っていくにはコーレルとかStormとか。そういうものでどんどん広まっていけば、そういうStormにしても、コーレルにしても、結局Debianなんだから」
宮原「そういう意味ではエンドに対してサブセットとして入っていったStormとかコーレルの、フィードバックをDebianにどうやって入れていくかという形で、一つサイクルができれば、来年はけっこうDebian系ですよね。そっちのほうの盛り上がる可能性は高いだろうなと」
佐渡「そのへんでネットワークの普及とかというのは、かなりキー」
宮原「そう、どのディストリビューションでも基本的に同じルールでできているから、技術の流用性が高い。今の“ディストリビューションどれ選んでいいのかわからない”というカオス状態を整理するためには、そういう厳格なルールがけっこう求められているのではないかと」
佐渡「だいたいLinuxというのはネットワーク上でどんどん上がってきたりしてきたのに、今までの既存のソフトウェアパッケージのような、箱でくるというものは、あまりなじまないような気がするんですよね」
宮原「だからレッドハットの6.1も、ネットワークのアップデートサーバーからもってきてアップデートできるというふうな、ネットワーク志向に変わったんだよね、たぶん」
鈴木「Debianとかっていうのは、結局、そのへんはまったくタダ」
風穴「タダっていうか、日本のレッドハット6.1は、足りない設定をアップデートで持ってこいって言うんですけど」
佐渡「なんか、噂によると、どこかのディストリビューションは、だんだんポリシーが薄れてきているという。噂があるんだけど(笑)」
日本が世界に貢献できる分野はインターナショナリゼーションか、それともグローバライゼーションか?
吉岡「あとね、課題としてはやっぱりインターナショナリゼーションをどうするかというのがありますね。今回いろいろ勉強してみてわかったのは、日本からのフィードバックが少なすぎる。これまたね、物議をかもし出すアレなんだけど」
日本オラクル(株)でプリンシパルエンジニアを務める吉岡弘隆氏。'99年まで米オラクル本社に赴任しており、シリコンバレーのプログラマー事情に詳しい。『Oracle8i 最新テクノロジガイド』(アスキー刊)など、執筆の分野でも活躍している
佐渡「その方面では、どう考えても日本というのは一番コミットしている分野で」
風穴「そういう見方もありますよね」
鈴木「ほかのアジアの国から比べればという意味で」
宮原「英語の壁がデカイ !」
佐渡「声が小さいというのはあるね」
宮原「ただ韓国なんかだと、ハングル翻訳されたマニュアルとかないから、英語をやらざるを得ない環境にいたりするんだよね。できる技術者は英語ができてあたりまえというような環境が自然とできていたりして」
「日本って逆に環境がよくできすぎていて、マニュアルも翻訳されてるから英語できなくても何とかなって、エラーメッセージが英語になったとたんにビビってしまう技術者がいかに多いことか。中学生レベルの英語でも、わかんないんでどうにかしてくださいって、MLに流れるわけですよ」
佐渡「Linuxとかの業界でくくると、どう考えても日本のコミットは少ないとは言えないわけで。Linuxではないけど、Mule
Projectのような、あんなことやってるグループなんて、とてもほかのところにいないんだけど」
風穴「さっきのハッカーの話と、たぶん根は同じだと思うんですけど、インターナショナリゼーションに関する意識とか、そういうことに関しては、日本人ってすごい昔からね」
佐渡「m17nなカンファレンスとかではもう世界中からいろいろなところが、本当に聞いたこともないような国の、聞いたことのないような民族の言葉のためのローカリゼーションとかって、どうすればいいんだろうとかというのを真剣に話し合ったりするんですよね」
風穴「そういうのがあったにもかかわらず、でも日本の社会とか、あるいは状況がちゃんと引き上げられなかったっていうか、そうした人たちが表に出てくるような仕組みを作れなかったという責任みたいなのがあるかなと。それはだからさっきハッカーとか、いろいろ発掘されないという話につながると思うんですけど」
Linux Japan編集長の風穴江氏。12月24日には『さわってみようLinux -Live Linux Lite体験ツアー-』(アスキー刊、1280円+税)を上梓。CD-ROM付きで、“インストール不要で本物のLinuxが動きます”がキャッチフレーズ。Linux未体験者は、これをキッカケにLinuxの世界を体験したいところだ
Linuxにはオープンソース界におけるリーダーシップの役割が求められている
編集部「そこは来年期待できるということなんですか?」佐渡「そこに関しては、いったい何年そんなことをやってるんだろうなっていう、Linuxの歴史よりも長い歴史があって」
風穴「やっぱりLinuxのムーブメントというのは単にLinuxにとどまらない」
佐渡「何でLinuxでやらなくちゃいけないかというのは、Linuxがここまでガンときてしまうと、やっぱりほかのUNIX環境に対しても、ほかのオープンソースの環境に対しても、Linuxが旗頭、リーダーシップを取ってやっていかなくちゃいけないような状況になってしまう。だからLinuxのほうでうまく、それをうまく推進していけるようにしていかないといけない」
吉岡「インターナショナリゼーションに関してね、日本でガンガンやってるっていう理論は、もう10年以上前から聞いてて、聞き飽きてるんですよ。自分が仕事にしていてね、アメリカに行って日本語を入れるとか、ダブルバイトをやるっていうのは、自分でもう10年以上やってたわけ。で、たとえば何かのスペックを書いて、これをどうしようって日本で呼びかけても、ハシゴ外されちゃってて、ほとんどそれがバックアップされた経験はないんですよ」
「たとえばね、ユニコードがいいとか悪いとかいったときにね、ユニコードカンファレンスに行って“あんたのやり方はつまんない、もっといいやり方がある”ということを発言している日本人って、どれだけいたかっていうと、来てるのはサンの人くらい、日本人はそのくらいなんです」
「だけど日本じゃね、ああだこうだ言ってる人はいっぱいいるわけ。だけど、言ってるんだったらその意見を、ユニコードのところに持ってって……」
佐渡「ユニコードカンファレンスに関しては、UNICODE.ORGの、“今のユニコード”の設立経緯に関してはすごくイロイロなことがあって……。簡単に言ってしまうと、日本にいた人たちは、ユニコードなんて欧米の人たちも相手にするとはまったく考えていなかった。考えてもいなかった規格だったんだけど、ある時期の、いつかの会議で、なぜかコロッと方針が“今のユニコード”の推進のほうに傾いてしまって、いまのいわゆるユニコードですが、ISOで……」
吉岡「だから、それは消極的にさぼろうという戦術を取ったのが日本なんです」
佐渡「そう、そのときにさぼろうとして戦術を取ったんだけど、まったくそれは誰も、そんなものは広まるなんて思ってなかったですよ。それはほかのアジア圏もそうなんですよ。いきなりそうなったんですよ」
吉岡「それはちょっと違うんだけど」
佐渡「いや、そんなわけはないんですよ。その当時はそうだったんです」
編集部「インターナショナリゼーションについては、2000年はどうなるか注目したい、ぐらいにしかまとめられないんですけど(苦笑)」
宮原「グローバルにソフトウェアをどうこうしろっていうのは、ただ単純にコンピューティングしてるだけでは生まれてこないと思うんですよ。ボクもローカライゼーションとかやったことあるけど、仕事でやって、何でこんなに面倒くさいことをやんなきゃいけないんだろう、みたいなところからしか絶対生まれてこないとと思うんです」
佐渡「国際化とか、まじめにやろうとしてるやつが、どうも日本だとac.jp(学術系)に多すぎるような気が。“これでやればすべての世界の国は丸く収まる”ようなのがあるんだけど、それが結局ac.jpだと日本だと、そこからac.jpの枠を超えない」
宮原「学術的に、こうやればという研究がね」
佐渡「アメリカとかだと、eduでやったことは、すぐにcomにいきます」
宮原「ただ、ローカライゼーションとか、インターナショナライゼーションとか、マルチリンガライゼーションというのは、ある意味ではせっつかれているエンドユーザーと開発側の妥協の産物を、ちょっとずつ前進させるしかないわけなんですよ」
「だから、来年はたぶん、けっこう進むと思いますよ。Linuxをこれだけみんな使おうといったときに、ユーザーから“何で日本語名のファイル使えないの?”とかっていうのが上がってきたときに、それってどんどんフィードバックされていくんですよ」
「それで、“じゃあ直すか”という人が出てきて。今まではメーカーとユーザーという二極構造しかなかったんだけど、今後はもっと何人もの人が介在して、多少時間かかるかもしれないけど、じゃあこういう例が出てきたから全体的にこうしようか、みたいなのが、もっと枠を超えて出てくると思うんです」
やまだ「こういうネットワークを作ろうと」
宮原「一昔前だと、ネットワークにつながってる人って、ほとんどがac.jpか、co.jpでもリサーチにいた人しかいなかったでしょう?」
やまだ「いや、そのネットワークじゃなくて、人と人とのネットワークを作る努力をしないと」
宮原「手段がなかった。昔はUUCPで、acとcoのリサーチにいる人しかメールでやり取りとか、fjとか、そういうのしかなかったでしょう。ミートする機会はまったくなかった。ゼロだった」
やまだ「そのへんのこともあるし、雲の上の人、RSユーザーとか」
宮原「ローカライズした人は偉いっていう習慣は、そろそろやめたほうがいいと、ボクは思うんです。今まで外国で作られたものをローカライズして、偉い人、第一人者的に見られた人たちが、それに満足していないっていうのが非常に、来年の発展要素にはなってくると思います」
オープンソースが切り拓く、“プログラムとコンピューターを我らの手に !”
宮原「だからローカライゼーションからインターナショナリゼーション。あとファウンダー、最初にこのソフトを作りましっていう人。だからRubyなんか注目しているのはそのへんですよね。日本から出てきたプログラム」「パソコン通信がはやり始めたころって、たくさんいたと思うんですよ。PDSとか、フリーウェアとか、著作権がどうこうとか言ってたころって。“こんなもん作ってみました”と、サンデー・アマグラマーみたいな。いま、ないじゃないですか、あんまり」
編集部「ないんですか?」
宮原「やっぱり少ないですよ。あのころの熱気に比べて、なんか最初からシェアウェア狙いとか、プロのプログラマーの人がサイドビジネスに近い感じで作っているやつが妙に目につくんです、見てると。昔みたいな、フリーウェアでこんなの作ってみましたっていうの、ちょっと少ない」
編集部「なんか異論がある感じですね」
佐渡「それは Windows系の話だから。Windowsの世界なんて、入ったこともないので(笑)。シェアウェア集とか買ったことはあるけど」
宮原「ボクとしてはね、あのころの感じがけっこう好きだったんですよ、98が全盛期迎えてて、フリーウェアがあって。ボクもアセンブラでちょっとしたショートプログラム作って公開したりしてたし。もう1回そういうのがきたら、面白いよなあという。複雑化しすぎたのが、また単純化しないかなあって」
やまだ「Rubyとかまだあまり知られてないから。ちょっと入ってこんなん作りましたって言うと、けっこう、“ああ、そんなん作ったのか”と反応してもらえて。それもやっぱり楽しい。単純に」
宮原「Linuxっていうのは、“どうやって使ったらいいんだ”というのは、マイコンの時期とけっこうオーバーラップする部分があると思うんですよ。情報源が月刊アスキーとベーマガ(ベーシックマガジン)しかなかったような」
やまだ「あとI/Oとね(笑)」
宮原「I/Oなんかオープンソースですよ。I/Oとベーマガって、バリバリのオープンソースじゃないですか。だって1冊すべてオープンソースの雑誌」
やまだ「たしかにスゴイよなあ(笑)」
宮原「だってダンプリストですよ。16進数バシバシ打ち込んで、RUNさせちゃって暴走しちゃってどうしようとか(笑)。そういう世界だったわけじゃないですか。同じと言えば同じだし、違うと言えば違うんだけど、もう一度コンピューター使うぞっていうところに戻って来たと思うんです。吉岡さん、同じように感じません?」
吉岡「なんか、ワクワク感ね」
宮原「もう一度、自分たちの手に戻ってきたよと。プログラムとかコンピューター使うというのが」
一個人でも標準化に関われるというおもしろさ
吉岡「さっきの話に戻っちゃうんだけど、従来は標準化とかっていうのはベンダー主体だったんですよ、X/Openにしろね。それが、今回のLinuxオープンソースということでね、一個人が、そういう標準化に関われたりとか、サンプルインプリメンテーションを提示できたりとかということで、揺り戻しがあるわけですね」「さらに面白いのは、サンプルインプリメンテーションが非常にいいものだったらば、ベンダーとかコミュニティーを超えて流通し得る。そこは青天井の世界ですね。スペック作るときも、従来だったら各ベンダーのしがらみがあって、バックワードコンパチビリティーを取らなくちゃいけないからという妥協で、全員が不満のスペックという形だったんだけど、それが面白いインプリメンテーションが出てくれば、ラフなコンセンサスで走れるというのは、オープンソース時代の規格の作り方の新しいところかなと感じますね」
宮原「スタンダードに取って換われる」
吉岡「それはすごい明るいですよね。だから、たとえばインターナショナリゼーションに不満を持っている人がいれば、自分がもっとすごいものを出せば、それを世間が認めれば、それが普及しうるという可能性はある」
宮原「ビジネスの目から見ると、日本のユーザーさんというのは、うちはうちのやり方だからという感覚が強いし、うちに最適なシステムを作ってほしいという要望が非常に強いわけです。すると提供側は、それに対して責任取らなきゃいけないときに、ブラックボックスって、やっぱり使いにくい。ユーザーのニーズに応えきれるのかという不安が常につきまとっていく」
「するとソースコードをきちんと見せていくというのは日本人好みだと思うんです。ソースコードを見た上でちゃんと責任取りますよと。来年はLinuxを中心に、いろんなオープンソースのソフトウェアが、どんどんユーザーが使いたい、提供側は“これだったら安心できるよね”と思えるようになっていってほしい」
そして時代は、意識せずにLinuxを使う状況に
編集部「すると、2000年はネットワークと、オープンソースと、国際化ですか?」宮原「国際化って言うと大げさかもしれないですけど、もっとワールドワイドに、(日本人が)作ったプログラムが出ていくぜっ、みたいな感じになっていくんじゃないかなと」
「Rubyなんかはやっぱり英語のメーリングリストとかも動いていて、(作者の)まつもとさんも英語で答えてるって言ってたから。そういう動きって、日本発のプログラムっていうのが、もうちょい出てきても楽しいかなという」
佐渡「日本語版というディストリビューションが出てくるのはダサいので、何となくワールドワイドなディストリビューションでいいじゃないっていう」
宮原「だって、日本語サポートできてれば、英語のサポートってだいたい大丈夫なんだよね。日本語をサポートできてると、英語はオーケーなの。でね、ワールドワイドって言ったときには、まずあやしい」
佐渡「まあ、入力系とかフォントとかはできてますね」
宮原「来年は、一番ブレイクするのは低額専用線でしょうね。Debianとかrpmとかよりも、ブラックボックス。ブラックボックス作るときにWindows NTは使わないでしょう、Windows2000は」
佐渡「ブラックボックスやるときはDebianが一番いいんですよ。だって、毎日、知らないうちにあなたのマシンはアップデートされてますっていう(笑)」
全員「(笑)」
宮原「インターネットトラフィックの3分の1ぐらいはDebianユーザーになるんじゃないかと(笑)」
鈴木「“セットアップ重いなあ、仕事してんじゃねえぞ”って(笑)」
宮原「常につながってるから、ユーザーが意識しない状態でアップデートしていきますよっていうのは、Windows 2000が逆立ちしたって絶対真似できないと思うんですよ。あるいは組み込みで、コンパクトに、これぐらいのボックスで動いているネットワーク機器とか」
「ユーザーがほとんどLinuxを使ってるって意識しない状況に、どんどんいっちゃうわけですよね。Linux使ってるっていう意識なくても、Linuxを使ってしまっているような状況にね」
(了)
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