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【MACWORLD Expo/SFレポートVol.3】スティーブ・ジョブズ基調講演詳報--MacOS Xは夏にも正式出荷

2000年01月06日 00時00分更新

文● TERO MODA

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2000年1月5日午前9時、米サンフランシスコのMoscone Convention Center内にあるEsplanade Ballroom(エスプラナダルーム)において、米アップルコンピュータの暫定CEOであるスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏による基調講演が開催された。

基調講演の会場となったEsplanade Ballroomに訪れたマックユーザーたち。午前8時40分頃に入場が始まった
基調講演の会場となったEsplanade Ballroomに訪れたマックユーザーたち。午前8時40分頃に入場が始まった



アップルの好調な業績をアピール

ジョブズ氏の講演は、iBook投入以降の四半期で135万台以上のMacを販売したという嬉しい報告から始まった。「この数字は、全米で6秒間に1台の割合でMacが売れているということを示している」と語ると、会場から笑いが起こった。

10月~11月に販売されたパーソナルコンピューターの中でiBookはもっとも出荷台数が多く、11パーセントのシェアを記録したという。購入者の11パーセントにとってはiBookが初めてのパーソナルコンピューターであり、17パーセントはWintelからの乗り換え、56パーセントは初めてのポータブルコンピューターだった。

また、iBookユーザーのうち16パーセントが無線LANを実現するAirport Cardを購入。90パーセントがインターネットユーザーであり、70パーセントがオンラインショッピングを経験していると、ジョブズ氏は数字を挙げて述べた。

時間どおりに基調講演を開始したジョブス氏。黒の長袖シャツとブルージーンズという出で立ちは、もはやおなじみのもの時間どおりに基調講演を開始したジョブス氏。黒の長袖シャツとブルージーンズという出で立ちは、もはやおなじみのもの



出荷台数がもっとも多いiMacでは、購入者のうち30パーセントが既存のMacユーザー、14パーセントがWintelからの乗り換え、44パーセントがはじめてのパーソナルコンピューター購入者だという。

インターネットの利用に関しては、93パーセントがインターネットユーザーであり、62パーセントがiMacを購入したその日のうちにインターネットに接続している。また、52パーセントのユーザーはオンラインショッピングの経験を持っているとのことだ。

さらにジョブズ氏は、66パーセントのユーザーがiMacの操作には何の心配もないと回答している、と述べた。

好調なiMovieとQuickTime

ジョブズ氏の講演は続いて、ムービー関連の話題へと移行した。現在、DVD-ROMドライブを搭載するiMacのユーザーでは、10パーセントがiMovieを使って動画を作成しているという。アップルでは、動画コンテストの主催や“我が家の子供”をテーマにしたiMovieによるコマーシャルフィルムのテレビ放送などで、この割合を22パーセントまで延ばしていきたいと語る。

“Think different.”のキャッチコピーが入ったポスターには、6人の映画監督(ヒッチコック、チャップリン、キューブリック、コッポラなど)が登場。そしてジョブズ氏は、3本の新しいコマーシャルフィルムを講演会場で上映した。

“我が家の子供”をテーマにしたコマーシャルフィルムが上映された“我が家の子供”をテーマにしたコマーシャルフィルムが上映された



QuickTimeはこれまでに2500万件以上のダウンロードがあり、Nielson NetRatingによる'99年11月の調査によると、ストリーミング技術QuickTime 4のユーザー規模はRealPlayerに継ぐ第2位で、550万人のユーザーと33パーセントのシェアを獲得しているとのこと。RealPlayerのユーザーは890万人で59パーセントのシェアを獲得、マイクロソフトのMedia Playerは240万人で14パーセントを獲得しているという。これが21歳未満のユーザーに絞った場合だと、QuickTime 4のシェアは30パーセントとなり、RealPlayerを抜いて第1位となるとジョブズ氏はアピールした。

新たな機能を提供し始めたアップルのウェブサイト

次に、話題はウェブサイトの話へと移った。この2ヵ月で100万本のMacOS 9を出荷したという好調な業績に比例して、アップルのウェブサイト(www.apple.com)には1日に1500万、1週間で9500万のアクセスがあるという。アップルのサイトではこれまで、単なる自社製品情報の発信しか行なわれていなかったが、今後はメールサービスやホームページの作成機能など様々な機能を追加。ページデザインにナビゲーションタグを追加することで、これらの操作を容易にしたとしている。

同社のサイトをウェブブラウザーで開くと、ナビゲーションタグに“iReview”“iTools”“iCards”という、これまで見知らなかった文字が表示される。

“iReview”は、ウェブサイトのレビューを集めたページ。現在250サイトを対象にしているが、4月までにこれを1000サイトに増やすという。

“iReview”の解説を行なうジョブズ氏、iReviewのトップページにはレビューされているサイトのロゴマークが並んでいる
“iReview”の解説を行なうジョブズ氏、iReviewのトップページにはレビューされているサイトのロゴマークが並んでいる



“iCards”は、“電子メールによる絵はがき”を送るサービス。アップルは昨年、クリスマスカードを電子メールで送るサービスを提供していた時期があった。

“iTools”は、有害サイトから子供たちを守るためのフィルタリング機能の“KidSafe”、電子メールアカウントを無償で提供する“Mac.com”、20MBのサーバースペースを無償で提供する“iDisk”、10分で自分のホームページを作成できる“ホームページサービス”で構成されている。メールアドレスは、“好きなアカウント名@mac.com”を取得できるそうだ。

ジョブズ氏から報道関係者宛てに、iCardsを利用したグリーティングカードが送られてきた
ジョブズ氏から報道関係者宛てに、iCardsを利用したグリーティングカードが送られてきた



ここでジョブズ氏は、米EarthLink社と複数年の提携を交わしたことを表明した。EarthLinkは、AOLに継ぐ全米第2位のインターネットサービスプロバイダー。これを踏まえ、「アップルは、インターネットビジネスでもっとも収益の高い企業の10指に入ることになるだろう」とジョブズ氏は語った。

MacOS Xではインターフェースが大幅に変更

MacOS XはコアOS“Darwin”上で動作する新MacOSで、今年夏に正式版が出荷する(デベロッパー向け最終ベータバージョンは今年春)。“Darwin”によりMacOS Xではプロテクトメモリーが実現し、システムの安定性に根本的な向上がある。現在iMac、iBook、Mac G4、PowerBookにプリインストールされているMacOS 9は、MacOS X登場以降、姿を消すことになる。

MacOS XではQuartz、QuickTime、OpenGLの搭載により、強力なグラフィック環境を提供する。QuartzはInternet-Standard PDF(ポータブルドキュメントフォーマット)をベースにした強力な2Dグラフィックシステムで、オンザフライのレンダリング、アンチエイリアス、PostScriptデータの取り扱いを行なう。OpenGLは、パフォーマンスに優れた3D技術で、ゲームソフトウェアや3Dレンダリングソフトウェアなどで威力を発揮する。

アプリケーションの動作環境には、“Classic”“Carbon”“Cocoa”の3種類が用意されている。Classicは現行MacOSのアプリケーションが動作するエミュレーション環境で、会場ではマイクロソフトのExcel 98をMacOS X上で動作させるデモが行われた。

スクリーンには、MacOS Xの構造を表わす概念図が映し出されたスクリーンには、MacOS Xの構造を表わす概念図が映し出された



Carbonは、デベロッパーがプログラムの移植作業を短時間に行なえることを目的とした動作環境。CarbonアプリケーションはMacOS 9、MacOS Xのいずれでも動作する。講演内のデモでは、今年2月の配布を予定するカーボナイズされたInternet Explorer 5を動作させていた。“Cocoa”アプリケーションでは、MacOS Xに標準装備するメーラーソフトのデモが行なわれた。

会場でデモされたMicrosoft Internet Explorer 5は、今2月に配布を開始する会場でデモされたMicrosoft Internet Explorer 5は、今2月に配布を開始する



MacOS Xの新しいユーザーインターフェースは、“AQUA”と呼ばれるものだ。ドキュメントウインドーはデザインが一新。リアルドラッグやリアルスクロールで表示するほか、ウインドーを開閉するアニメーションなどがなくなった。ダイアログボックスは、動作中のドキュメントウインドーから“吸い出されるようにして”表示される。

ファイルナビゲーションでは、フォルダを開く際に別のフォルダ画面が開いてファイルを表示するのではなく、MacOS X ServerやWindows 98のように、一つのファイルナビゲーション上でフォルダの表示内容が切り替わるタイプに変更となった。

インターフェースが一新されたMacOS Xインターフェースが一新されたMacOS X



“Dock”機能では、使用中のドキュメントウインドーやアプリケーションウインドーを画面下側のドックに収納できる。収納したウインドーは、ドック内のアプリケーションをクリックすることで再度画面に表示される。ドックやデスクトップ上に表示されているアイコンは、大きさを自由に変更できるようになっている。

現在、100社以上のサードパーティーがMacOS X関連のアプリケーション開発を表明しているという。講演の壇上にはそれらのサードパーティーから、アドビシステムズ、マイクロソフト、マクロメディア、クオークという各社の代表が登場し、MacOS Xデベロッパーに参加するという意志表明を行なった。

ジョブズ氏、CEOに正式に就任

基調講演の最後に、2年半にわたりアップルの暫定CEOでい続けてきたジョブズ氏は、同社復帰して以来、自分を補佐してきたスタッフたちに感謝の意を示した。そして、その役職名から“暫定(interim)”を取り除き、正式にCEOに就任することを表明した。

ジョブズ氏のCEO就任に、会場は歓声と拍手に包まれ、基調講演の幕は閉じた。それと同時に展示会場の入口が開き、西暦2000年のMACWORLD Expo/San Franciscoが始まった。

この瞬間、ジョブズ氏はiCEO(interm CEO)からCEOへと正式就任を果たしたこの瞬間、ジョブズ氏はiCEO(interm CEO)からCEOへと正式就任を果たした

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