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イーキャリアとダイヤモンド・ビッグ社、来春卒の未内定者向け求人情報を無料で掲載

1999年12月27日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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イーキャリア(株)と(株)ダイヤモンド・ビッグ社は27日、来春卒で就職先が決まっていない大学生向けの求人情報を、無料でウェブに掲載するサービスを行なうと発表した。“超々氷河期”とも言われる就職難でいまだ就職先が見つからない学生のために、情報通信産業を中心とした多数の企業から求人を募り、通常の料金を取らずにウェブに掲載、学生に提供する。期間は2000年1月25日から同年3月末まで。両社では「就職難とされながら、IT業界は慢性的な人不足。学生と企業の仲をうまく取り持てれば」としている。

“ecareer”のトップページ。未内定者向け情報サービスは2000年1月25日から
“ecareer”のトップページ。未内定者向け情報サービスは2000年1月25日から



このサービスは、来春に卒業を控えながら就職先が決まらない学生向けの求人情報を、企業から料金取らずに募集し、イーキャリアが運営する求人情報サイト“ecareer”に掲載するというもの。両社では年明けにも、IT業界を中心に国内約2500社に対し来春卒の学生向け求人情報を新聞とファクスで募集。応じた企業の求人情報をウェブにアップし、大学の就職課などを通じて学生に知らせる。

サービスは来年1月25日から同年3月末までの約2ヵ月間。ecareerに求人情報を掲載するには、新卒者向けの1年間で40万円、中途採用向けの4週間掲載で20万円の料金が必要だが、このサービスでは掲載を1企業で1職種に限った上で掲載料を無料にする。掲載企業数は500社が目標。学生が情報を閲覧したり、求人に応募する際に費用は掛からない。

労働省の調査によると、今年10月1日時点における大学生の就職内定率は約64パーセントと過去最低を記録。その一方で、成長が続くIT業界では人材不足が慢性化しており、この時期でも来春の新卒者の採用を検討している企業もあるという。両社ではこのサービスで、就職先が決まらない学生にIT業界の有望な企業を紹介し、需要と供給のアンバランスを少しでも解消できれば、としている。

イーキャリアはソフトバンク(株)やオリックス(株)、(株)光通信らが出資する就職情報提供サービス業者で、今年10月末からウェブサイトを中心に事業を展開。ダイヤモンド・ビッグ社は就職情報提供サービスの草分けとして、新卒者向けに“上場企業の歩き方”といった情報誌を発行し、主に紙媒体を中心としたサービスを手掛けている。

ダイヤモンド・ビッグ社はイーキャリアの販売代理店を引き受けるなど、両社はパートナーシップを結んで事業を進めており、このほど両社の間で一歩進んだ事業提携に合意。ウェブと紙媒体の両方の強みを活かして業績アップを図っていく考えで、時期は未定としながらも、ダイヤモンド・ビッグ社によるイーキャリアへの出資も合意しているという。今回のサービスは、両社提携の記念事業として企画された側面もある。

イーキャリア社長の宮内謙氏(左)と、ダイヤモンド・ビッグ社社長の安松清氏
イーキャリア社長の宮内謙氏(左)と、ダイヤモンド・ビッグ社社長の安松清氏



イーキャリア社長の宮内謙氏は、「大学400校程度にサービス開始を告知したら、京都大学といった国立も含め約190校から問い合わせがあり、大学にとっては大変なインパクトがあるようだ。大学生の6割しか就職先が決まっていない現状では、無料サービスは相当役立つのでは」と語った。

またダイヤモンド・ビッグ社社長の安松清氏は、「ダイヤモンド・ビッグでは一貫して学生に就職情報を提供してきた。無料で学生にアプローチでき、いい人材ならば採用したいという企業はある。30年の実績を活かし、少しでも多くの学生に就職先を提供したい」と述べた。また事業提携の狙いについては、「インターネットは強制露出に乏しく、ダイレクトメールや就職情報誌といった媒体はどうしても必要。媒体の特性に合わせて活用し、企業と学生のマッチングの精度を高めていきたい」とした。

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