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カシオとシーメンス、通信機能内蔵のWindows CE端末を共同で開発

1999年12月15日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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カシオ計算機(株)と独シーメンス社は15日、無線データ通信機能を持つ携帯端末を共同で開発、販売することで合意したと発表した。両社が開発するのは、カシオのPDA『CASSIOPEIA』に、マイクロソフト(株)の携帯端末用OSであるWindows CE for Palm-size PCを搭載し、GPRS(General Packet Radio System)方式のパケット通信機能を内蔵した製品。GPRS方式は欧州と東南アジアで普及すると見込まれているため、当面は両地域での事業展開が中心となる。

都内で開かれた発表会に臨む両社の代表。左からシーメンス社情報通信機器グループ取締役のヘルムート・フォン・ダイムリング氏、カシオ常務の羽方将之氏、同専務の前野重喜氏
都内で開かれた発表会に臨む両社の代表。左からシーメンス社情報通信機器グループ取締役のヘルムート・フォン・ダイムリング氏、カシオ常務の羽方将之氏、同専務の前野重喜氏



提携の内容は、無線データ通信機能を内蔵した“パームサイズPC”を両社が共同で開発、販売するというもの。カシオ側が精密実装技術を活かして端末本体を開発し、シーメンス側では通信部分を担当する。販売は両社で行なうが、カシオ、シーメンス社ともそれぞれ両社のブランドで販売を行ない、ブランドの統一はしない。

共同開発される製品は、現在カシオが販売している『CASSIOPEIA E-503』のように、Windows CE for Palm-size PCを搭載し、カラー液晶ディスプレーを備えたマルチメディア対応のマシンになるという。

通信部分は、欧州やアジアを中心に100ヵ国以上で採用されている携帯電話用の通信方式・GSM(Global System for Mobile Communications)方式と、GSMの機能を拡張したパケット通信方式・GPRS方式に対応する。

GPRS方式は2001年にも本格的な運用が開始されると見込まれ、第3世代の移動体通信方式であるIMT-2000へ移行する間の標準方式として十分なマーケットを確保できると判断した。新製品は最高約150kbpsの通信速度を利用し、ウェブ閲覧やメールの送受信だけにとどまらず、音楽配信や動画のストリーミング再生なども可能なモバイル端末になるという。

すでに製品開発に着手しており、2000年2月にドイツのハノーバーで開かれるCeBIT2000でプロトタイプを公開する予定だ。新製品の発売時期については未定としている。

日本の移動体通信はGSM方式を採用していないため、共同開発した製品が日本に投入される予定はないが、将来的にはIMT-2000への対応も準備しており、「日本の次世代移動体通信のインフラが整えば、同様の製品発売もありうる」(カシオ常務の羽方将之氏)という。

両社では、無線データ通信機能を内蔵した携帯端末機器の市場規模は、2003年で1500万台に達すると見ており、そのうち「最低20パーセント」(同)のシェア獲得を目指している。

カシオの前野氏 カシオの前野氏



発表会では、カシオ専務の前野重喜氏が、「今後はワイヤレスインフラの整備が世界的に進み、移動しながら大量のデータをワイヤレスでやり取りする時代になるとみられ、大きなビジネスチャンスだと思っている」と携帯端末の将来性について言及。さらに「CASSIOPEIAは、数ある携帯端末の中でもハードや拡張性に優れ、次世代に最適だ。シーメンスが持っている世界最高水準の通信技術と、マルチメディアに強い携帯端末が提携した最強コンビとなるだろう。欧州市場を皮切りに全世界を目指したい」と語った。

シーメンスのダイムリング氏 シーメンスのダイムリング氏



またシーメンス社情報通信機器グループ取締役のヘルムート・フォン・ダイムリング(Helmuth von Deimling)氏は、「カシオは技術志向の会社であり、シーメンスと企業風土が似ており、提携もうまくいくと判断した。端末開発を自前で行なうには時間がかかり困難だ。そこで、すでに技術を持っているカシオに提携を持ちかけた。別々に事業展開するより、力を合わせた方が強みがある」と提携の理由を説明した。

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