日本アイ・ビー・エム(株)は9日、Windows NT環境でのSAN(Storage Area
Network)への取り組みについて、同社のPCサーバー『Netfinity』を中心に紹介する記者向けセミナーを開催した。
SANとは、OSも含めて異なる環境のストレージ管理ソフトウェア、アプリケーションサーバーおよびネットワークハードウェアで構成される高速のストレージネットワークにおいて、ストレージを仮想的にまとめるなどして一元的に管理可能なシステムを指す。e-ビジネスなど、インターネット上での取り引きが盛んになるにつれ注目されるようになった業界内の標準化構想で、情報資源を有効に活用するためのものだ。
今回のセミナーでは、Netfinity事業部でのSANに対する今年の取り組み、および、来年以降の計画が説明された。
今年後半、NetfinityにおけるSAN向け製品ラインナップが充実
現在、ユーザー企業内で、どれほどSANが浸透してきたかというと、ストレージ統合の前段階にあたる異機種サーバーの水平的な統合が進んできているところだという。日本IBMでは、SAN対応のストレージやサーバー製品の提供および、『Tivoli』製品を中心としたシステム管理ソフトの提供、またSANを活用するためのサービスやシステム提供に力を入れているという。今年の一連の製品・サービスの発表により、同社製品におけるストレージ統合のための要素は出そろったため、今後は、他社製品との統合“Any to Any”の接続に注力する計画だとしている。
日本IBMは、“SAN オープン ストーレッジ コンピテンスセンター”を幕張に設立した。このセンターでは、米国メリーランド州の“IBM National Testing Center”とも連携することで、他社製品との接続性をテストし、認証を進めている。
今年11月には富士通(株)と、IBMグループの日本チボリシステムズ(株)の提携により、富士通の運用管理ソフト『SystemWalker』とTivoliの間でトータルなストレージ管理が可能になった。
一方、Netfinity製品の動向は、今年後半の相次ぐ新製品発表により、1CPU構成の『Netfinity 3000/1000』から、8CPU構成の『Netfinity 8500R』まで、Pentium IIIまたはPentium III Xeonを採用した製品ラインアップが出そろった。また今年後半の動きとして、8ノードの『Microsoft Cluster Server』(MSCS)および、『Oracle Parallel Server』(OPS)を使ったクラスター・システム構築が可能になったことなどが紹介された。
来年以降は、ホットスワップメモリーや、ホットスワッププロセッサーをサポートし、これまで99.9パーセントだった稼働支援(信頼性)を99.99パーセントまで引き上げるなど、Netfinityのアーキテクチャーが、よりエンタープライズ環境向けに進化する予定だという。
2000年はじめに出荷予定のPentium III×2基搭載の『Netfinity 4000R』 |
ノード間のテープ装置共有をデモ
セミナーの最後に、Fibre Channel接続のクラスター・システムで、MSCS環境および、OPS環境におけるテープ装置共有のデモが行なわれた。システム構成は次の通り。MSCS側のハードウェア構成が、『Netfinity 7000 M10』×2台(2ノード)、『Netfinity ファイバーチャネル RAIDコントローラー』と外付けHDD。OPS側のハードウェア構成も同様。この2システムは、12月に発表されたばかりの新製品『Netfinity ファイバーチャネル スイッチ』と、これも新製品の『Netfinity SANデータゲートウェイルーター』を経由して、外付けテープ装置が共有されている。2つのシステムとも、システム管理ソフトには『Tivoli Storage Manager』(TSM)および『Tivoli Data Protection』が利用されている。
向かって左がMCSC環境、右がOPS環境 |
向かって右から、Netfinity ファイバーチャネル スイッチ、Netfinity SANデータゲートウェイルーター、外付けテープ装置 |
従来は、各ノードにテープ装置を接続して利用していたのが、SANデータゲートウェイルーターおよび、TSMを用いることで、MSCSとOPSのそれぞれのノード間でテープ共有が可能になったことが、デモで示された。
最後に、日本IBMは、今後数年かけて他社との接続性を検証し、“Any
to Any”を進めていくことで、SANソリューションで業界をリードしていくことを強調してセミナーを終了した。