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Windowsコンソーシアム、IEEE1394に関するセミナーを開催

1999年12月10日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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Windowsアプリケーションの開発と普及を目的とする、ソフトウェア会社などの非営利団体である、Windowsコンソーシアムは9日、IEEE1394に関するセミナーを開催した。IEEE1394インターフェース用チップを製造する富士写真フイルムマイクロデバイス(株)や、デジタルビデオ編集ソフトを開発するソフトウェア会社が発表を行なった。

富士写真フイルムマイクロデバイス、益金和行取締役
富士写真フイルムマイクロデバイス、益金和行取締役



まず基調講演に立った*富士写真フイルムマイクロデバイスの益金取締役は、*IEEE1394の歴史的背景と現状について述べた。それによると、IEEE1394は当初、米アップルコンピュータ社の次期高速LocalTalk規格“FireWire”として策定が開始されたもので、ソニーがデジタルビデオレコーダーに標準インターフェースとして採用してから一気に標準化が進んだ経緯を述べた。パソコンへの採用では、マイクロソフトがUSBと並んでWindows 95/98で標準サポートすると表明したことから注目が集まり、IEEE1394ドライバーが標準搭載されたWindows 98 Second Editionのリリースによって、本格的な普及期を迎えたという。

富士写真フイルムマイクロデバイス:富士写真フイルム(株)の全額出資子会社。米テキサス・インスツルメンツ社と並んで、IEEE1394に関するライセンスを取得している。最近ではデジタルカメラ用高性能CCD『スーパーCCDハニカム』の開発で知られる。
IEEE1394:高速のシリアルSCSIインターフェース規格。現在データ転送速度が毎秒400Mbitまでの“IEEE1394a”規格の製品がリリースされている。

周辺機器もHDDやMOドライブなどストレージ機器を中心に多数が登場し始め、mLAN(ミュージックLAN:後述)などマルチメディア機器インターフェースとしても採用されていると述べた。

また、現在の製品として出荷されているIEEE1394a規格から、さらに毎秒800Mbitになるなど、高速で長距離のデータ伝送が可能な製品が出てくることや、日本でのデジタル放送の開始など、IEEE1394の普及に追い風が吹いていることを強調した。また、パソコンを介さずに接続するタイプの製品が多く登場することで、SOHOなどから一般家庭への普及が見込めるとした。

富士写真フイルムマイクロデバイス、設計部 IEEE1394プロジェクト システムサポートの西川哲夫氏
富士写真フイルムマイクロデバイス、設計部 IEEE1394プロジェクト システムサポートの西川哲夫氏



次に、富士写真フイルムマイクロデバイス設計部の西川氏が、IEEE1394の技術的説明と周辺機器の応用について説明した。それによると、IEEE1394のデータ転送モードには、*Asynchronous転送とIsochronous転送があるが、それぞれに適したプロトコルが用意されているという。

*Asynchronous転送(非同期転送):1対1の通信で、相手側が正常にデータを受け取ったかどうかを確認しながら通信する方式。
*Isochronous(アイソクロナス)転送:ある決まった間隔を置いて、データを転送する方式。相手側が正常に受け取ったかどうかの確認は行なわれない。

Asynchronous転送が利用されるプロトコルでは、SCSI-3規格の一部で“SBP-2”があり、HDD、MOドライブ、CD-RWドライブなどの機器への応用が進んでいるという。このほか、デジタルビデオ、デジタルカメラ、スキャナー、プリンターなどを、パソコンを介さず直接接続して処理を行なうためのプロトコル“DPP(Direct Printing Protocol)”や、工業用センサーの通信で使われる“IICP(Industrial and Instrument Control Protocol)”がある。

一方Isochronous転送が利用されるプロトコルは、すでに代表例ともいえる“DVプロトコル”のほか、デジタルSetTopBoxやDVHS(デジタルVHS)で利用される“MPEG-2”、電子楽器をつなぎオーディオデータとMIDIデータを一緒に転送できるプロトコルである“mLAN”、パソコンにIEEE1394で直接接続するデジタルカメラのプロトコル“Digital Camera Spec”などがある。

これらのプロトコルでは、一方的にデータを受け取るだけではなく、そのおなじIEEE1394のラインを通じて制御信号を送ることができることが、特徴となっているという。

今後は、800Mbps、1.6Gbps、3.2Gbpsといった転送速度を持つ製品や、IEEE1394ブリッジ、IEEE1394ルーターなどの製品化が予想され、単純なI/Oでない、IEEE1394の特長を生かした周辺機器が登場するとしている。

富士写真フイルムマイクロデバイスからの発表後は、IEEE1394関連のソフトウェアとして、エムジーアイ(株)の『VideoWave』やユーリードシステムズ(株)の『VideoStudio3 DV』といったデジタルビデオ編集ソフトなどが紹介された。

エムジーアイの『VideoWave』の画面
エムジーアイの『VideoWave』の画面



また、IEEE1394を使った製品開発のために、富士写真フイルムマイクロデバイスのチップを使ったハードウェア回路図や、サンプルボード2枚など一式がキットになった『IEEE1394SDKキット』が住友金属システム(株)から紹介された。

IEEE1394SDKキットに同梱されている評価用リファレンスインターフェースボード。ソニー製と富士写真フイルムマイクロデバイス製のチップから構成されている
IEEE1394SDKキットに同梱されている評価用リファレンスインターフェースボード。ソニー製と富士写真フイルムマイクロデバイス製のチップから構成されている

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