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【Internet World Japan '99 レポート Vol.1】“Internet World Japan '99”開幕、106の企業/団体が参加

1999年12月09日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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インターネットに関連する製品/サービスの展示会“Internet World Japan '99”が幕張メッセで開幕した。106の企業および団体が、出展/セミナーに参加している。展示会場では、最新のインターネット関連ハードウェア、ソフトウェア、サービスが紹介されるほか、基調講演やセミナーが開かれる。

また、ECに関する最新情報を紹介する“Open Market Day!”、E-ビジネスに関するコンサルティングノウハウを紹介する“Cambrige eConsulting Forum”、ISPを対象にインターネットビジネスモデルを紹介する“ISP SOLUTION FORUM”、E-ビジネス関連の最新技術を紹介する“e-Conference”といったフォーラムが併催される。



初日の今日は、(株)NTTデータの代表取締役社長である青木利晴氏が、“利用者主導のネットワーク社会の到来”と題した基調講演を行なった。

同氏は「日本の現在のインターネット所帯普及率は16パーセント。これまでも電話やTVなど、1000万ユーザーを超えると急激に各家庭に普及するという意味で、所帯普及率10%を超えたということは重要なポイントだ。インターネットが日常使われるものに変化し、マルチメディア市場が具体的に儲けとなるものとして見えてきた」

NTTデータの青木社長
NTTデータの青木社長



「マルチメディア市場には、移動通信を利用したパーソナルな通信サービス、インターネットによるデジタル映像/音声の流通サービス、ビジネスのための情報流通サービスという3つの大きなニーズがある」

「現在のアナログ固定電話加入者は5800万人だが、今年度中に移動電話加入者と固定電話加入者の数が逆転すると予想される。移動通信はパーソナルな1対1の通信に使われており、特にさまざまなネットワークサービスを盛り込んだiモードの加入者は、来年3月に480万人を見込んでいる。日本のインターネットユーザー数は本年6月で1700万人となっており、今後ますますの成長が期待されている。日本の情報サービス産業は本年度11兆円で、日本経済が不況の中、5~10パーセントの伸びを示している」

「今後情報サービスにおいて、大きく3つの波がやってくる。第1波は放送のデジタル化とネットワークTVの登場。放送のデジタル化により、現在のアナログTVセットがデジタルTVセットに買い換えられ、ユーザーは情報端末からネットワークを通じて欲しい情報を引き出せる。第2波はマスメディア企業のサイバー化。マスメディアのさまざまなコンテンツがネットワークで配信される。そして第3波がメガコンテンツの登場である。SOHO、地域、家庭コンテンツ流通)、2005年にはSOHOや地域、家庭から発信されたコンテンツがネットワークに流通するだろう」

「現在、インターネット市場におけるBtoBマーケットは、米国に比べ1年ほど遅れている。2003年になっても比率は変わらないだろうが、マーケット規模は4倍になるだろう。一方BtoCは、さらに日米格差が大きくい、年数では2、3年遅れているが、マーケット自体は2003年には5~10倍伸びているだろう。現在はBtoBのほうが市場の規模自体は大きいが、今後はBtoCの動向に関心を持つことが重要である」

「インターネットのコンシューマー向け市場は、これまでサービスごとに端末が別々だったが、今後は2~3の情報端末に統一され、銀行/証券や企業、放送、コンテンツ、行政/自治体からサービス提供がネットワーク上で行なわれるだろう。提供されるさまざまなサービスの中から、コンシューマー側が必要なサービスのみを選択できることで、ビジネスの主導権がコンシューマーに移る」

「現在の情報端末はPC、ゲーム機などバラエティーに富んでいるが、将来は広帯域に対応した次世代PC、ホームネットワーク対応家電、IMT-2000(3年後に市場に導入される次世代携帯電話。帯域は狭いが移動性に優れている)の3つになるだろう。また、コンビニエンスストアや郵便局等に設置されるマルチメディア端末もある。これらの端末の普及によって、インターネットサービス利用者はさらに増大する」

「インターネットの普及で、リアルな世界では考えられなかったさまざまなサービス、例えばネット書店、逆オークション、PCカスタムメイド直販、集団購買などが登場してきた。これらは、サプライヤーとカスタマーの関係を大きく変えるもの」

「従来のビジネスにはコンシューマー側にさまざまな制約があったが、インターネットによって、制約から解放された。まず、情報不均衡からの解放“パーフェクトマーケット”。商品の比較検討が可能となり、価格決定の自由度が増す。続いて、時間空間からの解放“パーフェクトコミュニティー”。インターネットにより、誰でもいつでもコミュニティーに参加できる。このコミュニティーは従来の閉じられた空間から、開かれた社会へ発信可能だ。そして、共通の価値観からの解放“パーフェクトバリュー”。価値観が多様化し、個々のライフスタイルの違いが許容されることで、メガトレンドがうまれやすくなり、一方でニッチでもビジネスが成立する。これら制約からの解放により、コンシューマー主導の時代がもたらされる」

「インターネットの普及により、サービス形態と主導権が変化することで、マーケットが多様化し、サプライヤーとカスタマーであるコンシューマーの間で交渉が可能になる。今後は、この交渉分野や代理店事業に新規ビジネスの可能性が出てくるだろう。インターネットは多様で柔軟なマーケットを与えるバザールのような場所であり、情報や人が集まり、新たな発想が生まれるところ。これらのバザールの一部を切り取り、制約のあるサービスにしていくのがビジネスの知恵。柔軟なビジネス環境でサプライヤーとコンシューマーを結び付けるには、新たな基本コンセンサス(コンテンツ内容)と価値コンセンサス(サービス内容の規定)の両方が必要。これらを実現することがインターネットにおけるコンシューマービジネスの成功につながる」と語った。

“Internet World Japan '99”は、12月9日から12月11日まで幕張メッセ10~11ホールで行なわれる。

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