5日まで大阪ドームにおいて開催された“パソコンフェスタ'99 in
関西~関西初の総合パソコン展~”は、初心者を対象とした総合展として行なわれ、6万5000名を超える来場者があった。
これまでの専門的パソコン展とは異なり、スペック的な話よりも、どういったことができる、こんな使い方もあるというような、よりユーザーに近い話題が多く、そういう意味でも子供からお年寄りまで街を歩く感覚で楽しめる、とてもフレンドリーなイベントとなった。
そんな中、ファッション性、話題性も旬な“MP3”関連の展示がいくつかあったので紹介していきたい。
MDディスクよりもふた回りほど小さいMP3プレーヤー
(株)アイ・オー・データ機器が展示、先行販売をしていたのがMP3プレーヤー『Hyper-Hyde』。超小型・軽量ポータブル・デジタルプレーヤーの名に恥じない外形を備えている。『Hyper-Hyde』。隣に置いてあるのがクレジットカードと同じ大きさの電子マネーカード |
ジッポライターとほぼ同じ大きさ |
『Hyper-Hyde』はこれまでのプレーヤーよりかなり小さい。MDディスクよりもふた回りほど小さく、実際に手にするとかなりの驚きがある。電源は単4アルカリ電池で7時間駆動。メディアは『MultiMediaCard』でスロットを2つ装備。ボイスメモの機能も備えている。
来場者もすぐに目に付くようで、しきりに展示品を触ったり、試聴して確認していた。デモの時間には操作の方法やメディアの扱い方など、真剣に聞く人々が多く、ポータブル機器の関心の高さを示していた。
『Libretto ff 1100V』でMP3三昧
『i.Shuttle(アイ.シャトル)』というリモコンを搭載して、ノートパソコンでMP3をもっと手軽にと登場したのが、(株)東芝の『Libretto ff 1100V』。このノートパソコンは『SCOOPY(スクーピィー)』という取り外し可能なデジタルビデオカメラも搭載しており、楽しみを前面に押し出した機種である。『Libretto ff』。手にしているのが『i.Shuttle』 |
ノートパソコンの場合、MP3を使う強みは、ファイルをHDDに保存できるので、ストックできる曲数の制約がないこと。編集も直接できるなど総合的な環境が向上する。
この『i.Shuttle』は本体を閉じたまま操作できるので、純粋にパソコンをポータブルプレーヤーとして扱える。またメールの読み上げ機能など、斬新なアイデアも満載している。
ワンアクションでMP3に高速変換
MacintoshでMP3を扱うのに優れたソフトを提供しているのが(株)アクト・ツーの『MacMP3』である。エンコーダーからプレーヤーまでの総合環境を提供している。もちろんiBook、iMac、MacOS 9にも対応している。『MacMP3』プレーヤーの画面。デザインはカスタマイズが可能 |
MP3ファイルの作成は多くの手順を必要とするが、この『MacMP3』の場合、ほぼワンアクションという手軽さである。展示デモにおいて実際にエンコード作業をしていたが、非常に高速処理ができるのも特筆すべき点。
またインターネットに接続されている場合、CDDBから自動的に曲名を拾い上げ表示する機能や、曲を聴きながらエンコードする機能も備えており、ソフトウェアとして完成度の高い製品である。
総合的なDTM環境を提供したローランドのブース
自作の曲をMP3に変換するデモを行なっていたのが、MIDIなどDTM(DeskTop Music)を総合的に提供する、ローランド(株)のブースである。展示されたシステムは、ボーカルやギターなどアナログ音源をMIDIの中に高品質で取り込み、ハードディスクレコーディングを行なうパソコンとUSBケーブル1本でシンプルなアクセスを実現するもの。この高機能なユニット『UA-100G』を中心にシステムを構築していた。ローランドで行なわれた生演奏での録音デモ |
上段MIDIプロセッシングユニット『UA-100G』。下段は最強のMIDI音源『SOUND Canvas SC-8850』 |
『UA-100G』とパソコンのセットアップ展示 |
会場では実際に生演奏での録音が行なわれ、曲の作り方を具体的に体験できた。音楽トラックに1つずつ音を重ねてゆくことは、ものづくりの作業としてとても気持ち良く感じられた。
その後完成したMIDIデータをパソコンで扱うファイル形式に変換し、そこからまたMP3へと変換していく。曲づくりの行程に比べるとMP3への変換はとても簡単に感じる。
幅の広い来場者のため、感覚に直接訴える製品やサービスに人気が集中したイベントであった。その中でもMP3関連の製品はインパクトの強いものが多く、全般的に関心も高かった。今後のニーズはますます高くなっていくであろう。