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【Content Japan1999 Vol.4】モバイルビジネスはネットワークインフラを目指す――セミナープログラム“携帯端末を中心としたモバイルコンテンツビジネス”より(上)

1999年12月07日 00時00分更新

文● モバイルニュース 山田道夫

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1日から3日まで、東京・北青山のTEPIAにおいて、(財)マルチメディアコンテンツ振興協会(MMCA)の主催により“Content Japan1999”が開催された。本稿では、3日に行なわれたセミナープログラム“携帯端末を中心としたモバイルコンテンツビジネス”の模様のうちNTT移動通信網(株)の松永真理氏の講演を中心に報告する。

本セミナーは、コーディネーターに(株)ニューメディアの天野昭氏、講師にはNTT移動通信網(株)の松永真理氏とセイコーエプソン(株)の鴨居達哉氏が招かれた。“iモードがなぜ成功したのか? ”という理由と、“PDA『ロカッティリオ』とコンテンツビジネス”という話題が交互にあがり、天野氏が話をまとめるという形で進行した。

月刊ニューメディア編集長、天野昭氏
月刊ニューメディア編集長、天野昭氏



iモード登場秘話と成功の秘訣――ホテルの『コンセルジュ』という言葉がキーワード

まず、松永氏はiモードの成功について触れた。iモードが100万人になったのが今年の8月で、現在は200万人を超えた。ユーザーは1年間で300万人に上る。'99年度末は、479万人になると上方修正した。松永氏は「週10万会員のペースで増えている。供給さえうまくいけば、上方修正値もさらにクリアするだろう」と語った。

NTT移動通信網(株)、ゲートウェイビジネス部企画部長の松永真理氏
NTT移動通信網(株)、ゲートウェイビジネス部企画部長の松永真理氏



アメリカと日本のITインフラの比較。日本では移動体通信の普及率だけがアメリカをしのぐ
アメリカと日本のITインフラの比較。日本では移動体通信の普及率だけがアメリカをしのぐ



先月スイスで行なわれた“Telecom 99”では、iモードの会員数が200万人と報告したところ大変驚かれたそうだ。iモードで人気のあるサービスは、“つりバカ気分”とバンダイの“キャラッパ”だという。

“つりバカ気分”は、マナーモードにしておけば、魚を釣った瞬間にバイブレーターが動き、釣り気分を満喫できるサービスで、NTTドコモ社内でも流行っている。また、“キャラッパ”は、100円で30枚の絵を日替わりで見ることができる。松下幸之助語録も1キャラクターとして意外な人気がある。月商1億ももう目の前で、賞の獲得は逃したものの流行語大賞にも最後まで残ったという。

日本では、携帯電話の利用者はインターネットユーザーの3倍くらい。携帯電話は、もうすぐ固定電話のユーザー数を追い抜くと言われている。携帯電話の方がユーザー数の伸びは大きく、幼児と老人を除けば、2人に1人が持っている。しかし、インターネットユーザーには技術者といった、情報感度が高いと言われている人たちが多い。電話を使うようにインターネットにも接続できたら、というのがiモードの出発点だった。

iモードを出すにあたっては、市場規模に重点を置き、1000万人のオーダーを考えたという。iモードは、あくまで“電話”ということにこだわっている。インターネットを意識させることなく、メディアコンセプトを言語化する。ホテルの『コンセルジュ』という言葉がキーワードになっている。自分だけのコンセルジュを持った気分を味わえるというものだ。

インターネットを自然に浸透させるビジネスモデルとしてのiモード

iモードをどのようなビジネスモデルにするか? という点では、かなり議論したという。サービス料を月額1500円にして、E-Mailもフルに見えるという選択肢もあった。しかし、月額300円にしたのは、ユーザーにインターネットやウェブということを意識させずにマルチメディアを自然に利用させ、広がっていければいいと考えたためである。そのため、受信数も250文字に制限を設けた。

最初から文字を制限したのは、自動着信、プッシュですぐ来るリアルイメージを大切にしたかったから。速くてすぐに届く。この快適さを実感すると、まるで電話のようにメールが使えるようになる。マスコミの口車にのってスペック競争をするのではなく、ユーザーの使い勝手を優先したという。

また、PCから転送する人が増えたり、リモートメールということを考えれば無制限に読むことができる。一方、J-Phoneは3000文字だが、最初は192文字が送信されるにすぎない。つまり、プルでデータを取って見るられる文字数が3000字ということになる。

さらに“W-CDMA”とJavaでiモードの使い方が広がる

将来的な見とおしとしては、“W-CDMA”が2001年に開始される。また、Javaが利用できるようになれば、ゲームができたり、eコマースなどでのセキュリティーが強化されることになる。“W-CDMA”では通信速度が384kbpsになるので、音も送れるようになるし、動画も送れるようになる。

iモードの今後の展開。JAVAとW-CDMAの登場によってコンテンツも変わっていく
iモードの今後の展開。JAVAとW-CDMAの登場によってコンテンツも変わっていく



W-CDMAは、一般にはTV電話になると思っていた。単にTV電話のイメージしかなかったものが、iモードを利用すれば、さまざまなコンテンツが可能になることが分かってきた。現在の状況は、音楽を気楽に楽しめる『ウォークマン』が出てきた時に似ている。iモードも気軽に身近で楽しめるから普及したと、松永氏は分析した。

また、iモードの場合には、フリーにボランタリーにサイトを開くことができる。最初はサイトの数は0だった。現在は検索エンジンに登録されているだけで3000を超えている。URLを入力すればウェブアクセスできるというオープン性がよかったのだろう。iモードメニューはポータルサイトで、初心者が気軽に使えるようなサイトを登録している。ポータルサイトから直接行ける点とボランタリーな点の両方があるところがメリットであり面白いところだ。

松永氏は、「ユーザーがどうやったら使いやすいかという視点でやってきた。中心となるマーケット層は、20代、30代をターゲットにしたが、今後はもっと違った層、40代、50代、60代の男性が使えるものがあってもいいと考えている。もっとユイーザーが広がれば、選べる携帯がたくさん出てくると考えている」

「一方、iモードのコンテンツには、多くなりすぎて戸惑っている部分もある。ボランタリィーの場合は任意だが、iモードのメニューを追加するのは、これまでにないメニューだけを考えたい。現在よりよい、より進化したサービスか、今はない異なったサービスを考えていきたい」と今後の方向性を説明した。

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