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「今やストレージはサーバー以上に戦略的なツール」――JDSF、“データストレージWorld'99”が開催

1999年12月06日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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ストレージ関連の企業でつくる任意団体“Japan Data Storage Forum(JDSF)”主催のセミナー“データストレージWorld'99”が6日、都内で始まった。製品の開発/設計や顧客に関わる情報など、企業が持つデータが増大する中、データを蓄積するストレージに対するニーズと市場規模は大きくなっている。セミナーは企業の情報システム担当者向けに行なわれ、「サーバー以上にストレージが戦略的なツールになってきた」として、各社によるストレージ製品のPRが行なわれる。期間は7日まで(事前申込者が対象)。

都内で開かれた“データストレージWorld'99”
都内で開かれた“データストレージWorld'99”



企業ではERP(Enterprise Resource Planning)やSCM(Supply Chain Management)、CRM(Customer Relationship Management)といった、社内ネットワークと巨大なデータベースを接続し、経営の効率化と戦略作りに役立てるシステムが一般化している。その上、電子商取引も本格的に立ち上がり、企業が扱うデータの規模は拡大し続けている。

そのためデータを記憶するストレージの運用と管理が注目され始め、サーバーではなくネットワークに直接、接続するNAS(Network Attached Storage)や、ストレージでネットワークを構成するSAN(Storage Aria Network)といったシステムが、ネットワークの中核を担うものとして脚光を浴びている。

JDSFは、システムインテグレーターや製品メーカーなど、ストレージシステムに関わる企業45社で構成する任意団体。データストレージWorld'99は、北米などと比べ対応が遅れているとされるストレージ関連のシステムを顧客企業にPRするために開催された。

イベントでは、キーノートセッションとして、JDSFのSAN部会会長の金崎裕己氏(日商エレクトロニクス(株))が、“データストレージ最新動向~データストレージが変える次世代のIT戦略~”をテーマに講演した。

「扱うデータが大規模な企業はSANを意識せざるをえなくなっている」と語る金崎氏 「扱うデータが大規模な企業はSANを意識せざるをえなくなっている」と語る金崎氏



金崎氏はまず、「昔はサーバー主導で、次はアプリケーション、そして今はネットワークが考慮されている。それに続く第4のファクターとしてストレージが出てきた。今ストレージは、サーバー以上に戦略的なツールになってきている」とした。なぜなら、「CRMなどの普及で、データは保存するものから戦略的に再利用するものになり、全社的なデータが1箇所に集中するようになる。さらに電子商取引が始まると、データの破壊が企業に与えるインパクトは致命的なものとなる」からだ。さらに、「扱うデータがTB(テラバイト)レベルになると、バックアップの手間やコストなど、運用管理における問題点が顕在化してくる」とし、新しいストレージ運用システムの導入を勧めた。

SANは、ディスクアレーやテープドライブといったストレージをサーバーごとに接続するのではなく、ストレージだけで集中的なネットワークを構成し、クライアント/サーバーネットワークとはHubやスイッチを介して接続する。このためネットワークにアクセスするユーザーにとっては、各ストレージとデータの共有が効率よく行なえ、管理者にとってはバックアップやリストアも一元的に実行でき、データアクセスが集中してもサーバーへの負荷を減らすことができる、といった利点がある。

ストレージ間の接続には高速シリアルインターフェースFibre Channelを使用。データ転送速度は毎秒100MB、光ファイバーケーブルを使用した場合は最長10kmまでケーブルを伸ばすことができ、災害対策として遠隔地にバックアップセンターを構築することも可能となる。またFibre Channelは、SCSIをベースにプロトコルやコマンドが規定されているため、SCSIベースで構築された既設の資産は無駄にはならないという。

金崎氏によれば、SANの導入に際しては、現状のボトルネックを正確に把握し、シンプルなハードウェアで問題を解決すべきだという。また「製品情報がウェブで素早く表示されるなど、スピードアップが与える顧客満足度は数字には出にくいが、とても重要なこと」として、導入の効果は単純なコスト計算ではなく、時間で測る必要があるともいう。

さらに重要なのが、データを運用する企業にとっての“データマネジメントポリシー”だという。今後のデータ容量の予測やアクセス権限の設定、管理責任者の任命、障害時の対策など、企業レベルでデータ管理に対するポリシーを策定することが必要だという。「北米の格付け機関は、バックアップをとっていない企業の格付けを下げてしまうほど。ポリシーの策定は、情報システム部門ではなく経営者の責任だ」として、データ管理の見直しを訴えた。

セミナーでは、マイクロソフト(株)取締役でビジネスソリューション事業部長の東貴彦氏によるWindows 2000の紹介も行なわれた。

マイクロソフトの東氏
マイクロソフトの東氏



東氏は、Windows 2000が目指したインターネット対応や信頼性、セキュリティーの強化ポイントを挙げた上で、ファイルやストレージ管理について加わった機能を解説。ファイルの使用頻度に応じて自動的にデータをバックアップする“Remote Storage Service”機能や、バックアップのウィザード化し、テープドライブに加えDVD-RAMドライブも対応した点、Fibre Channelのサポート、といった強化ポイントを紹介した。

セミナーではこのほか、(株)日立製作所やコンパックコンピュータ(株)といったメーカーやシステムベンダーによるプレゼンテーションが行なわれた。

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