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インターネット関連事業者による団体“日本インターネットプロバイダー協会”が設立、報告会に八代郵政大臣、木村太郎氏が登場

1999年12月03日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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インターネット関連事業者による団体“日本インターネットプロバイダー協会”が12月3日に設立、都内ホテルで記者発表会が行なわれた。

同協会は、各種インターネットプロバイダーやインターネット関連組織/企業、およびインターネットユーザーと、インターネットに関する問題を提起し、インターネット産業でのプロバイダーの健全な育成と、ユーザーの利便性の向上、国際的な競争力を持った情報化社会の発展に寄与することを目的とする団体。

左から、同協会副会長の福田晃氏、会長の渡辺武経氏、熊谷正寿氏
左から、同協会副会長の福田晃氏、会長の渡辺武経氏、熊谷正寿氏



設立発起人は、大手プロバイダーや地域プロバイダー、コンテンツサービス企業など、インターネット関連のビジネスを行なっている企業43社。同協会への加盟を表明した企業は、発起人を合わせ12月3日現在で107社、加盟企業の地域会社も含めると合計167社となる。

同協会の主な活動内容は以下の通り。

・インターネットプロバイダー産業の健全な発展、普及活動
・インターネットプロバイダー産業の政府行政、関連機関、関連団体、国際関連機構等との窓口
・インターネット関連ビジネスの法律整備、権利保護のための活動
・インターネット関連ビジネスの創業支援、インターキュベーション、人材育成
・インターネット関連ビジネスの技術向上のための共同研究開発、研修等の促進
・その他当協会の目的を達するために必要とする事業

今後具体的には、インフラのコストの低価格化の実現や、次世代高速インターネット、不正アクセスといった問題に関して協議していくという。

同協会の会長に就任した渡辺武経氏(ニフティ(株)代表取締役社長)は、「今後のインターネット産業の育成には、企業をこえた協力が必要。この考えに賛同した40社以上が発起人となり、協会の設立に至った。情報通信ネットワークの高度化、多様化が進み、金融革命や流通革命が現実のものとなっている。一方で、現在のインターネット環境を見た場合、安全に利用できるか、利用者の環境は整っているか、海外に対して競争力があるかを考えると疑問を感じる。国際社会での競争力をつける意味でわれわれの役割は大きい。また、利用者の個人情報を保護することはわれわれの使命であり、安全かつ快適なインフラの整備を行なっていきたい」と語った。

「発足したばかりなので、今後の具体的な活動については、各社と協議しながら進めていきたい」と渡辺氏
「発足したばかりなので、今後の具体的な活動については、各社と協議しながら進めていきたい」と渡辺氏



また、副会長の福田晃氏(群馬インターネット(株)取締役)は、「プロバイダー同士が価格を落として競争する時代ではなくなってきている。次世代インターネットに対応するためには協力しあう必要がある」、同じく副会長の熊谷正寿氏(インターキュー(株)代表取締役社長)は、「インターネット関連企業が、1社では解決できない問題を解決していく場。企業同士の競争も必要だが、日本市場の一躍を担う情報産業のプロバイダーを健全に発展させていくためには話し合いの場を持つことも重要だ。この呼びかけに日本中の企業が賛同してくれた」とそれぞれコメントした。

設立総会報告会に八代郵政大臣が登場

続いて、関連企業を集めた設立総会報告会が同場所で開催された。報告会では、同協会の概要説明や役員紹介が行なわれたほか、八代英太郵政大臣、ジャーナリストの木村太郎氏が出席し、インターネットについて語った。

木村氏は、“WWWの時代”と題した記念講演を行なった。

「このような設立総会に大臣が来るというのは大変なこと。設立したばかりのところに現職大臣が来るのは、日本の慣習からいえば異例中の異例。ひとえに、インターネットが世の中に認められた存在であり、業界に対する注目度を表わしている」

「八代郵政大臣が会場に到着するまでの間、場をつなげばいいのかなと思い(講演を)引き受けた」とジョークを飛ばす木村氏
「八代郵政大臣が会場に到着するまでの間、場をつなげばいいのかなと思い(講演を)引き受けた」とジョークを飛ばす木村氏



「冷戦時代にあった各国の壁が取り除かれ、往来が自由になり、ダイナミックな動の時代になった。地球化の時代である。冷戦の象徴は壁、地球化の時代のシンボルはWWWだと言えよう」

「インターネットには3つの課題がある。1つは料金の問題、そしてスピードの問題。インターネットプロバイダー協会は、これらを睨んだグループだろうと、1ユーザーとして理解している」

「3つめはコンテンツの整備。これはインターネット関連企業の仕事だと考える。新しいインフラを構築した後、何をやるのか。いろいろな可能性があると思うが、構築した企業自身が、どうしたらビジネスができるか成功例を示さなければならない。コンテンツの誘い水を出していくことが、インフラやユーザーの拡充につながるのではないか。ただインフラを整備し、ユーザーが来るのを待っていただけでは、これ以上のユーザーの普及にはつながらないだろう」

「この協会は、魔法の玉手箱を用意してくれる人たちの集まりだと思っている。WWWをいかに有効に使えるかで、日本の21世紀の命運がかかってくるだろう。ビジネスとしてのネットワークの在りかたをみつけてほしい。この協会をきっかけに、新しい動きが出てくることを期待する」

続いて、八代郵政大臣が、インターネット産業に対する郵政省の取り組みについて説明した。

八代郵政大臣
八代郵政大臣



「協会の設立を歓迎している。日本経済にとって、情報通信、特にインターネット事業の発展は重要な鍵。平成11年度の通信白書によると、日本のインターネットユーザーは1700万人、人口全体の13パーセントとなっている。世帯普及率は11パーセント。この急速な普及には、全国3800社のプロバイダーが大きく貢献している」

「しかし米国とは格差がある。その要因は、料金が高い、スピードが遅い、セキュリティの不安の3つと言われている。郵政省としても、インターネット普及のため、これらの問題には積極的に取り組む。まずNTTをはじめとする通信事業者に対し、料金の従量制の導入を働きかけた結果、NTTが今秋より従量制のサービス実験を開始している」

「また、高速アクセス回線の導入も推進し、加入者回線のアンバンドル化、バックボーン回線向けの次世代インターネット開発の研究等、ミレニアムプロジェクトとして積極的に取り組んでいく」

「セキュリティー面では、電子署名/認証の公正化を推進していく。現在、関係省庁と協力し、次期通常国会への法案提出に向けて準備を進めている。個人情報の保護も不可欠であり、公正化も考えていく。来年の夏までには基本法の法制化を行なう」

「インターネットは民間主導が基本と考える。21世紀の日本の浮き沈みは通信業界にかかっている。企業間での連携、協力が必要であり、協会の新しい時代へ向けた積極的な取り組みを期待する。インターネット関連企業各社には、21世紀の日本のリーディング産業として活躍してほしい」

同協会役員、監事、事務局長

会長:渡辺武経(ニフティ(株)代表取締役社長)
副会長:境輝正((株)インプレス取締役インターネット営業統轄部統轄部長)
副会長:宇治則孝(ドリームネット(株)代表取締役社長)
副会長:福田晃(群馬インターネット(株)取締役)
副会長:熊谷正寿(インターキュー(株)代表取締役社長)
監事:渡邊明正(東京通信ネットワーク(株)常務取締役マルチメディア事業部長)
監事:安藤央志(ピーエスアイネット(株)営業統括本部本部長)
事務局長:亀田武嗣((株)デジタルメディア研究所主任研究員)

報告会会場に集まった役員一同
報告会会場に集まった役員一同



同協会設立発起人

・(株)アドバンス(かもめインターネット)
・インターキュー(株)(interQ)
・(株)インプレス(impress)
・エーアイエーサービス(株)(AIA-Service)
・EditNet(株)(EditNet)
・NTTコミュニケーションズ(株)(OCN)
・グローバルオンライン(株)(GOL)
・群馬インターネット(株)(群馬ネット)
・KDD(株)(NeWeb)
・(株)KDDコミュニケーションズ(Kcomインターネットサービス)
・三協システム(株)(T-C NET)
・三洋電機ソフトウェア(株)(SANNET)
・(株)サンライズシステムズ(両毛インターネット)
・ジーアールホームネット(株)(ぷらら)
・JENS(株)(AT&T WorldNet)
・シャープ(株)(シャープスペースタウン)
・(株)ジャストシステム(JustNet)
・ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(So-net)
・ソピアフォンス(株)(ソピアフォンスインターネット)
・第二電電(株)(DION)
・ダイレクトインターネット(株)
・(株)琢磨(ジェイパル)
・(有)であいネット(マンダラネット)
・(株)デオデオ(デオデオインターネットサービス)
・(株)デジタルメディア研究所
・(株)東急ケーブルテレビジョン(かっとび@catv)
・東京通信ネットワーク(株)(TTNet)
・凸版印刷(株)(BITWAY)
・ドリームネット(株)(DREAM NET)
・ニフティ(株)(@Nifty)
・日本テレコム(株)(ODN)
・日本ファシリティ(新潟インターネットサービスセンター)
・ニューCOARA運営委員会(ニューCOARA)
・ネクストウェブ(株)(ネクストウェブホスティングサービス)
・(株)バガボンド(バガボンド)
・ピー・エス・アイ・ネット(株)(PSINet、東京インターネット、リムネット)
・府中インターネットテクノロジーサービス(株)(府中インターネット)
・(株)ベッコアメ・インターネット(ベッコアメ)
・マイクロソフト(株)(msn)
・マスターズクラブ彩(Aya インターネットサービス)
・マスターネット(株)(マスターネット)
・松下電器産業(株)(Hi-HO)
・(株)リクルート(ISIZE)

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