日本AMD(株)は、『AMD Athlonプロセッサ』の機能を使ったソフトウェアを作成しようという開発者をターゲットにした“AMD
Developer's Conference '99 Winter”を開催した。参加費は無料で、会場となった東京・新宿のホテルには120名を超える開発者が集まった。
日本AMDがこのような開発者向けカンファレンスを開催するのは、昨年春の“3D
Now!”に関するカンファレンスに続いて2度目のこと。
日本AMD、北アジアCPGマーケティング部部長代理のサミュエル・ローガン氏 |
まず、日本AMDの北アジアCPGマーケティング部部長代理のサミュエル・ローガン(Samuel
Rogan)氏が、日本のパソコン市場におけるx86プロセッサーの動向分析を行なった。
AMDのx86プロセッサー製品は現在、『AMD-K6-2』、『Mobile AMD-K6』ファミリー、『AMD-K6-III』、『AMD
Athlon』の4製品群となっており、全体として、'99年度は世界で2000万個のプロセッサーを出荷する見込みという(製品個々の内訳は未公表)。これによる世界シェアは16.6パーセントであり、今後Athlonプロセッサーのファミリー化(後述)などによりエンタープライズ向け製品を投入、2001年に世界シェア30パーセントを目指すとした。
ここで披露された数字によると、米国の小売りデスクトップパソコン市場におけるK6ファミリー(K6-2およびK6-III)のシェアは、'99年9月では26.6パーセントで、シェア1位の『Intel
Celeron』の44.1パーセントに続いている状態だ。これがポータブルパソコン市場では、K6ファミリー製品シェアが52.1パーセントと、インテル製品とシェアをまっぷたつに分ける形となっている。
日本市場については、小売りデスクトップパソコンのみの数字が明らかにされたが、それによると、'99年9月期のシェアは31パーセントで、昨年の9月期(22パーセント)と比べて約40パーセント増となっている。この理由としては「日本IBMの製品が売れている」(ローガン氏)ことをあげた。
次に、AMDの2000年末までの製品ロードマップを示した。それによると、もっとも近くでは'99年第4四半期から2000年代1四半期にかけて、『K6-2+』および『K6-III+』プロセッサーが予定されている。K6-2+は、0.18μmプロセスで製造されるもので、128KBのオンダイ2次キャッシュを備えるというもので、デスクトップパソコン向けの製品。K6-III+は、同じく0.18μmプロセスで製造されるが、こちらはモバイルパソコン向けの製品となる。
一方、Athlonについては、月曜日に0.18μmプロセスのAthlon-750MHzを発表しているが、2000年後半には動作クロック1GHzの製品を投入する予定。また、Athlonは従来の“Slot
A”タイプの製品のほかに、“Socket A”タイプの製品を投入するという。Socket
Aについて詳細は不明だが、Celeronなどが利用するSocket 370とは、互換性はなく、ピン数も異なるという。
*(名前はすべてコードネーム) |
米AMD社、Infrastructure Technology Developmentのジョン・ユエン(John Nguyen)氏 |
ローガン氏のスピーチ後、K6およびAthlonのプロセッサーアーキテクチャーの概要や、Athlonに最適化したプログラムを記述する際の注意点などが説明された。セミナー中「この中で3D
Now!を利用したプログラミングを書いたことがある人は?」という質問に、数人が手を挙げただけにとどまり、講演者が苦笑いする場面も見られた。
AMDからのセミナー後は、メトロワークス(株)がAthlon対応のプログラム開発環境『CodeWarrior』の技術説明、マイクロソフト(株)による“DirectX/DirectX3D”を利用した3Dグラフィックスの最適化手法、サイバーリンク(株)によるEnhanced
3D Now!を利用したMPEG-2エンコーダー製品『PowerVCR II』やDVDプレーヤー『PowerDVD』の技術解説が行なわれた。
マイクロソフトの川西氏 |
サイバーリンクの『PowerVCR II』は、Athlonプロセッサーに最適化されており、ソフトウェアだけで、MPEG-2ファイルをエンコードしながら再生することができる |
また、カンファレンスの最後には、K6プロセッサーを搭載したノートパソコンや、Athlonプロセッサーなどが当たる抽選会が開かれ、和やかな雰囲気のうちに終了となった。
見事ノートパソコンが当たり、にこやかな参加者(右) |
カンファレンスで行なわれたプレゼンテーションのハンズアウトや、Athlon用Software Development Kitの最新版、Code Optimization Guideなど、開発者には貴重な資料が参加者全員に配布された |
日本AMDでは、K6ファミリーやAthlonファミリーの特性を生かしたプログラム開発を促進するため、今後もこのような無料の開発者向けカンファレンスを、3ヵ月に1回程度開催したいとしている。次回は2000年の3月ないし4月に開催の予定。カンファレンスの案内は同社のウェブページに掲載される。