高度通信システム相互接続推進会議(HATS*推進会議)主催の“HATSセミナー'99”が2日、都内大手町のKDDホールで開催された。
*HATS:Harmonization
of Advanced Telecommunication Systems
HATS推進会議は、ユーザーやメーカー、電気通信事業者らが協調して、情報通信機器の相互接続試験などの情報交換を行なう場として、郵政省が'88年8月に設立したもの。
今回のセミナーでは、HATS推進会議の活動状況や、情報通信機器の標準化策定のかかえる問題やその改革、HATS推進会議が取り組んでいる相互接続試験の現状や今後の課題について、講演が行なわれた。
HATS推進会議議長で東京大学教授の齋藤忠夫氏は、“次世代通信ネットワークの構想と相互接続性”と題して、基調講演を行なった。
齋藤忠夫氏 |
齋藤氏は、10Mbpsや100Mbpsといった高速なネットワーク回線が約4000円といった価格で利用できるようになる時代への期待を表明した。しかし、その時代に日本が生き残っていくためには、社会経済システムの自己改革が必要で、それには日本に合った情報流通システムの構築を行なっていかなければならないと語った。
また、インターネットとTVが結びついた端末が各家庭にはいるような時代には、アプリケーションから情報通信機器まで色々な部分において相互接続性が必要になると、HATS推進会議が行なっている相互接続試験の重要性を説いた。
次に、郵政省通信政策局通信規格課の課長補佐である福田典弘氏は、電気通信分野の標準化策定体制を説明し、ITU*の電気通信標準化部門であるITU-T(International
Telecommunication Union-Telecommunication sector)の抱える問題とその改革について講演を行なった。
*ITU:International
Telecommunications Union。国際通信連合。国連により設立された通信の標準を制定する国際的な組織。
福田典弘氏 |
国際標準の重要性やITU枠外での標準化活動といったITU-Tを取り巻く環境の変化を示し、標準策定作業の遅さなど抱える問題を語った。そのためにITU-Tが取り組んでいる標準策定の迅速化、標準策定への民間メンバーの参加機会の拡大、研究グループの再編といった改革について説明した。
この後、HATS推進会議に参加している情報通信機器のメーカーから、HATS推進会議における相互接続試験の現状と、今後の課題についての講演が行なわれた。
需要が増加しているモバイルの分野や、音声をパケットとして伝送するVoIP(Voice
over IP)分野などの相互接続試験の取り組みなどが説明された。