オリンパス光学工業(株)とオリンパス販売(株)のプライベートショー“OLYMPUS
Technology Fair 80”が12月1日、東京国際フォーラムで開幕した。12月3日まで3日間の日程で、同社が事業の3本柱に据える映像情報技術、医療機器、工業用検査機械が多数展示されている。日本アイ・ビー・エム(株)と共同開発したウェアラブルPCが初めて公開されたほか、新開発のグローブ型入力装置が大きな注目を集めた。プリンター内蔵デジタルカメラも参考出品されるなど、同社の最新の成果が一堂に集まった盛りだくさんの内容となっている。
会場入口。入場できるのは招待客のみ |
新発表された技術のうち、もっとも注目を集めたのは新型マンマシンインターフェース『ウェアラブル操作インタフェース』。手の甲と指先にセンサーを取り付けたグローブ型で、一見、『サイバーグローブ』といった従来のものと似た形をしているが、センサーは指先の角度を検出するだけの単純な仕組みになっている。
『ウェアラブル操作インタフェース』。下は実際に装着したところ |
原理は、手の甲部分のセンサーが、手の姿勢データを検出。指先のセンサーは指の角度を検出し、データ処理部に送る。2つの部分のセンサーの情報を組み合わせることで手の動きを推定、人差し指で親指を叩くとクリック、などとあらかじめ設定しておいた動作を行なうことでパソコンへの入力が可能になる。
指先に取り付けたセンサーはジャイロの原理を利用し、動きに合わせ回転する圧電素子によって角速度を検出する。同社が取り組むマイクロマシン技術が生んだデバイスで、さらに小型化して微弱電波を発信するトランスミッターを内蔵できれば、「手の甲のセンサーを結ぶケーブルも必要なくなり、ネイルアート感覚で取り付けられる」(開発担当者)。実用化はまだ先とのことだが、センサーの応用範囲は広そうだ。また指先に取り付けられる『バーコードスキャナ』も展示され、腕時計に取り付けたコンセプトモデルなども展示された。
腕時計とバーコードスキャナを組み合わせた参考モデル |
同社が日本アイ・ビー・エムと共同開発したウェアラブルPCも展示された。同社は単眼式のヘッドセットディスプレー『PC
Eye-Trek』の開発を担当。0.47インチ、約147万画素の液晶ディスプレーを採用し、800×600ピクセルを表示できる。単体での製品化は未定とのこと。思ったよりも軽くて頭に負担が掛からず、文字はやや小さいものの画面は鮮明。製品化されれば、産業用のみならずコンシューマーとしても色々な使い道が考えられそうだ。
オリンパスと日本アイ・ビー・エムが共同開発したウェアラブルPC |
PC Eye-Trekとウェアラブル操作インタフェースを組み合わせて使用したところ。SFアニメではおなじみのヘッドセットディスプレーを見ながら、妙な手付きでモバイルコンピューティングを楽しむ日も近い |
映像情報技術分野では、デジタルカメラの参考出品2点が目を引いた。
小型プリンター内蔵カメラ。カメラの後ろにあるのが熱転写プリンターとインクリボン |
『小型プリンター内蔵型カメラ』は、熱転写型プリンターとインクリボンを内蔵し、撮影した画像を切手サイズのシールプリントとして出力できるデジタルカメラ。カラー出力するため、プリンターはRGBの3色を1回ずつ印刷し、1枚をプリントアウトするのに約40秒かかる。現在の外形は幅152×奥行き43×高さ74mmとやや大柄だが、「内部はまだ余裕があるので、小型化は可能」(同社)といい、現在は製品化に向けてユーザーの反応を調べている段階だという。
通信デジタルカメラは、従来モデルのC-21と外見はほぼ同じ。ただボディーカラーはシルバーではなく、ブラックになっている |
また『通信デジタルカメラ』は、同社のデジタルカメラ『C-21』をベースに、携帯電話との接続インターフェースを設け、撮影した画像をインターネット経由でパソコンに送ることができる。その逆に、パソコンから命令を出し、離れたところに設置したデジタルカメラを操作する、といったことも可能だという。来春にも発売を予定し、価格は「C-21(8万9000円)とあまり変わらない」(同社)程度という。
CMOSセンサー付きハイブリッドカメラ。銀塩フィルムを使用しながら、CMOSセンサーを備え、レリーズした瞬間を確認することができる |
また銀塩カメラで、CMOSセンサーをカメラの上部に取り付け、撮影した画像をその場で確認できるようにした試作品も公開された。
オリンパスの歴史はここから始まった。同社の前身、高千穂製作所が手掛けた国産初の光学顕微鏡『旭号』 |
同社は工業検査機械分野にも力を入れている。会場にはジェットエンジンも搬入され、エンジン検査システムを披露していた |