1日からの3日間、東京・お台場の東京ビッグサイトにおいて“NEC
ExpressWorld '99”が開催されている。これは、日本電気とその協力企業による展示会で、C&Cユーザーフォーラム1999と同時開催されている。
会場では主に、企業ユーザー向けのソリューション提案を中心とした展示を数多く見ることができた。ここでは日本電気のブースを紹介する。
東京ビッグサイトの東展示棟4~5ホールで開催中の、NEC ExpressWorld '99 |
ハードの主役はExpress5800シリーズ
“ExpressWorld”という展示会の名称にたがわず、日本電気ブースの主役はサーバー/ワークステーションの『Express5800シリーズ』だ。会場の入口に程近い“プラットフォームゾーン”では、Expressサーバーとクラアイントマシンをズラリと並べた大掛かりなデモを実施していた。ほとんどの来場者が、日本電気のブース前で足を止めていた |
Express5800シリーズは、10月27日に新ラインナップを発表したばかり。実際の発売は11月末から2000年2月に掛けてのため、企業ユーザーにとっては導入前の下調べという意味合いもあったようだ。ブースでは、マイクロソフトの“テラサーバー”からダウンロードした地図データを、10台のクライアントマシンで別々に利用するデモを実施し、サーバーの処理能力をアピールしていた。
左下で背中を向けている女性がExpress5800を操作、壇上に並んだ10台のクライアントマシンに、テラサーバーの画面が映し出された |
指紋認証システムを展示
“ITソリューションゾーン”では、“提案します、インターネットビジネス”をキーワードに、同社が推進するWebComputingをテーマとした展示とデモが行なわれていた。ここでもやはり企業向けの展示が多く、サーバーの運用管理ツールなど、実際のeビジネスに即した展示が企業ユーザーの来場者から注目を集めていたようだ。WebComputingを実現/構築するためのツールが多く展示されていた |
そのなかで一般ユーザーにも興味深い製品として、指紋認証システムの展示が目立っていた。モバイルギア『MC/R730F』は、指紋認証システムの『SecureFinger』を標準装備した新製品で、11月29日に発表されたばかり。発売は1月末の予定で、価格は16万5000円。ベースモデルとなったモバイルギアとの価格差は1万円に過ぎず、企業ユーザーを対象に普及を図る戦略的な価格設定といえる。
指紋センサーは本体手前右側に装備。フタ付きなので、普段の操作に支障をきたすことはない |
同社の説明によると、日本電気では警察向けの指紋照合システムで、世界シェアの69パーセントを占めているとのことだ。認識精度も他社に比べ1~2ケタは高いということで、顧客データ管理などのセキュリティーに自信を覗かせていた。
モバイルギアの電源を入れると、指紋照合を促すメッセージが現われる。指紋の認識に要する時間は3~5秒程度だった |
指紋をドアロックに応用した『FingerThrough』も、興味深い製品だ。これはSecureFingerと電子錠を組み合わせた製品で、いつ誰が開錠したかというログを取ることもできる。価格は39万8000円で、発売は12月22日から。
10BASE-Tのポートも備えており、最大255台をサーバーに接続して、ネットワーク越しにコントロールすることも可能。専用の『ドアロックコントロールソフトウェア』は、5パネル用の10万円からラインナップされており、Windows
95/98/NT4.0に対応している。
マンションの管理室にサーバーを置き、客が来たらリモートで開錠するといった利用が可能、ちなみに電子錠そのものは美和ロック製だった |
BIGLOBEのブースも充実
同社の西垣社長が「BIGLOBEは各分野を統合するドライビングフォース」と語っていたように、BIGLOBEのブースは大手企業のブースに匹敵する面積を占めていた。2000年2月からのサービスを予定している“ECショップサービス”は、ショッピングサイトの開設を支援するサービスだ。同サービスではサーバーのホスティングサービスに加え、サイトの構築と運営を行なうためのツールも提供する。サイトの運用はBIGLOBE内のECセンタが行ない、希望者に対してはSSLによるクレジットカード決済も提供する。
同サービスはいわゆるショッピングモールとは違い、受注管理/在庫管理/売上管理といった“店舗管理機能”や、消費者が購入した商品の購入日・金額などを確認する“購入履歴管理機能”の提供までを受けることが可能。専用サーバーを立ち上げる際の料金は、初期費用が100万円から、月額費用が70万円からとなっている。この場合、消費者の会員登録は5万人分まで対応可能で、商品は1万点まで登録が可能だ。
“ECショップサービス”のツールで制作したショッピングサイトのデモ画面。数多くのテンプレートを用意しているという |
9月にサービスを開始した『i-セレクトメールサービス/サーバ』は、会社宛てに届いたメールをiモード対応の携帯電話に転送するというサービス。この機能を搭載したサーバーを社内LANの中で運用する方法と、BIGLOBEを会社の専用プロバイダーとして利用する方法の2通りが用意されている。
サーバーを購入する場合は、20名/100名/200名規模に対応したサーバーが、それぞれ100万円/200万円/300万円となっている。また、BIGLOBEをプロバイダーとして利用する場合は、加入料が10万円(20アカウント分)、月額使用料は20アカウントまでが8000円、100アカウントでは2万8000円などとなっている。現在のところ、正式に導入している企業はまだないが、導入準備段階にある企業はいくつかあるそうだ。
i-セレクトメールサービスでは、題名や差出人の情報からメールを選択して転送することが可能。設定はウェブブラウザーから行なえる。iモード携帯電話は日本電気製である必要はない |
その他の展示
会場の中央には体験コーナーが設けられ、同社製の携帯電話やモバイル機器を実際に触って操作することができた。携帯電話では、発売されたばかりの『デジタル・ムーバN208S』などを展示。同機はiモード対応ではないが、係員の説明によると「iモードを必要としていないユーザーも多いので、iモード対応ではない機種も作り続けてほしい」というリクエストがNTTドコモから来ているそうだ。iモード対応の『デジタル・ムーバN501i』を熱心に見つめる女性来場者。現在280万契約のiモードは、年度末には400万契約に達する見込みだという |
デスクトップパソコンやノートパソコンは、Expressサーバーのデモを行なっているブースの裏側で、ひっそりと展示。ほとんどの機種でWindows
2000が動作しており、Windows 2000 Readyであることをアピールしていた。USB対応の携帯電話アダプターなども展示されており、係員によると、「Windows
2000が発売されたら、周辺機器についてもWindows 2000対応であることを発表していく予定」とのことだ。
10月18日に発売された『LaVie NX』上で、Windows 2000が動作していた |
Express5800ワークステーションの展示では、同社が“世界最高水準”とアピールするグラフィックアクセラレーター『TE4E』のデモも行なわれていた。TE4Eは日本電気オリジナルの製品で、独自開発のジオメトリエンジン“GA400”を搭載。演算性能は毎秒700万ポリゴンだという。デモでは、自動車レースゲームのデモ映像を流していたが、車体に路面の凹凸がリアルタイムに映りこんでおり、来場者からは「すごくキレイだね」という印象も聞かれた。
滑らかな動きを見せていた『TE4E』のデモ。コマ落ちもなく、ひっそりとデモするのが勿体ない出来映えだ |