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イメージソース伊藤氏が語るウェブ制作のテクニック――“WEB INFINITE FUTURE”セミナーより

1999年11月24日 00時00分更新

文● 野々下裕子 younos@pb3.so-net.ne.jp

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WEBデザインやそれらを取り巻く業界の未来を捉えることを目的としたセミナー“WEB INFINITE FUTURE”の第1回が、20日、大阪南港のWTCビルにあるソフト産業プラザ MADO プレゼンテーションルームで開催された。主催したのは“INFINITE FUTURE”というグループで、デジタルハリウッド大阪校の在学生ならびに卒業生が中心となって構成している。

今回は、東京からウェブ業界のトッププロデューサーであるイメージソースの伊藤幸治氏を招き“デザインの原点から無限に広がるWebの世界へ”というテーマで、最先端のウェブ制作について語り合った。このセミナーは、講演中も会場からの質問をどんどん受付けるインタラクティブ形式を取り入れており、100名を超える参加者と講師が一体となったアットホームな雰囲気で進行していった。

セミナーは、司会進行役のスタッフと会場の参加者が次々と質問を投げ掛けるというインタラクティブなスタイルで行なわれた
セミナーは、司会進行役のスタッフと会場の参加者が次々と質問を投げ掛けるというインタラクティブなスタイルで行なわれた



ポイントはユーザビリティー、ブランディング、“メンテナンズビリティー”

まず、伊藤氏の経歴が紹介されたが、もともとは工学系出身でミュージシャンとなり、再びシステム関係の会社に入社、その後、ウェブの世界に入るというユニークなものであった。

制作の世界に入ったきっかけは、Machintoshに出会って、DTM(DeskTop Music)や『HyperCard』にはまったこと。インターネットの存在にもいち早く注目し、「インターネットとマルチメディアの融合を予感した」という。そうした先見性の高さが'93年にキノトロープの設立につながった。その後、独立。伊藤氏自身の幅広い経験を生かした、トータルプロデュース志向のウェブソースプロダクション、“イメージソース”が誕生する。

続いて、具体的なウェブ制作に関する話題に触れていった。

「制作のポイントはユーザビリティー(使い勝手)、ブランディング(顔づくり)、“メンテナンズビリティー”(運用性)の3つ。すべての部分で最高のクオリティーを追及するが、イメージソースでは特にトップページのブランディングにこだわっている。同時にインターフェイスデザインにもこだわり、同社のホームページでは本のメタファーを用いた構成している」

技術面からも新しい表現が提案されており、ウェブ内でのヘルプやナビゲート機能にあたる『VooDoo』では、長いページをスクロールしても画面の左下に、ナビゲートのパレットが常に表示されるものや、バインダーのノンブルをメタファーにしたサイト図などが実際に見られるようになっている。

「視認性のためにコンテンツ本来の意味を無視するのはナンセンス。ウェブで伝えることの面白さを追及していくのがデザイナーの役割でもあると思う」

伊藤氏が工学出身のせいか、デザインもさることながら、技術面で新規性の高い提案が目立つ。モルガン・スタンレーの日本サイトでは、沿革のような普通のユーザーがあまり興味を持たないところをどう見せるかにこだわったという
伊藤氏が工学出身のせいか、デザインもさることながら、技術面で新規性の高い提案が目立つ。モルガン・スタンレーの日本サイトでは、沿革のような普通のユーザーがあまり興味を持たないところをどう見せるかにこだわったという



技術は絵筆。自分に合った絵筆を見つける

その後もイメージソースが制作しているユニークなサイトが次々と紹介されていった。会場からも最も反応があったのは、現在、制作中のフジフィルムのサイトである。これは、フランスの写真家ヤン・アルス・ベルトランド氏の作品を紹介するもので、ダイナミックHTMLやXML、フラッシュ4.0など、さまざまな技術を組み合わせて制作されている。

「ギャラリーのようなコンテクストをめざした」という通り、作品の壁紙をダウンロードしたりできるようにもなっている。「ギャラリー系サイトでは著作権が問題になるのでは?」という質問に対しては、ウォータマークのような電子透かし技術を用いていると回答した。さらに「先端を追及するあまり、データが重く、読みにくくなっているのでは」という指摘に対しては「データを軽くする努力はもちろんしているが、それでは表現しきれないところがある。問題はそこのバランスをどうするかで、いいものができれば誰もが納得してもらえるはず」と語った。

社員が7名のイメージソースでは、社外とのコラボレーションが制作の大きな鍵になるとも。写真はアクシスと組んで制作したNTT東日本のサイト。ここでは主に自動更新などのプログラミングやエンジニアリングの部分を請け負った
社員が7名のイメージソースでは、社外とのコラボレーションが制作の大きな鍵になるとも。写真はアクシスと組んで制作したNTT東日本のサイト。ここでは主に自動更新などのプログラミングやエンジニアリングの部分を請け負った



さまざまな表現手段が実験されているフジフィルムのサイト(英語版のみ)。音楽も伊藤氏が担当
さまざまな表現手段が実験されているフジフィルムのサイト(英語版のみ)。音楽も伊藤氏が担当



さらに多くの質問のやりとりが続いたが、最後に伊藤氏は、「今後も社会そのものがインターネットで変化し、制作の現場もどんどん変化していくだろう。ウェブデザインについては多様化が進み、それぞれが分散、向上していく傾向にあると思う。XMLやJavaのような技術にしてもそれは今使える絵筆に過ぎず、HTMLのネクストジエネレーションがどんどん登場していく。大切なのは自分にあったいい絵筆を探し、使っていくということである」とセミナーを締めくくった。

「制作では2パーセントのアバンギャルドにこだわることが大切」と語る伊藤氏。これは建築家、テレス・コンラン氏の言葉からの引用とのこと
「制作では2パーセントのアバンギャルドにこだわることが大切」と語る伊藤氏。これは建築家、テレス・コンラン氏の言葉からの引用とのこと

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