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HMC、群集アニメーション技術など、マルチメディア関連の先端動向に関するフォーラムを開催

1999年11月12日 00時00分更新

文● 平野晶子

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ハイパーメディアコンソーシアム(HMC)主催の11月度フォーラムが9日、東京・新宿区のソリトンシステムズ本社ビルで開かれた。本フォーラムでは、毎月、マルチメディア関連の先端動向に関する各種講演を行なっている。今回はスーパーメディア(株)研究開発部部長の河内隆幸氏による“3次元CGを革新する群集アニメーション技術RealCrowd”と、NTT移動通信網(株)ゲートウェイビジネス部ビジネス企画担当担当部長の高木一裕氏による“i モードを利用した情報提供サービス”の2つ。

レンダリングからアニメーションへ

まず、かつてCG専門誌『PIXEL』の編集長も務めた河内氏が演壇に上り、最近のフルCGアニメ等で頻繁に用いられる群衆アニメーションについて講演した。最初に全く専門外の参加者のために、3DCGアニメーションの基礎を解説。その工程をモデリング、アニメーション、レンダリングの3つに分類し、CG研究の主な焦点がこれまでのレンダリングからアニメーションにシフトしてきている現状を指摘した。

CG専門誌『PIXEL』の元編集長だったスーパーメディアの河内氏CG専門誌『PIXEL』の元編集長だったスーパーメディアの河内氏



続いて、'60年代のサザーランドの研究から最近のデジタル特撮映画に至るまでのCGの発達史を概観。映画へのCGアニメーションの応用で、現在、最も頻繁に見られるものとして以下を挙げた。

高校生のソフトが世界最先端!?

まず、『ジュマンジ』などのように、動物の演技を自由自在にコントロールしたいという要請。次に、人間には危険なアクションを代行するデジタルスタント。これは『タイタニック』以来よく用いられるようになった。さらに、現実にはあり得ない風景などを作り出すデジタルマットペインティングやバーチャルセット。そして、火山の爆発や竜巻などの自然現象の表現。

先日発売された『バグズ・ライフ』のビデオやDVDに収録されているピクサーの短編CG映画『Geri's Game』に見られる、衣服や顔のしわなどのシミュレーションも紹介された。この分野では日本の東洋紡のソフトが最先端を走っているという。また、毛皮などの表現ではブルガリアの高校生の作ったソフトウェアが実は最も進んでいるそうだ。

講演の主眼である“群衆(クラウド)アニメーション”は大量のエキストラの代用として使われるもので、前出の『バグズ・ライフ』や『アンツ』などのフルCGアニメーションで実際に用いられている。いま、河内氏が取り組んでいるのは、この群衆の中の個々のキャラクターに個性を持たせ、AIなどと組み合わせて自主的に行動できるようにすることだ。さまざまな物理法則や社会心理学などの成果を盛り込んで実験しているという。

群衆アニメーションのデモも3種類上映された群衆アニメーションのデモも3種類上映された



その成果の一端として、約120人のキャラクターが、ある部屋から最短経路を通って非常口に行き着くという比較的単純なものから、パーティーで知り合い同士が自然に集まっていくというやや高度なものまで、3種類のシミュレーションが紹介された。どのキャラクターにも異なる食事の好みや性格などがインプットされているという。実際、いつまでも出口がわからずウロウロする者や、他者とぶつかってしまう者など動きのバリエーションも多種多様だ。必ずしも映画だけでなく、都市計画や交通・避難誘導などのシミュレーションなど、期待される応用分野は多岐にわたる。

「心理学の成果を数値に置き換えて埋め込んだ、“デジタル集団心理学”の構築も視野に入れている」と河内氏は結んだ。

コンテンツの成熟がカギ

後半はNTTドコモの高木氏による「iモードの現状と将来展望」。今年2月のサービス開始以来、加入者数は順調な伸びを示し、11月8日現在で235万人を突破。当初400万だった2000年4月までの加入目標をさらに100万上乗せしたという。

iモードの好調な加入者増の様子を解説するNTTドコモの高木氏iモードの好調な加入者増の様子を解説するNTTドコモの高木氏



高木氏はモバイルマルチメディアビジネス実現の可能性を、2つの視点から評価する必要があるという。1つは入出力機器の量が十分であるか。もう1つは豊かなコンテンツがあるか。携帯電話の場合、市場規模は7000万台で、第1関門はクリアしている。しかし、コンテンツに関しては基本的に音声伝達メディアであり、文字伝達も今のところ短文しか送れないなど、豊かとは言い難い。

iモードは、このコンテンツの充実を目標として生まれたものだった。パソコン+インターネットといった使い方をするユーザーをデパート組とするなら、こちらはより親しみやすいコンビニ感覚でと、エンターテインメントや生活必須コンテンツに的を絞った。事実、現在、最も人気のあるコンテンツはバンダイが提供する『キティちゃん』のスクリーンセーバーだという。コンテンツの貧弱さを埋めるという意味では、画像伝送も近い将来の実現を目指している。

目下、人気No.1コンテンツはバンダイ提供のキティちゃん壁紙目下、人気No.1コンテンツはバンダイ提供のキティちゃん壁紙



時刻表や宿泊ガイドなどデータベース系のコンテンツも好評時刻表や宿泊ガイドなどデータベース系のコンテンツも好評



前半がやや技術的な内容だったのに対し、こちらはビジネスプレゼンテーション的な要素が強かったためか、会場からの質問も相次いだ。特に最初の質問者は「夏の段階でコンテンツプロバイダーに参入したいと担当部署に申し出たが、いまだに連絡がもらえず、ビジネス内容の説明すらさせてもらえない」と、質問というよりは、訴え掛けに近い発言。これに対し高木氏は「コンテンツをどこまで増やせばよいのかの見極めも現段階では難しい」と苦しい返答をしていた。

終了後、高木氏の前には名刺交換を求める参加者の行列ができ、iモードにマルチメディアコンテンツビジネスに寄せられる期待の大きさがうかがわれた。

なお、12月のセミナーでは、12月21日、無線LANに関する2つの講演が予定されている。

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