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オンライン通販の現場から――“オンラインショップ何でも大質問会!”in 京都(前編)

1999年11月05日 00時00分更新

文● 服部貴美子 hattori@ixicorp.com

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今年の8月に結成された“オンラインショップマスターズクラブ”は、中小のオンラインショップのネットワークをさらに強固なものにし、共同してこれらの課題に取り組むことを目的として運営されている。

この“オンラインショップマスターズクラブ”のセミナーが、去る11月2日に、京都リサーチパーク西地区会議室ルーム2にて行なわれた。ネット通販先駆の地、京都を代表する3人のショップマスターをゲストに招き、オンラインショップを運営する現場からの声を紹介。パネルディスカッションを通じて、これからショップを大きくしていきたいというショップマスターへ、その経営ノウハウを開示していこうという試みである。

司会進行は、合資会社逸品、オンラインショップマスターズクラブ代表の森本繁生氏
司会進行は、合資会社逸品、オンラインショップマスターズクラブ代表の森本繁生氏



写真左より、『イージー』岸本栄司氏、『Cave de Vin 小仲酒店』小仲律子氏、『家具のアオキ』青木良夫氏。41歳、31歳、51歳と、偶然にも10歳ずつ違うショップマスターたちからは、ショップ運営のキャリアの差だけではなく、世代の差を感じさせるコメントを聞くことができた
写真左より、『イージー』岸本栄司氏、『Cave de Vin 小仲酒店』小仲律子氏、『家具のアオキ』青木良夫氏。41歳、31歳、51歳と、偶然にも10歳ずつ違うショップマスターたちからは、ショップ運営のキャリアの差だけではなく、世代の差を感じさせるコメントを聞くことができた



成功者たちの戦略と努力

午前の部では、オンラインショップの現状と展望について、各講師の事業とノウハウの紹介が行なわれた。

最初にマイクをもったのは、Tシャツ専門店『イージー』の岸本栄司氏。現在は、セミナーの会場となった京都リサーチパーク内にオフィスを置いている。'95年8月に開業して以来、売上高は右肩上がりをキープ。今年は、8月の時点で昨年度の実績3300万円の水準に達しており、最終的には5000万円前後になる見込みだという。
「数字としては満足だが、伸び率については、いまひとつ。昨年は社員2名を解雇するなど、厳しい時期もあった」(岸本氏)。
 
今ではネット通販業界で知らぬ人がいないほど有名になった『イージー』も、最初は2色のTシャツが掲載されただけの、ごくシンプルなサイトであった。「決して構えてやるものではない。まず、やってみること。困ってからやるのでなく、今すぐやらねばという危機感がないとダメ」と、辛口のコメントが続く。とくに、資本主義の観点やフロンティアスピリッツについて強調し、「成功例を見ているようでは、負け組に終わるのは必至。同業者の動向に関係なく、自らの利益のために自分で考えて働き、何もないところに何かを生み出そうとするが大切だ」と述べた。

インターネットの世界では、“先発”であることが有利といわれているが、「後発であったとしても、値段、品揃え、配送方法などを工夫して、その分野の3位までに入ること。さもなくば、商売としては成り立たない」と説明。その際のビジネス・プロセスとして、「リアルショップと違って、品揃えの豊富さはセールスポイントにならない。これを売りたいという“スター商品”を決めて、徹底的にPRし、店名=商品という一致を実現させること」を最優先すべきだと指摘した。

また、数あるネット通販店の中で、注目を集めるコツについて、「何といってもページそのものの面白さを高めるべき」と述べ、起承転結にのっとった文章の組み立て方や、商品説明に必要な写真の3点セット(人が写っているもの、セールスポイントをクローズアップしたもの、商品全体のイメージがつかめるもの)について、通信販売のカタログから学ぶページ作りの秘訣を解説した。

最後に、「物販で在庫を抱えることを怖がっていてはいけない」とリスクを取らなければ、競合相手が増えるだけで、利益を生み出すことはできないだろうと述べた。

実店舗との連動やアナログ手法との共存も可能

続いては、紅一点の小仲律子氏。規制緩和の流れのなかで『○○屋さん』といわれていた個人商店が、コンビニエンスストアなどへと姿を変えていくなか、小仲氏は、実家の小仲酒店とネット通販をうまく両立させ、継続している。

小仲氏は、成功のファクターとして、専門能力、本心直結の接客術、メールをあげ、「その集大成がメールマガジンである」と述べた。現在発行しているメールマガジンは、読者数約2600人だが、「出すと必ず注文が入る」というくらいリアクションがあるという。BtoC(企業→消費者)からCtoC(消費者→消費者)へと、ホームページマーケティングの考え方が変わってきた今、“楽しくなければ商売じゃない”をモットーに、業界のウラ話や新しい商品の情報を配信し続けることによって、着実に固定客をつかんでいる。

'97年の立ち上げ以降、ワインブームの追い風もあり月販200万円にまで業績を伸ばしたが、今年は横ばいで推移。「そろそろ、個人で処理できる仕事量の限界に達しているのかも」と、今後の課題についても触れた。

最後は、『家具のアオキ』青木良夫氏。前出の2店と違い、'97年に実店舗は閉鎖しており、現在はネット通販一本で営業を継続している。

ネット通販の発展を、ロードサイドビジネスが発展した経緯に類似していると指摘し、「車という高級品が一般に普及してくるにつれ、それを使って、生活をより豊かに、より便利にするためのビジネスが生まれた。既存のビジネスや商習慣の枠を超え、価格のダウンを実現させる動きが、電子の世界では始まっている」と述べた。

現在、同ショップの売り上げ構成は、カタログ請求を経由したものが60パーセント、ホームページ上からダイレクトに受注するものが25パーセント、残りの15パーセントが数量限定のアウトレット商品である。この3つは、価格帯が少しずつずれているため、決済方法についても電子決済と郵便振り込みを使い分けている。

また、売り上げ個数の多いアウトレット商品については、運送業者との交渉により、送料の低減化にも成功。「カタログを送るというアナログ手法を残していることは、意外に思えるかもしれないが、当店はウェブで完結しようという思いはない」と述べ、インターネットをビジネスの入り口と考えている姿勢をみせた。

「ブランドイメージを確立すれば、値下げ交渉に応じなくとも客はついてくる」という青木氏。検索エンジンを上手く活用することで『家具屋=アオキ』を浸透させるている
「ブランドイメージを確立すれば、値下げ交渉に応じなくとも客はついてくる」という青木氏。検索エンジンを上手く活用することで『家具屋=アオキ』を浸透させるている



また、購入者の58パーセントがリピーターといい、安定した顧客を確保している一方、今年の10月からはAOLにも出店。従来のサイトでもクリック数の低減など、注文ページの利便性向上につとめていたが、「同じインターネットでありながら、かなり初心者が多いため、さらにページをシンプルにし、コンビニ決済、バスケット方式導入など、“安心”、“簡単”なシステムについても留意している」(青木氏)。

各講師の戦略と実績を聞いた上で、参加者80名から3人の先駆者たちへの質問が投げかかけられた。午後からの第2部では、すべての質問に対する回答を中心に、討論が展開された。

参加者一人ひとりにマイクが渡り、講師陣への質問のチャンスが与えられた
参加者一人ひとりにマイクが渡り、講師陣への質問のチャンスが与えられた

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