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「すべてのビジネスはe-Businessに移行する。日本の出遅れに懸念」――米インテル社長兼CEOバレット氏が講演、i820チップセットは1週間後にも発表

1999年11月02日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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米インテル社の社長兼CEO、クレイグ・バレット(Craig R. Barrett)氏が来日し、都内で講演を行なった。バレット氏は「今後、すべてのビジネスはインターネットを経由したe-Businessに移行するだろう。日本は電子商取引(EC)分野で出遅れているが、新しい技術を投入して経営基盤を強化する必要がある」と語り、同社が事業の軸足をインターネットビジネスに移しつつあることを印象づけた。また出荷が遅れているi820チップセットについて、バレット氏は「1週間後にも発表する予定」と話した。

都内のホテルで開かれた“Intel e-Business Forum '99”
都内のホテルで開かれた“Intel e-Business Forum '99”



バレット氏は、インテル(株)が主催したセミナー“Intel e-Business Forum '99”の講師として来日。インターネットビジネスの重要性と将来について語った。バレット氏の講演の要旨は以下の通り。

すべての企業がインターネット企業に


インターネットビジネスの将来を語るバレット氏 インターネットビジネスの将来を語るバレット氏



「この数年内に、PCやデジタル家電など、10億台がインターネットに接続され、ECの市場規模が1兆ドル(約105兆円)に達する時代がやってくる。インターネットコマースは我々が想像するより速く進んでいる」

「この影響には2つの側面がある。まずIT業界では、従来はコンピューターが業界を引っ張ってきたが、今後はインターネットがコンピューターをけん引する時代になる。また企業に対しては、インターネットは大きな影響を与えることになる。e-Businessを導入、活用しなければ生き残れなくなるだろう。つまり戦略的転換点を迎えているということだ」

「今から5年後には、“インターネット企業”と呼ばれるものはなくなるだろう。製造業、小売業など、あらゆる企業が取引をインターネットを使って行なうようになるからだ。すべての企業がインターネット企業になるということだ」

「日本の現状を見てみると、コンシューマーがPCを購入する動機はインターネット接続であり、ISPも多く、活発な業界になってはいる。ただアクセスコストが高いため、米国に比べると普及が遅れており、ECも2~3年は出遅れている。日本が経済大国であり、世界経済に占める相対的地位を考えると、これは懸念するところとなる」
「では日本では何が必要なのだろうか。通信が規制緩和されればいいのだろうか。企業がITを導入すればいいのか、政府が電子政府化すればいいのだろうか? 本当に必要なのは、e-Businessに基づき企業が経営基盤を変えることだ」

インターネットビジネスが企業構造も変える

「インテルが行なった新しい経営基盤の確立を例にとって説明しよう。インテルでは去年から取引企業とのECシステムを構築、今ではNTベースのサーバー200台を用意、200Mbpsの帯域幅を確保している。世界400社と、その部署ごとにウェブをカスタマイズした4000種類のウェブを持っている。これは単に取引が電子化されただけにとどまらない。これまでプロセッサーの仕様書など、顧客企業に手で渡していた書類を、128bitの暗号で保護されたドキュメントとして365日いつでもアクセスできるようになり、顧客と我々にとっても時間を削減、競争力強化につながっている」

「最終的には顧客志向のソリューション構築を目指すことになる。従来のベンダー指向の方法では、ウェブを立ち上げて客を待つだけだったが、今後は必要な情報を統合して顧客に提供する方向に移行する」

顧客志向型のアプローチとして、ある旅行業者のサイトに接続してデモが行なわれた。「妻が太平洋の暖かい島に行きたいと言っている」としてハワイ旅行を注文。ホテルやオプションツアーの予約など、複数の業者のサービスが1つのパッケージとして提供されるサービスが紹介された
顧客志向型のアプローチとして、ある旅行業者のサイトに接続してデモが行なわれた。「妻が太平洋の暖かい島に行きたいと言っている」としてハワイ旅行を注文。ホテルやオプションツアーの予約など、複数の業者のサービスが1つのパッケージとして提供されるサービスが紹介された



「世界的規模でインターネットビジネスが進めば、企業は組織から変更しなければならなくなる。開発部門や販売部門、物流部門といった縦割りの構造ではなく、ITを軸に統合されていくだろう」

PCの処理能力向上に終わりはない

「インテルはクライアント、サーバー、ソリューションといった、インターネットインフラ構築のための“ビルディングブロックサプライヤー”を目指している。インフラで大切なのはスケーラビリティーだ。これまでは社内のネットワークだけを考え、社員数からどの程度のサーバーが必要になるか判断できた。しかしネットワークを外に開くと、どれくらいアクセスが増えるのか予想はできない。そこでサーバーには多数のアクセスに耐えうるスケーラビリティーが必要になる」

「インテルでは、サーバー向けにItaniumプロセッサー(IA-64)を発表、来年中頃に出荷する。この新世代のプロセッサーは、セキュリティー機能などECに対応した優れた機能を持ち、浮動小数点演算の性能もいい。インターネットビジネスをけん引するエンジンとなるだろう」

「クライアントPCについては、私はよく『もう処理能力は十分ではないか』との質問を受ける。その答えは簡単だ。ウェブはXMLベースに移り、ECでは暗号処理が必要になる。さらに使い易いユーザーインターフェース、音声認識、新しいコンテンツ。クライアントの処理能力が上がらなければこうしたことは実現できない」

「まとめよう。すべてのビジネスはe-Businessに移行し、そのうち8割はBtoB(企業間取引)となる。インターネットでは、1回マウスをクリックすれば、客は競合他社のサイトに飛んでしまう。大企業も中小企業も、インターネット上では競争力に違いがなくなる。日本でも新技術を投入して景気回復に努めてほしい。世界でビジネスをするには、e-Businessを導入するかしないか、といった選択肢は存在しない。導入しなければ生き残れない」

820チップセットは「1週間くらいで発表」

セミナー終了後、バレット氏は日本法人の傳田信行社長とともに記者会見を開いた。

記者会見に出席したバレット氏と傳田氏
記者会見に出席したバレット氏と傳田氏



記者会見でバレット氏は、出荷が遅れているi820チップセットについて、「i820チップセットは1週間後くらいには発表する予定」と時期を明らかにした。

またインテルはインターネットビジネスに移行し、マイクロプロセッサー事業の依存度を下げるということか、との質問に対してバレット氏は、「マイクロプロセッサー事業は健全であり、利益率も高い。しかし将来を考えると、マイクロプロセッサーと何らかのプラス要素が必要になる。継続的に成長するために参入する必要があると思った」と答えた。またPCの位置付けについては「将来は家電を含むさまざまな機器がインターネットに接続されるだろうが、PCにはインタラクティブな能力があり、今後もアクセスデバイスとして主流であり続けるだろう」との見解を示した。

またItaniumについては、「来年下期に投入予定だが、サーバー用途であり、x86プロセッサーとクロスオーバーするには何年もかかる。クライアントでは64bitプロセッサーの必要はないと考えている。32bitを進化させ、大きなボリュームを確保したい」とした。

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