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最新LCDとPDP製品が出揃った--“LCD/PDP International '99”

1999年10月28日 00時00分更新

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10月27日、横浜市のパシフィコ横浜で“LCD/PDP International'99”が開幕した。LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)は、薄型・軽量の表示デバイスとしてノートパソコンやモニタなど情報機器用途だけでなく、最近は家庭向けのテレビ用途にも使われるなど、次世代のディスプレイデバイスとして注目される存在。このイベントはLCDやPDP製品だけでなく、製造や検査用装置、部品、材料などLCD/PDP関連メーカーが集う総合イベントとして、国内だけでなく台湾や韓国からも出展がある国際イベント。出展社数は179社。今年で6回目を数える。主催は(株)日経BP。

エレクトロニクスショーの開催から日が浅いこともあって、メーカーによっては同じ展示を繰り返したところもあったが、それでも新しい製品の展示が目立った。

 TIのDLPプロジェクター。これで対角400インチの投影が可能なサイズ
TIのDLPプロジェクター。これで対角400インチの投影が可能なサイズ

 ブースでは200インチのシアターが設置され、鮮明なプロジェクターらしからぬ映像を映し出していた。この絵ではわかりにくいか……
ブースでは200インチのシアターが設置され、鮮明なプロジェクターらしからぬ映像を映し出していた。この絵ではわかりにくいか……

 ずらりと並んだDLPデバイス。ミラーの集積度に応じて解像度を上げることができる
ずらりと並んだDLPデバイス。ミラーの集積度に応じて解像度を上げることができる



大きなブースを設けてひときわ目立っていたのがDLPを持ち込んだテキサス・インスツルメンツ。DLP(Digital Micromirror Device)は、半導体上に微少な鏡を形成、サスペンションを持つアームをつけ、これを高速に動かし光源からの光をオンオフの要領で反射させて映像を映し出す表示デバイス。ミラーひとつのサイズは16μm、このひとつひとつを10μ秒の速さでスイッチングさせて像を作り出している。ひとつのミラーがひとつの画素に相当するためデジタルディスプレイとして注目されている存在だ。ブースでは対角200インチクラスの大型DLPプロジェクターを使ったシアターを持ち込み、そのクリアな映像をデモしてみせた。ちなみに米国では映画『STARWARS エピソード1』のデジタル版のテスト上映がこのDLPプロジェクターで行なわれており、次世代のフィルムレス(データを衛星や通信回線で配信する)の映画上映システムを担う技術のひとつでもある。

 IBMのQXGA(2048×1536ドット)パネル。20.8インチ。235dpiという高精細パネル
IBMのQXGA(2048×1536ドット)パネル。20.8インチ。235dpiという高精細パネル

 IBMのThinkPadをベースにしたパネルサイズの比較。ともに14インチ。左がSXGA+で右がXGA。SXGA+のワイドさがわかる
IBMのThinkPadをベースにしたパネルサイズの比較。ともに14インチ。左がSXGA+で右がXGA。SXGA+のワイドさがわかる

 韓国LG Electronicsの15.1パネルを採用したテレビ。液晶パネルのテレビ用途は確実に増えている
韓国LG Electronicsの15.1パネルを採用したテレビ。液晶パネルのテレビ用途は確実に増えている

 SXGA対応の15.7インチパネル。パネルサイズを大きく上げることなく解像度を増やすアプローチ。LG Electronicsブース
SXGA対応の15.7インチパネル。パネルサイズを大きく上げることなく解像度を増やすアプローチ。LG Electronicsブース

 サムソンの24インチモニタ。横長ワイドのUXGA対応
サムソンの24インチモニタ。横長ワイドのUXGA対応

 サムソンの16.5インチパネル。ノートパソコン用。解像度はSXGA+。大きい!
サムソンの16.5インチパネル。ノートパソコン用。解像度はSXGA+。大きい!

 日立の高視野角技術“Super-IPS”を使った19インチパネル。UXGA対応
日立の高視野角技術“Super-IPS”を使った19インチパネル。UXGA対応



LCDのトレンドは高精細化とモバイルだ。もちろん開発は続いているものの、ひところの大型化競争は一段落した感がある。その代わりパネルのバリエーションは増えた。たとえばIBMなどが提唱しているSXGA+。1400×1050ドットというワイドサイズで、タテヨコ比率がより自然に感じられるものだが、16インチのパネルをサムソン電子社などが展示していた。SXGAとUXGAのギャップがかなり広いこともあって、パネルメーカーはここに新たな市場を見出したいところだろう。高精細化は液晶パネルのモニター用途を強化する意味で各社が取り組みを見せている。たとえばIBMは20.1インチで2048×1536ドットという高精細パネルを、NECも9.4インチで1600×1200ドットのパネルを展示した。美術品や宝石などの鑑賞、ディスプレイ用や電子書籍などの用途が考えられている。両者とも高精細パネルの代名詞である低温ポリシリコンTFTではなく、通常のアモルファスシリコンで実現しているのもポイントだろう。

 軽量で割れにくいプラスチック液晶パネル。シャープはエレショーに続き反射カラーパネルを出展した
軽量で割れにくいプラスチック液晶パネル。シャープはエレショーに続き反射カラーパネルを出展した

 スペーサを作り込んだカラーフィルターは数社が展示した。高精細パネルには必須。写真はトッパンブース
スペーサを作り込んだカラーフィルターは数社が展示した。高精細パネルには必須。写真はトッパンブース


高精細化に欠かせないのがスペーサーレス技術だ。従来液晶パネルでは2枚のガラス板を貼り合わせて、その間に液晶分子を流し込んでいたが、ガラス間の数十μmというギャップを保つために微少なビーズ玉状の部品を使っていた。これがスペーサーの役割を果たしたわけだが、微細化が進むとこのスペーサーの影が無視できなくなってくる。光の透過率を下げるため、コントラストや明るさに影響を与えてしまうのだ。そこでガラス基板やカラーフィルターにスペーサーをあらかじめ作り込むことでこの影響を最小限に抑えるのがスペーサーレス技術というわけだ。IBMやNECもこの技術を利用している。また大日本印刷や東レなどのフィルタメーカーがこの技術を展示していた。

 三洋電機ブース。右側が低温ポリシリコンTFT、左側が有機ELパネル。有機ELパネルの薄さがわかる。視野角も広い
三洋電機ブース。右側が低温ポリシリコンTFT、左側が有機ELパネル。有機ELパネルの薄さがわかる。視野角も広い

 0.55インチのビューア用パネル。521×218ドットを表示する。
0.55インチのビューア用パネル。521×218ドットを表示する。

 完成品ブースでは、液晶パネルを内蔵した家電製品などが展示された。写真はシャープのエアコン
完成品ブースでは、液晶パネルを内蔵した家電製品などが展示された。写真はシャープのエアコン



モバイル系はエプソンやシャープ、三洋電気などが1~3インチの携帯機器用のパネルを展示した。iモードに代表されるように携帯機器での情報表示が注目されていることもあって、精細表示、明るさアップ、動画対応、カラー化、小形軽量化などがトレンドだ。そんな中で目立ったのが三洋電機。豊富なラインアップを擁する低温ポリシリコンLCDのほか、有機EL(自身で発行するため光源が不要)のパネルを展示し、LCDとのモジュールの薄さ、高視野角性をデモしていた。またビデオカメラなどのビューア用として0.55インチという1円玉以下のサイズで521×218ドットを実現したパネルを展示した。

 PDPは、25インチ、42インチ、50インチ、60インチサイズが展示された
PDPは、25インチ、42インチ、50インチ、60インチサイズが展示された



このイベントは29日まで開催されている。

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