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コンテンツIDフォーラム、“第1回国際シンポジウムを開催”--年末に技術仕様書を公開

1999年10月25日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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コンテンツIDフォーラム(CIDF)は、東京・駒場で“第1回国際シンポジウム”を開催した。CIDFは、東京大学先端科学技術研究センターの安田浩教授が発起人となり今年8月に発足した任意団体で、市場で流通するデジタルコンテンツのすべてに対し、デジタルの認識コード“コンテンツID”を埋め込もうというプロジェクト。“コンテンツID”には著作者情報、著作隣接件情報、他の著作権団体が策定したコンテンツの管理番号などを盛りこむという。

ascii24編集部では以前、安田教授にインタビューを行なっている。CIDFのプロジェクトの概要については、こちらをみてほしい


“第1回国際シンポジウム”は、CIDF会員企業の代表だけでなく、電子商取引や著作権問題に携わる関係者であれば、参加が出きるもの。CIDFは発足当初から、世界レベルのデファクトスタンダードを目指すとしていたが、今回は英語のレジュメも用意され、海外からの出席者もちらほら見られた。

会場の様子。CIDF参加企業は、現在のところNTTグループや、松下電器産業(株)、(株)日立製作所など大手家電メーカーを中心とした37社
会場の様子。CIDF参加企業は、現在のところNTTグループや、松下電器産業(株)、(株)日立製作所など大手家電メーカーを中心とした37社



今シンポジウムにおいてCIDF事務局は、“CIDF Specification 1.0”と呼ばれる技術仕様書の草案の概要や、今後の展開について発表した。

今回発表された草案は、技術的内容が中心。あくまで“草案”のため、内容は全て逐次改定される可能性を持つ。今回は特に、電子透かしなどCIDFが採用する予定の著作権保護技術が発表された。

それによると、コンテンツに著作権情報を埋め込む手段として考えているのは、XMLを採用しコンテンツのヘッダー部分に情報を埋め込む“CIDFヘッダー”、電子透かし、電子透かしの種別情報を挿入する“メタ透かし”の3種類。著作権者情報、コンテンツ管理ナンバーといった情報の内容により、1つのコンテンツに対して、これら3種の技術を同時に用いることも検討しているという。電子透かしの技術は、現時点で想定しているものはなく、特定の企業の技術に絞らずに広く募集していくという。

CIDFの会長を務める安田浩教授
CIDFの会長を務める安田浩教授



会場からは、「著作権法や、著作物の流通に関わる法律と、CIDFのシステムとの整合性はどうするのか」という質問が出された。これに対し安田浩教授は、「法律に沿っていないものでは、いくら電子透かしを採用しても意味がない。まずフォーラム内で技術的側面を確立したうえで、専門家と相談し、法律的な意味合いにも合致した形で進めたい」と回答した。

また、(社)レコード協会からの出席者は、CIDFが提示する“コンテンツIDフォーマット”案のビット配分に対し、「仮にISRCコード(音源コードの国際標準、ISO規格)を“コンテンツID”に埋め込む場合、CIDFが現在想定しているビット数では足りない」という指摘が寄せられた。

CIDFはこうした意見や指摘を元に、今回発表された草案をブラッシュアップし、技術仕様書“CIDF Specification 1.0”として'99年末に発表する予定(システムの対象となるコンテンツは静止画のみ)。

2000年初頭にはシステムの実証実験を開始し、3月には動画や音声、テキストまでに対象を拡大する見込みという。

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