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遊行寺(ゆぎょうじ)の門前町から癒業、諭業、輸業の文(もん)前町へ--湘南新産業創出コンソーシアム準備事務局に聞く

1999年10月22日 00時00分更新

文● 聞き手:編集部 中野潔、聞き手/文:編集部 高柳政弘

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神奈川県藤沢市や(財)藤沢市産業振興財団が事務局となって、“湘南新産業創出コンソーシアム”の設立準備が進んでいる。ベッドタウンと思われがちだが実は日本有数の工業都市である藤沢が、情報化時代に再び飛躍するための仕掛けだ。

事務局を務める藤沢市産業振興財団は、中小企業の振興対策のために研修、情報、展示などの機能を持った産業センターとして'91年に設立された。同財団の基金は、藤沢市が45パーセント負担し、残りの55パーセントを民間の寄付などによって運営している。同財団は、インターネット事業(ISP)や研修事業を事業の中心としている。

湘南新産業創出コンソーシアム設立準備や現状について、藤沢市産業振興財団の専務理事の長谷川政彦氏に伺った。

情報、環境、海洋

--湘南新産業創出コンソーシアムはいつごろ設立される予定ですか?

「湘南新産業創出コンソーシアムは、11月19日に設立します。藤沢市長が毎月行なっている定例会見の席上で公に発表する予定です」

--新産業とは具体的にどのようなものですか?

「藤沢市の地域の特徴や江ノ島などの海に面しているという地理的状況を活かした産業です。それは、情報産業、環境産業、物流産業、健康福祉産業、海洋文化産業といった産業です。特に、藤沢市が積極的に取り組んできたインターネット関連の情報産業や、市民にとって重要な環境と健康、高齢化社会による福祉の問題などの対策として、市民生活向上のために新しい産業を生み出していきます」

--設立の目的について教えてください。

「ベンチャー企業や藤沢地域にある大学、産業界など産学公民が連携や交流する中から、新産業や新技術を創出することです。将来的には、藤沢市を日本を代表するデジタル時代の産業都市とし、米国の西海岸にあるシリコンバレーのようにしたいと思っています」

藤沢市産業振興財団の専務理事の長谷川政彦氏
藤沢市産業振興財団の専務理事の長谷川政彦氏



「藤沢市は神奈川県内では川崎市や横浜市に次ぐ工業都市で、全国では670くらいの都市がある中で、15、16位の工業都市です」

--設立の代表者はどのようなところですか?

「藤沢市、藤沢市産業振興財団、慶応義塾大学の3者が幹事となり、湘南新産業創出コンソーシアムを運営していきます。事務局は、藤沢市産業振興財団の中に置く予定です」

自立プロジェクトの連合体のような形態になるか

--事業内容について教えてください。

「積極的な交流会や情報交換会の開催、研究機関・技術情報・企業情報のデータベース化、ウェブサイト上での研究情報等の提供や交換、新事業計画作り支援、スタッフやNPOによる提携支援、新産業および新市場リサーチ、産学共同研究やセミナー開催などです」

--組織や参加者の形態について説明していただけますか?

「藤沢市産業振興財団を事務局として、推進組織である湘南新産業創出コンソーシアム運営委員会、支援機関、参加者で構成されます」

「支援機関の候補としては、まず、藤沢市に校舎がある大学や短大で、慶応義塾大学、日本大学、湘南工科大学、文教大学、湘南国際女子短期大学。次に、産業技術総合研究所、神奈川高度技術財団、神奈川科学技術アカデミー、神奈川県、中小企業経営センター、(財)神奈川中小企業センター、ケイエスピーなどがあります。また、金融機関、ベンチャーキャピタル、保証協会、コンサルタント、公認会計士、弁理士などにも支援を募っていきます」

「参加者側やメンバーの数は未定ですが、学生ベンチャー、市民ベンチャー、企業内ベンチャー、SOHO事業者、アウトソーシング事業者、異業種交流会、商工会議所、青年会議所などが候補に挙げられます。これから、学生や企業ベンチャーを中心に積極的に参加の要請をしていきたいと思っています」

--シリコンバレーでは、営利を目的として、大儲けをする人がいる一方で、スマートバレー公社のような非営利団体も活躍しています。どんな活動形態になりますか?

「規則と予算等をがっちり決めて、上から指示が下りてくるといった組織には、ならないでしょう。走りながら考えていきます。自由活たつに、現場でプロジェクトを作って動いていく、そんな心の持ちようの運動体のようになるのかもしれません」

門前町から文(もん)前町へ?

--藤沢市の大学は、どのような状況ですか?

「慶応義塾大学は、環境情報学部と総合政策学部を藤沢キャンパスに開設してから来年で10周年となります。藤沢キャンパスでは、“人間と環境”、“情報”、“総合的な視点と判断”、“グローバルな発想と視点”、“創造性”を重視しているといいます。そして、2001年4月には、看護医療学部が創設されます」

「藤沢に湘南校舎がある日本大学農獣医学部は、自然科学と社会科学の両分野にわたって諸要因を追求するいわゆる応用科学の総合学部として3年前に生物資源科学部と改称しています。また、湘南校舎の最寄駅となる小田急江ノ島線の駅名も“六会日大前(むつあいにちだいまえ)”と改称されました」

「地元大学との連携は必要不可欠」と語る長谷川氏
「地元大学との連携は必要不可欠」と語る長谷川氏



「また、日大には技術や研究活動を公開し、研究機関や産業界と協力しながら、新産業の創出を目的にしている組織“日本大学国際産業技術・ビジネス育成センター(NUBIC:Nihon University Business Incubation Center)”があるので、我々の湘南新産業創出コンソーシアムとの連携を働きかけていくつもりです」

--運営資金や会費はどのようになりますか?

「今年度の経費は藤沢市産業振興財団が負担します。来年度からは、学生が2000円程度、法人が1口2万円程度の会費や寄付金を集める予定です。また、藤沢市には新産業創出コンソーシアムの負担金として予算化してもらうつもりです」

--最後に、今後の計画について教えてください。

「まだ構想の段階ですが、新事業コンテストを行なって、コンテストの入選者には支援や投資先として企業などに斡旋することを考えています。また、ベンチャー企業を支援するために“ベンチャー支援ファンド”の設置なども検討しています」

「コンソーシアムのメンバーをはじめ藤沢市全体が一丸となり、藤沢市の発展と活性化のために最先端の情報産業を創出しながらも、市民の生活や健康、環境などに配慮した新産業の創出に取り組んでいきます。財団としては、それらの橋渡し的な役割ができればと思っております」

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