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カシオ、独自開発の暗号システムを搭載したモバイルデータベースシステムを発表

1999年10月21日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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カシオ計算機(株)は、独自に開発した*MDSR暗号技術を使い、高度な安全性と高速性を装備したセキュリティーシステムを実用化した。このシステム応用製品として、Palm-size PCで大容量のデータベース利用を可能にする『フロントデータベース(Front DataBase)』を企業向けに発売すると発表した。なお、これに合わせて業務用のPalm-size PC『CASSIOPEIA E-80』、256MBコンパクトフラッシュも発表された。2000年1月に提供開始予定。

*MDSR(Multi Dimentional Space Rotation)暗号技術はカシオ計算機が独自に開発した、多次元空間回転アルゴリズムを利用した共通鍵暗号。非線形性が強い、鍵長が長い、カスタマイズが容易、リソースの限られるモバイル端末でも十分なパフォーマンスが実現可能、といった特徴を持つ。暗号の堅牢性については、解読はほとんど不可能としている。例えば、4次元空間を採用したMDSRの鍵長は1056bitあり、これを100万ドル(約1億円)の専用ハードウェアを使用し、総当りによって解読を試みた場合、解読には10の294乗年の時間がかかる計算という。このアルゴリズムについては、カシオのホームページで昨年9月から公開されている。

カシオ計算機の斧江伸一専務取締役
カシオ計算機の斧江伸一専務取締役



フロントデータベースの展開にあたっては、サイベース(株)および伊藤忠テクノサイエンス(株)(CTC)と協業を行なっている。フロントデータベースのリレーショナルデータベース機能は、サイベースのモバイル向けデータベースシステム『SQL Anywhere Studio』を利用(データベースエンジンとしては『Sybase Adaptive Server Anywhere for CE』を採用)、またCTCはフロントデータベースを利用した企業システムの構築や販売で協力する。サイベースは3年前からモバイルデータベース市場でトップシェアを獲得、現在では55パーセントのシェアを持ち、全世界で400万ライセンスの出荷実績があるという。

米サイベース社のレイモンド・チュー副社長
米サイベース社のレイモンド・チュー副社長



フロントデータベース

フロントデータベースでは、大容量のコンパクトフラッシュに、モバイルデータベースと業務アプリケーションが格納され、Palm-size PC上でデータの検索・更新が可能となる。

システムは、ソフトウェアでは、データベースの開発・運用ツールとして、『アプリケーション開発キット』(19万4000円)、『サーバユーティリティ』(15万円)、『パームサイズPCユーティリティ』(5000円)、セキュリティーツールとして*『CFカードセキュリティー』(12万円)、『MDSR暗号ライブラリ』(14万円)からなる。

CFカードセキュリティー:カシオ計算機が販売するコンパクトフラッシュと組み合わせて使用することで、特定のPalm-size PCの個体以外では、データにアクセスできないようにするもの。

ハードウェアとしては、モノクロ液晶ディスプレーを搭載した業務用のCASSIOPEIA E-80と、CFカードセキュリティー機能に対応した256MBコンパクトフラッシュ、および複数のコンパクトフラッシュへ高速でデータ転送が可能な『データ集配信ボックス』が提供される。価格はいずれもオープンプライス。

CASSIOPEIA E-80 CASSIOPEIA E-80



E-80は、約1mからの落下に耐える耐衝撃性能、JIS防滴II型に準拠する防滴性能、動作保証温度の拡大、24~72時間の動作が可能な3種類のリチウムポリマーバッテリーの提供など、業務用としての耐久性能を重視した作りになっている。CPUとしてNECのVR4191-69MHzを搭載する。なおクレードルは通常のシリアルだけでなく、USBインターフェースも装備する。本体(コンパクトフラッシュなし)、クレードル、24時間動作可能なバッテリーの組み合わせで、10万円以下になる見込みという。

セキュリティーに関しては、コンパクトフラッシュに収納するデータベースを、前述のMDSR暗号方式により暗号化する。データ参照・更新の際も、データベースを暗号化したままの状態でアクセスするので、端末が異常終了した場合でも、データベースが複合化されたままメモリーに残るということがないとしている。また、暗号化されたままアクセスすることで、データベースを複合化するためのメモリーや時間を節約できるメリットもある。

フロントデータベースのデモ画面。デモはE-500で行なわれたためカラー画面となっている
フロントデータベースのデモ画面。デモはE-500で行なわれたためカラー画面となっている



発表会では10万件のサンプルの営業データを使い、検索のデモンストレーションを行なったが、ワイルドカードを使用した場合(検索対象十数件)においても2秒弱で検索が終了していた。

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