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報道メールマガジン、3ヵ月で1万部を突破

1999年10月15日 00時00分更新

文● 高松平藏

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全国の地域新聞社のニュースを一斉に配信

全国の地域新聞社のニュースを配信するメールマガジン『LA Today』(エルエー・トゥデイ、Local Area Todayの略)は、今月14日付の配信分で、創刊3ヵ月弱で発行部数1万部を突破したことを明らかにした。地方の時代と言われて久しいが、より具体的な地域ニュースを求める動きが最近高まっている。急激な読者増にはこうした背景があるようだ。

同メールマガジンの発行開始は今年の7月下旬。全国の地域新聞社28社の協力のもと、各紙ローカルニュースのヘッドラインをまとめて土日祝日を除く日刊で無料配信するというもの。全国紙やテレビのキー局発信とは異なり、地域のより細かな情報を読者が得られるのが特徴。1回に配信されるニュースのタイトル数は200を超える。
発行元は協同組合アイタック(神戸市)。関西のIT分野の事業者で構成する事業組合だ。代表理事の藤井保志さんによると、読者層には故郷のニュースを知りたいという人がおり、「メンタルなニーズも高い」という。他方、マスコミ関係や著述家、自治体および各種団体関係者のほか、企業の広報や企画担当者、NPO(非営利法人)などの運動家などが多いという。

ローカル時代の情報システムを構築

近年、環境問題をはじめ、地域で取り組むべき問題が増えてきた。そこで必要になってくるのが、「よその地域ではどうしているか」という情報だ。いわば地域が抱える普遍的な問題についてノウハウを共有化する必要性が出てきているわけだ。急激な読者増は、そういった情報が求められている一面を浮き彫りにしている。

一方、メールマガジンの発行は現時点では不採算事業だ。同組合の1プロジェクトとして運営しており、投資期間と位置付けている。しかしながら、発行部数1万人突破に伴い媒体価値がある程度高まったため、今後は広告集稿にも力をいれていく。また、有料の検索サービスなども展開する方針だ。読者数については、引き続き3万人くらいまでは今のペースで増えると予想。競合するようなサービスが現われる可能性も低いと見ており、「ニーズがある分だけ読者は獲得できる」と藤井さんは意気込む。

ところで、地域新聞社といえば日本の縦型社会を反映しているかのような体質の業界でもある。他社と協力しあうケースが難しい組織だ。にもかかわらず、「サイバースペースではあるが、協力できている点が画期的だ」(同氏)。加えて、これまで情報の流れは中央からの発信ということが主流だった。しかし豊かな地域づくりには、インターローカルともいえる地域間同士のネットワークがより重要になってくる。同組合はそんな時代の情報システムを構築した形だ。

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