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“プロダクトの未来”――フューチャー・デザイン・シンポジウムより(Vol.3)

1999年10月14日 00時00分更新

文● 狭間太一郎

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10月10日、11日の2日間にわたって開催された、フューチャー・デザイン・シンポジウム。本稿では、2日目後半の模様をお伝えする。

人とモノとの関係をさぐるデザイン

セッション7は、イリノイ工科大学デザイン学部助教授である佐藤啓一氏と、インターバル・リサーチ社のビル・バープランク氏によって、“プロダクトの未来”というテーマで進められた。産学共同プロジェクトで、製品レベルの成果をあげているインタラクティブシステムについて報告が行なわれた。

両氏は、その場でイラストを描きつつ、人とモノとの関係として、世界をデュプリケート、創造し、メディア空間と物理空間をマッピングするためのアプローチなどを語った。

スクリーンに映ったイラスト。両氏によって描かれたもの
スクリーンに映ったイラスト。両氏によって描かれたもの



具体的な成果として、zowieの“Intertainment”製品などのビデオや、『mindstorm』による掃除機などが紹介された。

両氏ともに、“プロダクトの未来”に向けて“Design knowledge”と“Knowledge of use”のinterprete、Design educationのパラダイムシフトが必要だと述べた。

イリノイ工科大学デザイン学部助教授の佐藤啓一氏(左)、インターバル・リサーチ社のビル・バープランク氏(右)
イリノイ工科大学デザイン学部助教授の佐藤啓一氏(左)、インターバル・リサーチ社のビル・バープランク氏(右)



“新しい視点をつくり出す”ひらめきのきっかけは?

2日間を締めくくるセッション8は、“パネルディスカッション2”。質疑応答では「ビジョンプラス7のビデオは難解だった。情報を人にやさしく加工するという視点に反するものではないか」など、より深い領域を含む質問が挙がった。

2日間を締めくくるパネルディスカッション
2日間を締めくくるパネルディスカッション



発言には「日本のサブカルチャーからデザインを考える」、「日本文化的な遺伝子を確認できる。日本的なものは創造の契機となるもの」など、さらにセッションを期待したいという、興味深い発言がなされた。

ここまでのセッションで繰り返し取り上げられた、“新しい視点を作り出す”というテーマについて、「そのひらめきのきっかけは、ユーザーの視点によるものか、デザイナーからの視点によるものか」という問い掛けもあった。これに対しては、「感情によってできることを出発点にする」、「1つのことをちょっとずらして見る」、「不便と感じて問題を見つける」など、わかりやすいヒントを与えてくれた。

またアートという視点からは、「アートはコンテンツ制作、デザインはコンテンツを伝えるフォーマットだが、境界はなくなっている。これからのアートとデザインで、人間のためのインターフェースを生もう」という発言もあった。

パネリストは個々の具体的なデザイン、プロダクトでは違いがあるが、“さまざまな分野の融合”という方向性において一致していた。

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