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“ビジョンプラス7”の報告と、新しいインダストリアルデザインーーフューチャー・デザイン・シンポジウムより

1999年10月13日 00時00分更新

文● 狭間太一郎

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10日、11日の2日間にわたって開催された、フューチャー・デザイン・シンポジウム。本稿では、2日目前半の模様をお伝えする。

セッション5では“情報デザイン”と題して、10月7日から9日に開催された情報デザイン国際会議“ビジョンプラス7”の報告が参加者共同で行なわれた。

情報デザイン国際会議“ビジョンプラス7”は、実践と学問の領域を超えて、“情報デザイン”の可能性と、そこから展望される人間社会の“よりよいコミュニティーづくりと、そこから生まれる活動的なコミュニティーづくり”を考える国際会議である。

会議にいたるプロセスは“コミュニティーのコンストラクション”

ビジョンプラス7のテーマは“情報デザインからコミュニティーの構築を考える”。1日目の〈つくる/情報とストラテジー〉、〈2日目の<つかう/情報とインタフェース〉、3日目の〈つなぐ/ 情報と環境〉という3日間のセッションは、“情報の本質は自分から”、“トップダウンで降ってくるものではない”、“individualを捉え直す、start from individual”といった観点から進行した。

報告では、昨年スタートした開催前のミーティングやワークショップの経過にも説明が及んだ。これは内容を他者に伝えるのが困難であり、会議にいたるプロセスはまさに“コミュニティーのコンストラクション”であった、ということを述べるものだった。

会議を終えての感想としては、「自分でやりたいことをやるのがボランティアであると再認識した」、「コミュニティーの構築はまだこれから」、「それでも、問題を共有していると認識できたことが成果である」といった発言がなされた。

そして最後に、3日間のハイライトをまとめたビデオを上演。そのビデオ中のテロップがリアルタイムソフトによるものであるということが紹介されて、セッションは終了した。

ビジョンプラス7の報告。多摩美術大学教授の須永剛司氏のほか、MdNの代表でもある猪股裕一氏の姿も
ビジョンプラス7の報告。多摩美術大学教授の須永剛司氏のほか、MdNの代表でもある猪股裕一氏の姿も



“全体を見る難しさ”について

セッション6は“私たちは幻想を見ている”というテーマで、IDEO Japan代表の深澤直人氏によって行なわれた。

IDEO Japan代表の深澤氏。インダストリアルデザインの観点から説明
IDEO Japan代表の深澤氏。インダストリアルデザインの観点から説明



インダストリアルデザイナーである氏は“全体を見る難しさ”といったキーワードを提示、“we are seeing illusions”、“cognition+action(認知+行動)”、“physical memory(身体の記憶)”、“focus of mind”、“horizontal/vertical information”といった言葉と具体的なビジュアルを通し、現代のデザインを再確認するとともに、新しいデザインの考え方を示した。 通路のブロックに埋め込まれているライト、駅の券売機など、既存のインターフェースデザインの間違いを指摘するにしても、その論の進め方は我々聴衆に笑いという行動を起こさせる――理解しやすく、かつ説得力あるものだった。

多摩美術大学講師でもある氏は、さまざまなワークショップの作品も紹介した。plastic bag、トイレットぺーパー、傘立て、薬のパッケージといった題に対して、上記の言葉につながる作品が制作されており、より具体的なイメージにつなげる助けとなっていた。 また、氏はアルプス電気のプリンターにおいてスコアースタンドに見立てたデザインを行なった日本電気の“white box”について触れ、“black box”の対極というコンセプトを含めてデザインした、などと具体例も紹介した。そして最後に、氏も参加したエプソンのプリンター使ったコンセプトデザイン(http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?
file=issue/1998/1105/topi03.html)のビデオを上映した。

氏の提示したものは非常に多岐にわたったが、誰もが認識できるカタチで未来へ続く道を照らしてくれたと思う。

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