このページの本文へ

“国際福祉機器展 H.C.R.'99”が開催――コミュニケーション機器関連には74社が出展

1999年10月13日 00時00分更新

文● 若菜麻里

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

高齢者や障害者の自立と介護のための福祉機器の展示会“国際福祉機器展 H.C.R.'99”が東京ビッグサイトで10月13日から15日まで開催されている。主催は、(財)保健福祉広報協会のH.C.R.'99主催事務局。

移動機器、ベッド用品、入浴用品、トイレ・おむつ用品、日常生活用品、コミュニケーション機器、建築・住宅設備など、世界16ヵ国524社からの出展があり、障害者や施設関係者、学生などの来場者でにぎわった。

会場全景
会場全景



ここでは数多くの出展の中でも、コミュニケーション機器を中心にレポートする。

高齢者、障害者との交流を容易に

エルモでは、『所在確認システム』(仮称)を参考出展した。このシステムは、バッチや腕時計型の赤外線センサーを身に付けることで、特定の人物が建物のどこにいるかが検知できるというもの。パソコンの画面から室内平面図上の対象者の位置がモニタリングできる。室内の1ヵ所に赤外線受信機を配置すれば、約30メートルの範囲で赤外線を感知できるという。 また、エルモでは、カラー拡大読書器『MG-21』を参考出展した。同社の拡大読書器は数種類あり、低価格で持ち運びが楽なタイプや高画質なタイプまである。MG-21は、ズーム機能とオートフォーカス機能の充実により、新聞のように細かい文字でも読みやすいのが特徴。

カラー拡大読書器『MG-21』。テレビに接続して使用カラー拡大読書器『MG-21』。テレビに接続して使用



日立製作所では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者向けの意思伝達装置『伝の心』(でんのしん)のデモを行なった。この製品はパソコンの画面上の文字盤を自動的にカーソルが移動していき、目的の文字の部分でスイッチを押すことで、介護者との簡単な会話や手紙作成などを可能にするもの。価格は、パソコン本体とソフトで50万円。また、この製品を応用して、本や雑誌を読んだり、家庭用ゲームを楽しんだり、金魚に餌をやったりすることもできる。

スイッチは、タッチセンサーや磁気センサー
スイッチは、タッチセンサーや磁気センサー



応用例としてのページめくり機『りーだぶる』
応用例としてのページめくり機『りーだぶる』



日本テレソフトは、点字プリンターを展示した。『TP-32』は音が静かで、印刷速度は1ページ(8×10インチ)25秒。『BMP-320』は、点字と同じに漢字かな混じりの墨文字が出力できる。2製品とも、Windowsに対応する。

『BMP-320』。点字のすぐ下に墨文字が印字されている『BMP-320』。点字のすぐ下に墨文字が印字されている



介護支援のパワーアップ

富士通ビジネスシステムでは、8月に発売した介護者支援システム『WINCARE』のデモを行なった。同ソフトは、指定居宅介護支援事業者、訪問看護ステーション、特別養護老人ホームなど、対象事業体別にシステムが分かれており、それぞれの事業に合わせて、利用者の基本情報や心身の状態管理、請求管理、運用管理、部門管理などが行なえる。同ソフトはWindows 95/NT4.0で動作する。

 富士通ビジネスシステムの介護支援製品のデモ
富士通ビジネスシステムの介護支援製品のデモ



日本電気では、データ入力機『ペンクリッパー』を展示。電子ボードの上に、介護データ入力帳票などを載せ、専用ペンで用紙に書き込むと、手書き文字がイメージデータ化できる。数字はOCRで読み取って変換できるなど、介護記録のデータ化を支援するための製品。A4サイズに対応、介護ヘルパーの携帯性を考慮し、重量は約1Kg。価格は、本体とソフトで9万8000円。なお、介護以外の用途でも、もちろん利用できる。

携帯電話に接続してデータ転送もできる携帯電話に接続してデータ転送もできる



松下電工では、高齢者施設向けのケア情報システムを展示した。センサーからの排尿情報によりオムツ交換が可能な『ケアウェットコール』や、危険な場所への出入りを未然に防ぐ『ケアアクセス』、ペンダントスイッチやリストスイッチなどを身に付け、PHSを所持したスタッフとの緊急連絡が可能な『ケアホン』といった商品がある。新製品としては、施設の高齢者の個室の様子をカメラでとらえる『ケアモニタ』が紹介された。対象者に異常が発見されると、PHSを所持したスタッフに、“転倒、転落”、“徘徊”、“離床”、“長時間静止”という4種類の文字で伝達される。同社では、異常を文字で伝えることで、プライバシーが守れるとしている。

ケアホンなどに利用する『リストスイッチ』
ケアホンなどに利用する『リストスイッチ』



骨粗鬆症を簡単診断

人気があった体験コーナーとして、日本福祉工学会が、骨粗鬆(そしょう)症診断を行なうものがあった。右足のかかとの骨の超音波の伝播速度を計測し、速度が速いと骨密度が高いになる。20歳から90歳ぐらいまでの伝播速度のサンプルを取り、測定者の骨密度が平均と比べて高いか低いかが分かるというもの。伝播速度は、個人差があるが、だいたい約1400m/秒から1600m/秒の間だ。特に、骨粗鬆症になりやすいといわれる中高年の女性が、この測定に関心を寄せていた。

肉厚を計ってから、伝播速度を測定肉厚を計ってから、伝播速度を測定

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン