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【エレクトロニクスショー'99 レポート Vol.8】ITSによるクルマのインテリジェント化

1999年10月08日 00時00分更新

文● 浅野純一

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エレショーでは毎回、展示のほかに最新のトピックをピックアップして、カンファレンスやテクニカルセッションが開催されるが、今年はデジタル放送とDVDなどの光メディア、そしてITSがセレクトされた。ITSはIntelligent Transport Systemsの略で“高度道路交通システム”と呼ばれるもの。会場でも主催者展示として特別にブースが設けられ、エレショーとしてははじめて自動車メーカーからの展示も行なわれた。ITSにはETC、AHS、ASVなどさまざまなカテゴリーでの取り組みがある。いずれも渋滞の緩和、安全性・快適性の向上などが目的で、デジタル技術、ネットワーク技術がクルマ社会に入り込むことになる。

ダッシュボードに取り付けられたETC用トランスミッター。クルマを特定しやすいよう取り外しにくい設置方法が必要とされている
ダッシュボードに取り付けられたETC用トランスミッター。クルマを特定しやすいよう取り外しにくい設置方法が必要とされている



ETCはElectronic Toll Collectionの略で、ノンストップ自動料金収受システムのこと。高速道路や有料道路の料金所をノンストップで通過。通過時に、搭載したトランスミッターと料金所の間で瞬時に無線通信を行なって指定の口座から料金を引き落とす仕組み。クルマに装着するトランスミッターはICカードスロットや液晶ディスプレーを装備し、料金所とのやり取りを行なうアンテナや無線装置を内蔵する。また、料金所側にもアンテナなどの設備が必要になる。現在こうしたETCシステムの開発に電装品メーカーや家電メーカーがシノギを削っており、ブースにはメーカー各社からトランスミッタ製品などが展示されていた。

ASVのイメージボード。多数のセンサーやカメラが搭載されている
ASVのイメージボード。多数のセンサーやカメラが搭載されている



AHSとASVはクルマと道路両面のインテリジェント化によって事故の軽減、渋滞の解消、環境への対応などを目指す取り組み。AHSはAdvanced Cruise-Assist Highway Systemの、ASVはAdvanced Safety Vehicle略。ASVはクルマのインテリジェント化で、居眠り警報システムや障害物警報システムなどクルマ単体で取り組むもの。AHSはこれに道路など施設側のインテリジェント化を含み、究極的には道路に埋め込んだビーコンに沿って自動運転できるような“スマートウェイ”の実現を目指している。


ホンダのインターナビシステム。自宅のパソコンでチェックしたURL(右画面)をカーナビ(左画面)に移すことができる
ホンダのインターナビシステム。自宅のパソコンでチェックしたURL(右画面)をカーナビ(左画面)に移すことができる



インターナビ対応システム。パネルの奥にカードスロットが隠されており、携帯電話のほかコンパクトフラッシュでもデータを移動できる
インターナビ対応システム。パネルの奥にカードスロットが隠されており、携帯電話のほかコンパクトフラッシュでもデータを移動できる



このほか、カーナビとインターネットを携帯電話でリンクさせた情報システムもETCの題目に入っており、その一部はすでに実用化されている。本田技研工業(株)や日産自動車(株)が展示を行なった。日産はコンパスリンクと呼ばれる情報提供サービスを、ホンダも自宅のパソコンとマイカーのカーナビをリンクさせるインターナビシステムのデモを行なった。自宅パソコンでチェックしたURLをセンターやメモリーカードを介して、マイカーのカーナビに転送できるサービスだ。


日産の実験車両。ルームミラーに正面の様子を記録するCCDカメラが埋め込まれている
日産の実験車両。ルームミラーに正面の様子を記録するCCDカメラが埋め込まれている



日産の実験車両のコックピット。10.4インチの液晶にはカーナビ情報のほか、クルマの周囲の映像などさまざまな情報が表示される
日産の実験車両のコックピット。10.4インチの液晶にはカーナビ情報のほか、クルマの周囲の映像などさまざまな情報が表示される



手前の四角いスロットには携帯電話を入れる。警報は正面に投射表示される
手前の四角いスロットには携帯電話を入れる。警報は正面に投射表示される



丸いほうが障害物を検知するコーナーセンサー、四角いほうがコーナーモニタ。正面には車間距離レーダーが搭載されている
丸いほうが障害物を検知するコーナーセンサー、四角いほうがコーナーモニタ。正面には車間距離レーダーが搭載されている



またブースには日産の実験車両が展示された。このクルマ周囲にコーナーセンサーやモニターカメラ、車間距離レーダーが搭載され、社内には10.4インチの大型の液晶モニターを装備。ETCに対応し、ICカードスロットや警報表示用のヘッドアップディスプレー、携帯電話を装着するスロットなども用意されていた。もちろん音声コマンドにも対応する。


カーナビを核とした自動車のインテリジェント化はエレクトロニクスメーカーが注目するところ。車載専用のHDDの開発も進められている
カーナビを核とした自動車のインテリジェント化はエレクトロニクスメーカーが注目するところ。車載専用のHDDの開発も進められている



トヨタ自動車(株)は自社で利用している電気自動車を展示。駐車場予約などの管理システムにも対応している。モーターショウを控えることもあり、自動車メーカーのエレショー出展は珍しい
トヨタ自動車(株)は自社で利用している電気自動車を展示。駐車場予約などの管理システムにも対応している。モーターショウを控えることもあり、自動車メーカーのエレショー出展は珍しい




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