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富士写真フイルム、世界初のプリンター搭載デジタルカメラ『FinePix PR21』を発表

1999年10月07日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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富士写真フイルム(株)は、プリンター搭載デジタルカメラ『デジタル インプリンターカメラFinePix PR21 プリンカム』を発表した。同社では世界初としている。単焦点ながら230万画素CCDを搭載するなどデジタルカメラとしては上位のスペックを持ちながら、同社のインスタントカメラ『instax mini 10 <チェキ>』と同じ『instax mini』フィルムを使用し、撮影したその場で写真をプリントすることができる。価格は9万9800円で、発売は11月20日。また131万画素CCDを搭載した単焦点パンフォーカスデジタルカメラ『FinePix1200』も同時に発表された。価格は4万9800円で、11月15日に発売される。

撮ったその場でプリントできる『FinePix PR21』

デジタル インプリンターカメラFinePix PR21 プリンカム。同社デジタルカメラの特徴である縦型デザインを継承している
デジタル インプリンターカメラFinePix PR21 プリンカム。同社デジタルカメラの特徴である縦型デザインを継承している



FinePix PR21は、同社が今年2月に発売したデジタルカメラ『FinePix2700』をベースに開発されたため、CCDや光学系のスペックは同じとなっている。230万画素1/2インチ正方画素原色CCDを搭載し、記録画素数は1800×1200ピクセル、感度はISOの125に相当する。レンズは“フジノン”ブランド。焦点距離7.6mm、F3.2で35mmカメラの35mmに相当する画角を持つ。単焦点ながら、2.5倍のデジタルズームが可能で、マクロ撮影は最短9cm。TTL64分割プログラムAE、“シーン自動認識オートホワイトバランス”を搭載。1.8インチTFT液晶ディスプレー、ビデオ出力端子(NTSC)を装備する。記録メディアはスマートメディアを採用し、64MBタイプにも対応する。

最大の特徴は、世界で初めてという、内蔵プリンターにより撮影した画像の出力をその場で得られる点だ。撮影後、液晶ディスプレーを見ながらプリントしたい画像を選び、背面のプリントボタンを押すと、約35秒で印画紙が本体上部のスロットから出てくる。さらに1~2分ほどたつとプリントした画像が現れてくる。

プリント後、印画紙が出てきたところ。プリント中に衝撃を与えると画像の色がずれることもあるので注意プリント後、印画紙が出てきたところ。プリント中に衝撃を与えると画像の色がずれることもあるので注意



プリンター部分の核になるのは新開発の『VFPH(Vacuum Fluorescent Print Head:蛍光表示管プリントヘッド)』。RGB各色256色、254dpiの解像度を持つ。撮影した画像はスマートメディアに記録されるが、プリントボタンを押すと画像データをVFPHに出力。RGB各色のフィルターを切り替えながら印画紙を感光させるため、ヘッドは印画紙上を3往復することになる。

フィルムパックは、本体前面から装てんする。使い切らないとふたが開かない設計になっている
フィルムパックは、本体前面から装てんする。使い切らないとふたが開かない設計になっている



印画紙は同社がヒットさせたインスタントカメラ・チェキに使用されたinstax miniを採用している。ISO800の感度を持ち、1パック10枚入り。カメラ前面のホルダーを開いてセットする。

印画紙1枚のサイズは97×102mm、写真サイズは69×91mm。 印刷時のトリミングや、スマートメディア内の画像のインデックスプリントも可能。出荷時には3種類の飾り縁テンプレートが内蔵され、画像と合成してプリントすることもできる。なお、テンプレートは同社のサイトから別のものをダウンロードして使用することもできる。さらにモノクロ、セピアといったエフェクトをかけることも可能で、画面に日付を入れることもできる。スマートメディアでJPEG形式であれば、他のデジタルカメラで撮影した画像の印刷にも対応している。

印画紙とプリンターを内蔵する分、本体のサイズは一般のデジタルカメラと比べて大きく、幅113×奥行き60×高さ127mm、重さ約550g(電池、スマートメディア、フィルムパック含まず)。電源は単3電池4本に対応し、アルカリ乾電池も使用可能だが、同社ではニッケル水素充電池、ニッカド充電池を推奨している。アルカリ乾電池では約40枚のプリントが可能だとしている。

普及型の『FinePix1200』

FinePix1200は極力コンパクトに設計されている
FinePix1200は極力コンパクトに設計されている



FinePix1200は1/2.7インチ131万画素正方原色CCDを採用し、35mmカメラ換算で38mmの単焦点レンズを搭載した普及型のデジタルカメラだ。初心者向けとはいえ、2倍デジタルズーム、シーン自動認識オートホワイトバランス、シーン自動認識AEなど同社デジタルカメラ定番の機能は押さえている。

また初心者に配慮し、パソコン接続キットを同梱。電源は単3型4本に対応し、アルカリ乾電池で液晶ON時に約200枚、OFF時に約500枚の大量撮影が可能という。記録メディアはスマートメディア。

サイズは幅110×奥行き33×高さ77mm、重さ約200g(電池、スマートメディア含まず)。

FinePix PR21はデジタルと銀塩の“結婚”だ

「イメージングとインフォメーションを合わせ最高の品質とサービスを提供するのが我々の目標だ」と語る宗雪社長「イメージングとインフォメーションを合わせ最高の品質とサービスを提供するのが我々の目標だ」と語る宗雪社長



発表会では、同社社長の宗雪雅幸氏がFinePix PR21の狙いを語った。宗雪氏は、「このカメラの意義は2点ある。1つは、デジカメが果たせなかった、撮ったその場でのプリントを実現した点。もう1つは、インスタントカメラにトリミングなどデジカメならではの機能をプラスした点だ。デジタルカメラとプリント技術の“結婚”から、世界初のカメラが生まれ、映像の世界に新しい可能性が生まれた」と新製品の意義を強調した。

「撮る、見る、あげる、という新たな写真文化を形成するのは間違いない」と述べる今井本部長 「撮る、見る、あげる、という新たな写真文化を形成するのは間違いない」と述べる今井本部長



また同社取締役営業本部長の今井祐氏は、「ちょうど1年前に発表したチェキは増産に増産を重ね、ようやく一般のカメラ店に行き渡るようになった。インスタントカメラは記録用が主だったが、チェキ以来、メモやコミュニケーションツールなど用途が拡大している。これに火をつけるのがFinePix PR21だ」と新製品に自信を見せた。

発表会にはFinePix PR21のマスコットキャラクター“プリンカムくん”も同席
発表会にはFinePix PR21のマスコットキャラクター“プリンカムくん”も同席

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