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ヒルトン東京、電話線LANを利用したインターネットアクセスを提供

1999年10月07日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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日本ヒルトン(株)は、東京・新宿のヒルトン東京において、ホテル客室からのインターネット接続サービスを15日から開始すると発表した。同ホテルのエグゼクティブフロアーとビジネスフロアーの全客室257室において、インターネットへのLAN接続が可能となる。利用料金は無料。

各客室にはイーサーネットのポートが用意され、宿泊客は自分のノートパソコンに装備しているネットワークカードを介して、LAN経由でインターネットを利用することができる。また、ネットワークカードを持っていない場合には、3Comの『EtherLink III』とLANケーブルを無料で借りることもできる。その際、ドライバーソフトはOS側で用意している汎用のものを利用できるため、FDなどによるインストールは特に必要ないという。

各客室に設置されているイーサーネットポート(左)、ネットワークカード(右)は無料で借りることができる
各客室に設置されているイーサーネットポート(左)、ネットワークカード(右)は無料で借りることができる



ヒルトン東京ではこのサービスを実現するために、(株)理経が提供するインターネットアクセスシステムの『RINKS』(リンクス)を採用した。RINKSは、構内電話回線を利用してLAN構築を行なう配線システムの『HomeRun(ホームラン)』(米Tut Systems社製)と、ソフトウェアプラットフォームの『IPORT(アイポート)』(米ATCOM/INFO社製)を組み合わせたパッケージ。RINKSを採用したことにより、大掛かりな配線工事を行なうことなく、インターネットアクセスサービスの提供を実現したという。

RINKSでは、通常の電話回線を利用して1~10Mbpsの速度を持つLANを構築できるという。また、LANと電話の両方を同時に利用することも可能だ。PBX(構内交換機)と端末(ポート)の距離は、最大で150m。15日には1Mbpsでのサービスを開始し、2000年1月を目処に10Mbpsに増強する予定。

インターネットに接続する際には、パソコン側の設定を変更する必要は一切ない。構内LANにパソコンを接続した時点で、各種のネットワーク設定情報がIPORTによって読み取られる。IPORTはこれらの設定をエミュレートし、従来の設定でLANに接続しているようにパソコン側に認識させるという仕組みだ。たとえばパソコン側で固有のIPアドレスを指定している場合には、IPORTのサーバーがそのIPアドレスをエミュレートし、実際に割り当てているIPアドレスをパソコン側に見せないようにしている。

RINKSにパソコンを接続してブラウザーを開くと、予め設定されているスタートページに関わらず、RINKSが用意している初期画面が表示される。この場合、ホテルが用意しているメニューページに自動的にジャンプするような設定も可能だ。対応ハード/ソフトについては、TCP/IPに対応したブラウザーを備えてさえいれば、OSやハードは問わないという。

ネットワークに接続すると、自動的にこの画面が現われる
ネットワークに接続すると、自動的にこの画面が現われる



この接続開始時点にはサーバーに利用情報が伝えられ、利用時間をカウントできるようになっている。この仕組みを利用して、インターネットアクセスを有料化した場合における課金処理も可能になるという。

セキュリティーに関しては、各ポートごとにアクセスを管理し、客室間でのセキュリティーを確保している。そのため、初期のインターネットマンションで発生した“隣の部屋のパソコンがネットワーク越しに見える”といったトラブルとは無縁だという。また、特定の数部屋をグループ化して、その中でファイルが共有できるように設定することも可能だという。

ヒルトン東京で開催された発表会の席上、ヒルトン東京総支配人のマンフレッド・H・ビーバー氏は、「新宿には今後10年で60棟のオフィスビルが建設されると聞いている。そのなかには数多くのハイテク企業が入ることが予想され、新宿は一大ハイテクゾーンとなるだろう」と、新宿地区の概況を指摘。そのうえで、「ヒルトン東京はビジネス客が多く、それらの客はレジャー客とは違い、インターネットアクセスを求めている」と状況を説明した。

ヒルトン東京総支配人のマンフレッド・H・ビーバー氏
ヒルトン東京総支配人のマンフレッド・H・ビーバー氏



また、「航空会社にたとえた場合、ビジネスフロアーはビジネスクラスにあたる。そのビジネスフロアーにふさわしいサービスとして、インターネットアクセスを提供していく」と語った。

ヒルトン東京宿泊部支配人の藤崎斉氏は、「'98年3月にはNEC製の最新PBXを導入した」と、IT方面への投資をアピール。また、アーサーアンダーセンの調査結果を挙げ、ビジネス客からはボイスメールとインターネットアクセスの導入を強く求められていると語った。

ヒルトン東京宿泊部支配人の藤崎斉氏、「新宿のホテルを、インターネットが装備されたゾーンとして売っていきたい」
ヒルトン東京宿泊部支配人の藤崎斉氏、「新宿のホテルを、インターネットが装備されたゾーンとして売っていきたい」



一般客室への導入については、とりあえず半年から1年ほど様子を見てから検討するという。システムの導入金額については明らかにしなかったが、10パーセントの利用率があれば、十分にペイできると語った。また、すでに4月から同様のサービスを提供しているセンチュリーハイアットが1日あたり2200円の料金を取っている点については、「インターネットアクセスはビジネスフロアーにおけるアメニティーの一環と考えている」と語り、差別化のポイントであることをアピールした。

米Tut Systems社のロバート・シーゲル国際部長は、「HomeRunは'98年に開発した技術で、HomePNAにおいて中核技術として採用されている」と、同社の技術力をアピール。HomePNA(Home Phoneline Networking Alliance)とは、電話線を利用したLANの開発・普及を推進する団体で、米IBM、米HP、米コンパックなどが加盟しているという。また、シーゲル氏によると、HomeRunは、米国においてシェラトンやハイアットなどの有力ホテルに数多くの導入実績があるとのことだ。

米Tut Systems社のロバート・シーゲル国際部長、「海外出張の際には4~5時間はインターネットに接続する、そのため広帯域なネットワークの必要性を痛感した」
米Tut Systems社のロバート・シーゲル国際部長、「海外出張の際には4~5時間はインターネットに接続する、そのため広帯域なネットワークの必要性を痛感した」



(株)理経の青柳勝栄常務取締役は「理経は技術のポータルゲートウェイの役割を果たしている」とアピール。その上で、ヒルトン東京が導入したRINKSについて「ホテル独自の情報を流すページを表示したり、新宿の情報を提供するなど、宿泊客に対するポータルゲートウェイにもなりうる」と、将来的な可能性について言及した。

理経の青柳勝栄常務取締役、「30年前にホテル勤務を経験したとき、ホテルは世界文化へのゲートウェイだと感じた。今度はRINKSで、インターネットへのゲートウェイの役割を果たしたい」
理経の青柳勝栄常務取締役、「30年前にホテル勤務を経験したとき、ホテルは世界文化へのゲートウェイだと感じた。今度はRINKSで、インターネットへのゲートウェイの役割を果たしたい」

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