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「世界中から人が集まり知的に交流する場に」――“国際研究交流大学村”を担当省庁がPR

1999年10月06日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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東京・江東区のタイム24ビルで開かれた“TIME24 VENTURE FEST99”で、同ビルに隣接する敷地に建設される“国際研究交流大学村(略称:国際大学村)”について、各省庁の担当者が説明する講演会が開かれた。留学生村、科学技術の啓蒙普及センター、産学官連携の拠点、と3つの施設からなり、オープンは2001年度を予定している。担当者は、「国内外の優秀な人材が集まり、知的な交流が活発に行なわれる場所にしたい」と狙いを語った。

会場に展示された“国際研究交流大学村”の模型。右から留学生宿舎、さいえんすワールド、オープンスペースラボ
会場に展示された“国際研究交流大学村”の模型。右から留学生宿舎、さいえんすワールド、オープンスペースラボ



国際大学村は、国際交流、情報発信、産学官連携の場を内外の研究者らに提供することが目的。(1)質の高い生活空間と知的交流、(2)内外に開かれた高度な知的活動、(3)世界に向けての知的な情報発信、(4)最先端の都市型インフラの活用――を基本コンセプトとする。

具体的には、各国から集まる留学生・研究者の宿舎、科学技術情報の発信と普及を行なう“さいえんすワールド(仮称)”、産学官が共同研究を行なう“オープンスペースラボ”の3施設を建設する。建設費約1000億円が'98年度第3次補正予算に計上され、今年11月にも着工。2000年度末に完成を予定し、オープンは翌年度を予定している。

講演会では、3施設を担当する文部省、科学技術庁、通産省工業技術院の担当者が、それぞれの施設について解説した。まず文部省国際局留学生課長の芝田政之氏が留学生宿舎について説明した。

「大学村構想ではフランスの留学生村を参考にした」と語る芝田氏 「大学村構想ではフランスの留学生村を参考にした」と語る芝田氏



芝田氏は、日本では中国、韓国を中心に5万1000人の留学生が滞在しているが、その7割が自分でアパートなどを借りて住んでいるとし、「他国と比べると、留学生向け宿舎の未整備が顕著となっている」と留学生宿舎を建設する理由を説明した。具体的な施設の内容は「宿舎として800戸分を用意し、個人に20平方m、夫婦には80平方mの部屋を提供する。学生、研究者らのの交流のため500人収容のホールも併設し、留学生向け情報コーナーも充実させる」と語った。

「年齢が上になるにつれて科学嫌いが増えていく。食わず嫌いで終わってしまうのは悲しい。何とか科学の面白さを分かり易く伝えるのが使命だ」と語る真先氏 「年齢が上になるにつれて科学嫌いが増えていく。食わず嫌いで終わってしまうのは悲しい。何とか科学の面白さを分かり易く伝えるのが使命だ」と語る真先氏



続いて、科学技術庁科学技術情報課長補佐の真先正人氏が“さいえんすワールド”について説明を行なった。真先氏は、「資源のない日本では優秀な人材が資源となる。技術振興のためには人材育成が重要で、国民の理解を得て進めなければならないが、科学技術が複雑で高度になり、若者の“科学離れ”が進んでいる」と指摘し、施設整備は科学技術の普及啓発活動の一環だ、とした。

施設には工房、展示、交流、研究開発の4ゾーンを設け、「工房ゾーンでは科学教室のプログラムを開発し、展示ゾーンでは映像を使ってわかりやすく科学を解説する。また全国での巡回展示も行なう予定で、科学普及の拠点となることを目指している」と述べた。

「オープンスペースの意味は、外に開かれ、また施設内のスペースを研究に合わせてフレキシブルに配分するという意味」という伊達氏 「オープンスペースの意味は、外に開かれ、また施設内のスペースを研究に合わせてフレキシブルに配分するという意味」という伊達氏



最後に、通産省工業技術院計画課長の伊達宏和氏が“オープンスペースラボ”について、「工業技術院は茨城県つくば市に研究部門を置いているが、研究部門を紹介するショーケースがなく、産学官共同の研究スペースも持っていなかった。工業技術院は独立行政法人となることが決まっており、オープンスペースラボを窓口として今後ますます産学官の連携を強めていきたい」と狙いを語った。施設には、共同研究スペースや研究資料を保管する電子図書館などが設けられる予定だ。

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