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【エレクトロニクスショー'99 レポート Vol.2】多種多様なディスプレイデバイス

1999年10月06日 00時00分更新

文● ケイズプロダクション 岡田 靖

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DVDを観るなら、ディスプレイにもこだわらなくてはならない。CRT、LCDだけでなく、PDPやELなど、最近になってさまざまなディスプレイが発表され、百花繚乱の状況になってきた。まだ部品レベルだったり、開発段階だったりするものもあるが、近い将来が楽しみなデバイスばかりである。また、それらに関連する部品や素材の展示も活発だ。

初日はデジカメの故障で出遅れたが、ロートルの35万画素から最新型250万画素モデルに持ち替え、電子デバイスゾーン・電子部品ゾーンを歩き回って撮影した。

・反射型カラーLCDはシャープだけのものではない

反射型カラーLCDは、屋外でのモバイル用途に最適とされている。シャープの「スーパーモバイル液晶」が有名だが、それ以外にも各社から製品やサンプル品が展示されている。

京セラ





意外と知られていないようだが、京セラもLCDメーカーだ。反射型カラーLCDや、暗所ではバックライトも使える“半透過型”もある。今年発表されたものでは、高反射率タイプや階調性にすぐれたものなど、バリエーションが出てきた。

シチズン時計





シチズン時計は、STN(Super Twisted Nematic)液晶でありながら高速応答の“動画対応タイプ”を発表している。写りは今一つだったが、実際はなかなかきれいだ。

ホシデン




ホシデンもSTNタイプで反射型を展示していた。ここに限らず、小型の反射型カラーLCDが目立つ。携帯電話のPDA化やPDAの高機能化に伴い、カラーの有効性は高まっているのだ。必然的に、屋外でも見やすく消費電力の小さい反射型に注目が集まる。

カシオ計算機




同じくSTNタイプの反射型カラーLCD。携帯電話への応用を狙って、このようなモックアップに組み込んでいる。

松下電器





大画面の反射型カラーLCDを『Let'snote』に組み込んだもの。以前も似たような展示をしているのだが、いつまで待ってもノートパソコンに応用されないと常々思う。ほかのメーカーも同様だが。もう1つは、写りが悪いがTV携帯電話を模した展示。

シャープ






LCDの最大手で、反射型カラーLCDを最初に製品化したシャープ。今回も大型パネルを堂々と展示している。よく見ると、メビウスPJシリーズの額縁にはまっているように見えるのだが……? もう1つはザウルスの画面だった。




ガラスでなくプラスチックを基板に採用したLCD。ガラス基板のものに比べると重量は約1/2~1/3になるという。これは世界初のプラスチック基板カラーLCD。STN方式で(現在の技術でTFT方式のパネルを製造するには高温をかける必要がある)反射型カラーとなっている。コントラストも思いのほか高い。

セイコーエプソン




携帯電話モックアップを並べて展示していた。iモード携帯電話を意識してか、ブラウザー風の画面が多い。エプソンは低消費電力を前面に出している。液晶画面はキャパシタと等価なので、書き換えられた部分だけ電荷を入れ替え、残りの部分は減った電荷を注入するという特殊な方式を開発しているのだ。

・タッチパネル付きディスプレイがいろいろ

タッチパネル付きのディスプレイは、使い方によっては面白いものになる。パームサイズのPDAではほぼ必須といえるが、大画面でもタッチパネルやペン入力方式ができると、初心者にもありがたい。業務ユーザーにも使いやすいし、不特定多数の人間が触る端末にはキーボードがないほうがわかりやすい。意外なメーカーが作っていたりするので、少し触れておこう。

アルプス電気





キーボードやタッチパネル工場と同じ敷地内にLCD工場を持つアルプス電気は、モジュール段階でタッチパネルを装備したPDA向けのLCDに強い。ただし、ここで紹介したカラーLCDは透過型。別方式の反射型カラーLCDを開発していると聞いたが、今回は展示がなかったのが残念だ。ちなみに、タッチパネルは抵抗膜方式。いわゆる感圧式なので、タッチペンでも指先でも同じように反応する。

SMK





静電容量方式や抵抗膜方式でなく、光式タッチパネルを開発している。画面が少しくぼんだ形になるが、精度は高いようだ。原理は、図を見てわかるとおり簡単だが、実際に高い分解能を持つタッチパネルにしようとすると、非常に多数のLEDとフォトダイオードが必要になると思われる。

東京特殊電線





“TOTOKU”のブランド名で有名なディスプレイメーカーだが、ディスプレイ技術だけでなくタッチパネルにも強い。静電容量方式のタッチパネルで、画質への影響は少ない。単なるディスプレイでなく、ICカードリーダーやレシートプリンターなどなどを備えた『マルチメディアキオスク』を並べて展示していた。すでに公共機関や金融機関などで採用が始まっているという。また、今回のエレショー会場にも、各所に配備されていた。

ワコム



ペンタブレットで有名なワコムは、タブレット機能を組み込んだLCDディスプレイを商品化している。以前からある製品だが、グラフィック作業用というより産業用なので、あまり有名ではない。近いうちに15インチモデルも製品化するというので、最新型のタブレットシステム『intuos』が内蔵されないかと密かに期待している。

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