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富士通ラーニングメディア、研修サービスの販売業務で兼松コンピューターシステムと提携

1999年10月05日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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(株)富士通ラーニングメディア(富士通LM)は、(株)兼松コンピューターシステム(兼松CS)との間で、両社が提供する情報技術研修サービスの販売業務に関して、1日に提携契約を締結したと発表した。今後は富士通LMの研修サービスを兼松CSが販売していくほか、カリキュラムやテキストの作成における相互支援、教室やテキストといったリソースの統合などを図っていくという。

富士通LMは、IT関連の研修コースを実施する情報技術研修サービスの分野で、国内最大手。現在、約780のコースを提供しており、兼松CSはその中から約350のコースを販売していく。すでに1日から受付を開始しており、東京・品川のFLM品川ラーニングセンターを中心に、全国の富士通LM拠点においてコースを開催する。また、富士通LMも、兼松CSが提供するハード・ソフトメーカー公認の研修サービスを販売していく。

両社は、顧客の要求に合わせた特別研修サービスの提供に関しても、相互支援を行なう。また、業務の効率化を目的に、カリキュラムの企画やテキストの作成における相互支援、両社が持つ研修サービスメニューの統合を実施していく。具体的には、教室/講師/教材といったリソースを統合・共有することで、経費の削減と効率化を図っていく。

最近、企業ユーザーのあいだでも関心が高くなっているLinuxについては、米Caldera Systems社が提供する『Open Linux』のコースを開設し、2000年2月を目処に新たな研修サービスを実施していく予定だ。

今回の提携により、兼松CSでは1年間で5000万円の売上増を見込んでいるという。また、富士通LMでは他社との連携も含め、現在は96億円という研修サービス分野の売上を、今後5年間で倍増したいとしている。

富士通LMの代表取締役社長を務める金子武彦氏は、「21世紀は社会がますます情報化する。その情報化を支える投資をサポートするのがIT教育となる」と述べ、その上で、「兼松CSとの提携により研修サービスのコースを増やし、そのことで社会のインフラ整備に役立ちたい」と意気込みを語った。

(株)富士通ラーニングメディアの金子武彦社長、「これからの課題には、ローカライズ技術の確立、企業文化の電子化、ITに精通した人材の育成という3つが挙げられる」
(株)富士通ラーニングメディアの金子武彦社長、「これからの課題には、ローカライズ技術の確立、企業文化の電子化、ITに精通した人材の育成という3つが挙げられる」



兼松CSの代表取締役社長である竹内政明氏は、今回の提携によりエデュケーション部門を強化することで、同社のITソリューション事業にも相乗効果が現われると指摘した。また、同社が得意とするSI事業の分野で多くの顧客を抱えるという強みを生かし、研修サービス事業の展開に最大限に活かしていくと語った。

(株)兼松コンピューターシステムの竹内政明社長、「LinuxについてはCalderaと提携し、富士通LMと共同でカリキュラムと教材を作っていく」
(株)兼松コンピューターシステムの竹内政明社長、「LinuxについてはCalderaと提携し、富士通LMと共同でカリキュラムと教材を作っていく」



今回両社が提携を行なった情報技術研修サービスは、より複雑さを増すIT分野において、今後有望と見られている分野。だが、ハードメーカーやソフトメーカーが主導する形の研修サービスを提供するだけでは独自性が出しづらく、結果として価格競争に陥りやすいというネガティブな側面もある。

実際、研修サービス部門の売上は伸び率が年々下がる傾向にあり、サービス提供各社は、従来の企業向けサービス中心のスタイルに加え、今後大きな伸びが期待されている個人向け研修サービスの拡充も視野に入れているという。特に、インターネットや衛星放送を利用したオンライントレーニングをブレークスルーとし、今後の業務拡大を図る模様だ。

また、Linuxを中心とするオープンソースの分野では、特定のメーカーが主導する形での研修サービスは成立しにくい。その点で、研修サービスのノウハウを持つ両社が提携することにより、新分野の開拓を図っていくと見られる。富士通グループはOpen Linuxに対する積極的な展開の姿勢を見せており、今後、日本市場におけるLinux分野のパワーバランスに変化が起きる可能性も否定できない。

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