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【IGAS '99 レポートVol.2】大日本スクリーン製造、印刷データ配信用の独自フォーマットを採用した新RIP『Trueflow』などを発表

1999年09月21日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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20日、印刷機材団体協議会の主催による“第16回IGAS'99(International Graphics Arts Show=国際グラフィックアーツ総合機材展)”が、東京ビッグサイトにおいて開幕した。この展覧会は24日まで5日間にわたり開かれる。

開会式おいて、会長の石田明氏は「長引く不況の中で、国内の設備投資の低迷し、前回のIGASに比べ1割の規模縮小となった。しかし、出展社の強い意欲に支えられ、この規模が維持できた」と語った。
 
また、今後IGASを4年に1回の国際展とし、“DRUPA”、“PRINT”、“IPEX”に並ぶ、世界の4大展示会と位置付けるとした。次回は4年後の2003年となり、この間の2001年には“JGAS 2001”の名称で開催すると発表した。

出展の大半を印刷機器メーカーが占める中、プリプレス関連機器メーカーも数多く出展した。例年出展していたアップルコンピュータやアドビシステムズなどの見られなかったが、国内の関連メーカーの意欲的な出展が目立った。
 
大日本スクリーン製造(株)は、開会直後に記者発表会を同社ブースにおいて行ない、世界最高速のモノクロデジタル印刷システム『NP-V200』、インテリジェントRIPシステム(*注)『Trueflow』などの新製品を発表した。

(*注)RIPシステム:Raster Image Processor。DTPで作成したページデータを受け取り、イメージセッターやプレートセッターなどの出力機に露光できるデータ形式に変換、出力するシステム

独自のラスターデータのフォーマット――“RIP'ed PS、RIP'ed PDF

“Trueflow”は、米国アドビ社の最新インタープリターを採用したRIPシステムだ。

Treuflowは、従来のRIPと出力機能に加え、ジョブチケット(各種処理の指示)に従い、自動処理を実行する機能、印刷部門などに配信するデータファイルに変換する機能、ウェブブラウザーを利用したオペレーション機能を搭載している。販売予定時期は12月。参考価格は950万~1600万円(システム構成により異なる)。

『Trueflow』は今後の印刷ワークフローにどのような影響をもたらすのだろうか?
『Trueflow』は今後の印刷ワークフローにどのような影響をもたらすのだろうか?


この配信データファイルとして、RIP後のラスターデータをそれぞれのフォーマットにした“RIP'ed PS(PostScriptファイル)”、“RIP'ed PDF(PDFファイル)”、“TIFF/IT-PI”の3種がサポートされている。
 
遠隔地で発信地と同じ印刷結果を得るには、同様のフォントやRIP装置が必要で、文字化や絵柄の抜けといった予期せぬトラブルが発生することがあり、常に不安があった。ラスターデータにすることで、その不安を解消できる。
 
同社では、先に富士写真フィルム、NTTコミュニケーションズとともに発表した通信アプリケーション『GTRAX』などの高速通信ネットワークを利用することで実現する“ネットワーク分散型印刷”の生産形態を提案していく。

新しいラスターデータのフォーマットであるRIP'ed PS、RIP'ed PDFは、確実で効率的な印刷に適したデータ形式であるラスターデータにするという点において、日本サイテックスと電通が提案している“ADF”と着想は似通っている。
 
DTPを中心とした業界全体では、DTP創成期からPostScriptやPDFのような世界的な業界標準フォーマットが流通することを強く指向してきた。しかし、ここにきてプリプレス各社がこうしたそれぞれに独自対応するということは、今後のデジタルパブリッシングの進む新たな方向を示しているのだろうか。今後の動向に注目したい。

世界最速のモノクロデジタル印刷システム『NP-V200』を投入

また、これ以外に、PostScriptファイルなどのデジタルデータをRIP処理し、毎分400ページ(A4ヨコ)、200ページ(A3タテ)の高速スピードでの印刷を可能としたモノクロデジタル印刷システム『NP-V200』も発表した。来年夏に販売開始を予定しており、参考価格は3200万円。

“世界最高速”の『NP-V200』。ドキュメンタリースキャナーの『同-S600』も併せて導入すれば、アナログ原稿とデジタル原稿の融合も可能だ
“世界最高速”の『NP-V200』。ドキュメンタリースキャナーの『同-S600』も併せて導入すれば、アナログ原稿とデジタル原稿の融合も可能だ



『NP-V200』は電子写真方式カットシート印刷システムでは世界最高速の印刷システムとなるもの。従来の枚葉オフセットモノクロ印刷機に匹敵する毎時1万2000枚(A4)を実現、さらに毎時2万4,000ページ(A4両面)という電子丁合出力という生産能力を持つ。

また、新開発のコントローラー『HC-210-V』は、米国アドビシステムズの最新のAdobe PostScript 3インタープリターを搭載しており、DTPで制作されたPostScriptファイルはもちろん、PDFの最新バージョン“PDF 1.3”やTIFFといったデータのRIP処理を、ウェブブラウザーを使ったリモートGUIで操作できる。

オプションとして、アナログ原稿に対応したクラス最高の光学解像度600dpiのドキュメントスキャナー『NP-S600』もある。

パーソナライズされた情報を発信するワン・トゥー・ワン・マーケティングなどのビジネスへの活用など、デジタル印刷機の効果も高くなってきている。近い将来は、NP-V200を導入している印刷会社や出力サービスは要チェックということにもなってくるだろう。

このほか、スキャナー分解時のラインモアレ(例えば、エアコンの吹き出し口などをスキャンした時など)やテクスチャーモアレなどの入力モアレをAIカットする“モアレカットフィルター”機能を紹介した。11月中旬に発売を予定している同社のカラースキャナー『スーパージェナスキャン8060 Mark II』へオプションで搭載する予定だ。参考価格は300万円。

画期的なモアレカットフィルター機能を搭載する『スーパージェナスキャン8060』
画期的なモアレカットフィルター機能を搭載する『スーパージェナスキャン8060』

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