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【WORLD PC EXPO 99 レポート Vol.21】「QT4で、誰でも自分の放送局を持つことができます」--米アップル副社長フィル・シラー氏基調講演

1999年09月09日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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続いて、この6日から24時間365日のストリーミング放送を開始した英BBCのサイトに接続。「いま何を放映しているのか知らないのです」と接続を試みるも、回線の調子が悪いためか映像は途切れ途切れになってしまった。だが、ここで「これは実にリスキーなデモですね」とユーモアたっぷりに語ると、聴衆は爆笑。失敗をうまく切り返すスピーチ上手な一面も覗かせた。

さらに米ABCのニュース映像を映し出し、「ホテルではCNNしか見られなかったけど、インターネットでならどんなニュースチャンネルでも見ることができる」と、ストリーミング放送が国境を超えることをアピール。最後に、「誰でも自分自身のストリーミング放送局を持つことができるのです」と語り、QuickTimeの紹介を終えた。

Mac OS 9

次にシラー氏が紹介したのは、本日Apple Storeでのプレオーダーを開始したという『Mac OS 9』。10月上旬に1万2800円で発売されると語ると、会場からは拍手が巻き起こった。

シラー氏によると、Mac OS 9は“インターネットを楽しむ上でのコパイロット(副操縦士)”になるという。その機能として、シラー氏は以下に挙げる9つのツールを紹介した。
・Sherlock 2--インターネットを含めた検索機能
・マルチプル(複数)ユーザーへの対応
・ボイスプリント(声紋)パスワード機能
・キーチェーン--パスワードを要求されるあらゆる場面において、1つのパスワードのみで利用可能にする機能
・インターネットを利用した自動アップデート
・ファイルの暗号化
・インターネットを利用したファイル共有機能
・TCP/IPに対応したアップルスクリプト
・ネットワークブラウザー--HTTP、FTP、AppleShareに対応

Sherlock 2は、Mac OS 8.5で採用されたSherlockを改良したもので、オンラインショッピングに対応した“ショッピングチャンネル機能”を導入している。この機能は、買いたい商品の価格や納期を検索し、購入ページに直接リンクするというもの。検索機能では有力な検索サイトを“プラグイン”として登録しており、開発中の日本語版では毎日インタラクティブのコンテンツを検索できるプラグインなどが搭載されるという。

マルチプルユーザー機能では、メニューバーの[特別]に、[ログアウト]というメニューが加わった。Windowsの“ログオフ”に似ているが、ログアウトした後に登録済みユーザーの一覧が表示されるのが特色だ。ステージ上のデモでは、ボイスプリント機能を利用した、声によるログインを披露。デスクトップやシステムフォントがユーザーごとに設定されている様子を紹介した。

ボイスプリント機能のデモでは、1回目は認識に失敗し、聴衆の笑いを誘っていた
ボイスプリント機能のデモでは、1回目は認識に失敗し、聴衆の笑いを誘っていた



アップルのプロダクトライン

Mac OS 9に続いては、日本で初公開されたiBookとPower Macintosh G4の紹介を行なった。

シラー氏はまず、8月15日にiMacが1周年を迎えたと語り、1年で200万台を出荷したと発表した。日本ではiMac購入者の半数が初めてパソコンを買ったユーザーで、米国の33パーセントを大きく上回っているとアピールした。

次に、注目のiBookを紹介。7日には19万8000円という価格と10月初旬の発売がアナウンスされたばかりだが、聴衆にはまだ知らない人が多かったらしく、(安いことに対する)驚きの声があがっていた。

ここでシラー氏は、ワイヤレスLANの『AirPort』のデモを実演。『AirPort カード』を実装したiBookを手に、米アップルのサイトからトイストーリー2のストリーミング映像をダウンロードし、その様子をステージ横の大スクリーンに大きく映し出していた。デモを始める前には大きなリングを取りだし、iBookと自分のカラダをリングにくぐらせて、「ほら、ワイヤーはつながっていませんよ」と聴衆の笑いを誘っていた。

ステージ上に鎮座ましましていたiBook。56kモデムと10BASE-Tポートを搭載したAirPortは、意外に大きい(直径20cmくらい)
ステージ上に鎮座ましましていたiBook。56kモデムと10BASE-Tポートを搭載したAirPortは、意外に大きい(直径20cmくらい)



続いて紹介したのはPower Macintosh G4。シラー氏はPowerPC G4がGigaflopレベルの処理能力を持つことを強調し、“Super Computer on a Chip”というキーワードをアピール。また、128bit動作の“Velocity Engine”を搭載していることを紹介し、最速のPentium III-600MHzにくらべ平均で2.94倍の処理速度を持っているというベンチマーク結果を披露した。

続いてのデモは、Power Macintosh G4とPentium III-600MHz搭載パソコン(コンパック)を並べて、処理速度の違いを実演するというもの。アップルの基調講演ではおなじみとなっているデモだ。今回のデモではフォトショップ5.5やメディア・クリーナー・プロを利用した画像処理、MPEGファイルのmovファイルへのコーディングを実演。従来のデモではゲームのデモ映像などを比較していたが、Power Macintosh G4はプロユースのモデルとあって、ビジネス向けのデモを意識したようだ。

最後にシラー氏は22インチ液晶を搭載した『Apple Cinema Display』を紹介。Power Macintosh G4とのセット販売による、プロユース向けのソリューションであることを紹介した。

Apple Cinema Displayは、フィルムレゾリューションに対応した横長のフォルムが特徴
Apple Cinema Displayは、フィルムレゾリューションに対応した横長のフォルムが特徴



講演の全体を通してみると、特に目新しい発表はなかった。だが、iBookとPower Macintosh G4が日本で初公開されたばかりとあって、ほとんどの聴衆はステージ上で繰り広げられたデモに満足している様子だった。

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