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【第1回自動認識展報告 Vol.2】わずらわしいパスワード管理から開放させてくれるパソコン用バイオメトリクス個人認証機器、普及価格でぞくぞく登場

1999年09月03日 00時00分更新

文● 小谷洋之

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今回の第1回自動認識総合展の会場に“バイオメトリクスパビリオン”が特設され注目を集めた。バイオメトリクス技術とは、指紋や声紋、眼の網膜、アイリス、顔面といった各個人特有・複製困難・生涯不変といった特徴を持つバイオ・データを識別IDに活用しようという最新技術だ。

自動認識総合展の会場には“バイオメトリクスパビリオン”が特設された
自動認識総合展の会場には“バイオメトリクスパビリオン”が特設された



特設会場で、最も多くのギャラリーを集めていたのが、オムロンが出展した顔貌認識システムだ。つぎつぎとギャラリーが集まり、怪訝そうな表情で、モニター上部に設置されたCCDカメラを覗き込む。オムロンの顔認識システムは、顔のパーツの位置関係と、形状の特徴から、あらかじめ登録された顔データと照合する仕組み。ものの数秒で照合される。これはCPUが高速化すれば、処理速度も向上するとのこと。本人排除率1%以下・他人受け入れ率1%以下と、100%に近い認識率を誇る。距離はカメラから3から5mの範囲で対応。すでに一部の老人ホームで、『徘徊者介護補助システム』が試験的に稼動しているが、ドアの入退室システム(これぞ本当の“顔パス”)に対応し、歩きながらの認識もOK。同様のシステムは、『SONY VAIO C1S』に搭載されており、すでにエンドユーザーが手にできるものになっていることを付け加えておく。

オムロンの顔貌認識システムに集まるギャラリーは、怪訝そうな表情でCCDカメラを覗き込む
オムロンの顔貌認識システムに集まるギャラリーは、怪訝そうな表情でCCDカメラを覗き込む



しかし、われわれエンドユーザーにとって最も身近なバイオメトリクス機器は、指紋認証システムであろう。犯人の遺した指紋が刑事捜査の決め手になるなど、アナログ・バイオIDの主役“指紋”もデジタル化の波に逆らえない。バイオメトリクスにおけるデータは、指紋そのものの画像を登録・照会するのではなく、“端線”=指紋の模様の線が止まっているところ、“分岐点”=線がわかれているところといった“特徴”を複数抽出しデータ化するものだ。

指紋認証システムは、ドアキーやパソコンのアクセスキーとして最も普及しつつある。特設会場では、コンパックコンピュータが、指紋認証リーダー294307-291(日本語版)1万9800円を展示。Windows 95/98/NTに対応。コンパックコンピュータは、アメリカにおける指紋バイオメトリクスの標準化を精力的に推進しているメーカーとして有名である。

対する国内メーカーでコンシュマー向けバイオメトリクスを展示したのは日本電気(NEC)1社のみだった。『指紋認証ユニット』PCMCIAタイプのPK-FP001(4万4800円)、シリアルタイプPK-FP002(3万4800円)を出展。BIOSレベルでのユーザー認証、OSのログイン、スクリーンセ-バーの解除、アプリケーションのパスワード代替といった機能を持ち、パスワード盗難による“なりすまし”による不正利用防止のほか、煩わしいユーザーIDやパスワード入力からも解放されるという。認証に要する時間は0.025秒で、指をスキャン部に乗せるアクションを含めても数秒だった。いずれも民生用機器であり、その価格からもエンドユーザー自らの利便性向上のために導入されるものだと予想される。

『指紋認証ユニット』PCMCIAタイプのPK-FP001(4万4800円)のデモ
『指紋認証ユニット』PCMCIAタイプのPK-FP001(4万4800円)のデモ



その一方で“IC免許証に指紋データ搭載”となると、もっと慎重さが必要なのではと思われる。生涯不変のバイオIDを国家レベルで管理することイコール国民ひとりひとりにバーコードの入れ墨を強要するのと同じ意味を持つからだ。

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