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【第1回自動認識展報告 Vol.1】「ISOで“バイオメトリクスIC自動車免許証”の標準化が進んでいます。ネット上の取引きや認証などで活用されるでしょう」──日本自動認識システム協会専務理事・藤井研一氏

1999年09月02日 00時00分更新

文● 小谷洋之

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1987年以来毎年開催してきた展示会、“SCAN-TECH JAPAN”(主催:エーアイエム ジャパン)をさらに発展させ、自動認識全般を網羅した展示会として幅広い普及と市場の活性化を図ってゆくため、今回より“自動認識総合展”と改称した(英文は“SCAN-TECH JAPAN”のまま)。昨年までの“SCAN-TECH JAPAN”で構成の中心だったバーコードや、2次元コード、RFID(Radio Frequency IDentification:無線周波による非接触自動識別技術)などに、幅広い自動認識全般の観点から新たに「バイオメトリクス」(生体認識:指紋、網膜、虹彩、音声など、生物個体が持つ特性により認識するもの)や画像認識、ICカード等の新技術も加え、「自動認識総合展」として第1回目の開催となる。

【自動認識】
自動認識(Automatic Identification)とは、「人間を介さず、ハード、ソフトを含む機器により自動的にバーコード、磁気カード、RFIDなどのデータを取込み、内容を認識する」ことを指す。欧米では同義語としてAIDC(Automatic Identification & Data Capture:自動認識およびデータ取得技術)も、使用するようになっている。

基調講演:自動認識の市場規模は年間2000億円を超える

基調講演“自動認識技術の最新の話題と市場”において、パネラーの(社)日本自動認識システム協会専務理事・藤井研一氏は、「日本国内における自動認識の市場規模が年間2000億円を超える規模にまで成長し、世界的な市場規模もここ数年10から15パーセント増で急速に発展しており、自動認識システムの重要性が再認識されている。

またバーコードのみならず、2次元シンボル、RFID、バイオメトリクスなど最先端の自動認識技術の普及も期待されている。また普及に不可欠な標準化もISOの国内審議機関JTC1において進められている」と最新動向を解説。

このなかで注目したいのが、「SC17の新ワーキンググループ(作業部会)として、ICカードにした自動車運転免許には、本人認証のバイオメトリクスとして指紋データを搭載することになるかと思うが、この個人認証に関する作業項目が新たに発足することが承認された。今後、運転免許に要求されるデータとその表現方法の標準化の検討が進められる」との話題だ。

SC17とはISOの国内審議機関JTC1における識別カードおよび関連機器の専門委員会である。運転免許証のICカード化は、警察庁が、95年以来検討を進めてきているものだが、ここにきて標準化、しかもバイオメトリクスを搭載するというのだから驚きだ。実際に7300万人を超す免自動車運転免許取得者に、バイオメトリクス搭載ICカードを持たせることになれば、個人認識の環境が一気に塗り替えられる。

ISOのワーキンググループで、運転免許証の指紋データ搭載について検討されている。現在、日本では日本人に対しては指紋押捺制度はない。免許取得に対してそれが課せられた場合、議論が起こるのは必至だ
ISOのワーキンググループで、運転免許証の指紋データ搭載について検討されている。現在、日本では日本人に対しては指紋押捺制度はない。免許取得に対してそれが課せられた場合、議論が起こるのは必至だ



基調講演後、藤井研一氏に取材すると「運転免許に搭載されるバイオメトリクスの本人確認機能は、ネット上の取引きや認証などオープンに活用されるべきで、そのためにも標準化が必要になります。世界的にみても免許取得人口は多く、それに搭載させることでバイオメトリクスの標準化や普及にはずみをつけたいということです」という。

今回、展示会のほうを眺めると、バーコードや2次元コードの展示がほとんどを占めていたが、主催者によるテーマコーナー「バイオメトリクスパビリオン」が特設されていたほか、一部メーカーによる民生機器が展示されており、バイオメトリクス技術・製品は本格的に普及時期を迎えようとしている。

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